千枚漬けを漬けるかぶの種類は何❓発祥の由来や歴史と見分け方の特徴は

グルメ

京都の冬の味覚『千枚漬け』
京土産にも人気の高い千枚漬けですが、
この千枚漬けを漬けるときのカブの種類は何なのでしょうか?

そもそも、千枚漬けの発祥や、
名前の由来、歴史について、簡単にまとめてみました。

冬の野菜、カブや大根にはいろいろな種類がありますが、
千枚漬けに漬けるカブの見分け方や、
その特徴をお伝えします。

  

千枚漬けを漬けるかぶの種類は何

千枚漬けは、すぐき漬けや柴漬と並び京都の三大漬物として、
京都みやげの一つとして人気があり、
京都の冬の味覚として、期間限定のお漬物です。

京都では、カブのことを『かぶら』と呼びますが、
千枚漬けを漬けるかぶの種類は『聖護院かぶら』というカブです。

千枚漬けは、ほかの蕪でもなくダイコンでもない、
『聖護院かぶら』だからこそ、
この歯ざわり、この甘味。。。なんですね!

おもに関西地方で栽培されている聖護院かぶらは、
直径が15㎝~20cmほどもあって、その重さは1.5㎏~3kg、
大きいものは5㎏くらいあるものもあり、日本最大級のカブです。

まるで京美人のお肌のように、
透き通り、白くてつるっとした表面の聖護院かぶらは、
やや扁平のふっくらとした丸い形をしていて、
11月頃から2月頃まで出回ります。

聖護院かぶらを切ると中も真っ白で、きめ細やかな肉質は、
ほのかに甘味があり、千枚漬けの材料として、
お漬物に適していますが、
煮崩れし難いので煮物にしても美味しく頂くことができ、
酢の物などにも用いられます。

聖護院かぶらは京都の左京区、聖護院を中心に栽培されていましたが、
昼と夜の気温差が大きく、
霧が発生することが多い亀岡盆地の気候が栽培に適している事から、
今では亀岡市篠地区が京都府内における生産の中心地となっています。

亀岡市の聖護院かぶらは、2007年に京の伝統野菜として、
ブランド京野菜に指定されています。

千枚漬けを漬けるかぶ 発祥の由来や歴史は?

聖護院かぶらで漬ける千枚漬けの、
『千枚漬け』という名前は、聖護院かぶらを、
千枚以上もの枚数(千枚と言えるほど薄く)に切って漬ける、
という意味が名前の由来と伝えられています。

千枚漬けを漬ける聖護院かぶらは、
慶長年間に栽培が始まった近江かぶが原種とされています。

享保年間に、
現在の京都市左京区聖護院に住む農家が、
近江の国 堅田から、近江かぶの種子を持ち帰り、
改良を加えて聖護院かぶが誕生したといわれています。

聖護院かぶらで千枚漬けが漬けられるようになったのは、
今から約150年前、江戸時代後期のことです。

当時、御所内で江戸時代最後の天皇である孝明天皇の、
宮中大膳寮(皇室の食事当番)として仕えていた料理人が、
塩漬けして乳酸菌発酵をさせた聖護院かぶらの漬物を生み出しました。

その料理人の名は、大黒屋藤三郎といい、
聖護院かぶらを使った浅漬けを作りました。

良質の昆布だけで本漬を行い乳酸発酵をさせて漬ける千枚漬けは、
聖護院かぶら本来の甘味や乳酸発酵の酸味、
昆布の旨味のバランスのとれたお漬物でした。

第二次世界大戦後は砂糖や酢、調味料を使い大量生産されるようになり、
現在の酢漬けの千枚漬が製造されるようになりました。

千枚漬けを漬けるかぶ 見分け方の特徴は

千枚漬けを漬けるかぶ 聖護院かぶらは、
スーパーなどであまり見かけることはありませんし、
もし見つけても、聖護院かぶらは高価なことが多いのです。

大きな丸いカブを見つけたとしても、
ほとんどの場合、それは聖護院大根です。

聖護院大根は関東でも見かけることもありますが、
聖護院かぶらのほうはほとんど見かけることができません。

聖護院大根も、京の伝統野菜のひとつで、
ブランド京野菜に指定されています。

聖護院かぶらと聖護院大根は、形も大きさもよく似ていますが、
聖護院大根の方は、聖護院かぶらに比べて、丸さが扁平ではなく、
茎の付け根が淡い緑色をしています。

伝承によれば、文政年間に金戒光明寺に尾張国から奉納された大根を、
現在の左京区聖護院に住む農家が譲り受けて栽培し、
採種を重ねるうちに短系の聖護院大根が生まれたと言われています。

また、聖護院大根も、聖護院かぶらと同様、
煮崩れしにくく甘くて苦味が少ないため、
煮物の材料によく用いられ、おでんにも使われます。

千本釈迦堂などで行われる『大根焚き』にも、
京都の冬の風物詩として聖護院大根が使われ、
大勢の参拝者で賑わいます。

聖護院大根も京漬物として使われますが、
聖護院大根の場合は、千枚漬けではなく大根漬になります。

もちろん、聖護院大根で漬けた大根漬けも、とても美味しく、
京漬物として人気があります。

★千枚漬けを漬けるときの聖護院かぶらの選び方

千枚漬けを漬けるときの聖護院かぶらは、皮の色がきれいな白色で、
張りがあって、傷やひび割れのないものを選びましょう。

大きさが同じでしたら、
持ったときにズッシリと重みを感じるほうがおすすめです。
葉が付いている場合は、葉が枯れていないで、
みずみずしいものを選びましょう。

聖護院かぶらを買ってから、調理するまでに時間があるときは、
乾燥しないよう新聞紙で包むか、ポリ袋に入れるなどして、
冷暗所または冷蔵庫の野菜室へ入れておきましょう。

葉付きのものは葉の部分をカットして、
葉と根の部分を切り分けておきましょう。

そのままにしておくと、
葉のほうに栄養や水分が奪われてしまいます。

葉は日持ちしにくいので、
ゆでてから小分けにして冷凍しておくとよいでしょう。

冷凍して保存しておけば、
必要なときにさっと使えて便利です。

聖護院かぶらは薄くスライスして千枚漬けや甘酢漬けにしたり、
煮物やスープ、すりおろして白身魚と蒸すカブラ蒸しなど、
いろいろなお料理に活用できます。

葉も新鮮であれば食べられますので、
よく水洗いして適当な長さに切り、炒めたりゆでるなどして、
味噌汁や炒め物の具などに利用するとよいでしょう。

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あとがき

『千枚漬け』っていうお漬物は、ちょっぴり高価ですね!

でも、作るときの手間暇を考えたら、
納得できますね。

ちょっとづつ、
楽しみながら食べるからいいのかもしれませんが、

ちょっと甘くて、ちょっと酸っぱい、
歯触りも優しい『千枚漬け』でお茶漬けなんて、
“もうーたまりまへんな!”