祇園祭は鱧祭りと言われますが、
鱧は鱧寿司や鱧の落とし、鱧の天ぷらと、
どの鱧料理も、
京都の夏や祇園祭には欠かすことのできない御馳走です。
そんな鱧料理が、
祇園祭の時期によく食べられる理由は何か、
鱧と京都との関係はいつからどうして始まったのかをまとめてみました。
祇園祭が『鱧祭り』と言われるようになったのはなぜ?
戦国の世から、世の中が少しずつ安定し始めると、文化や文明は飛躍的に発展します。
新しいものが発明されたり、現れたり・華美になったり、
また、祭りにいろいろな特徴を付けたりするようになります。
祇園祭と鱧料理が結びついたのも、そういう発展の一つの形だと思われます。
祇園祭の起源は、世の中を荒廃させた疫病の流行を除くのが目的でした。
昔は夏に疫病や伝染病が蔓延しましたが、それに効く特効薬もありませんでした。
ただひたすら滋養を付けて、体力の回復を待つことしかできませんでした。
そんな時、生命力の強い鱧を食べることが、滋養強壮に繋がるとなったわけです。
鱧は骨ごと食べるので、栄養も豊富、スタミナ対策だったのです。
現在 鱧はいろいろな場所で獲れますが、消費地は京都や大阪がメインです。
沿岸部なら新鮮なお魚が食べられますが、海から遠い京都はそうはいきません。
ですから京都で食べられるお魚は、運ぶのに時間がかかっても生命力の強い鱧や、
獲れたところで塩漬けにされた鯖などが、
京都の食生活を支えてきたということなのでしょう。
全国的に出回っている鱧は、大きいものが多いのですが、
京都の料亭などで出される高級なお料理に出てくる鱧は、
かなり小さく細いもので、そういう鱧は飛び切りお高いようです。
普通なら骨が多くて食べづらい鱧ですが、
京都の人が考えた「鱧の骨切り」という技術で、
鱧を食べるようになった人も多いと思います。
牡丹鱧、湯引き鱧、源平焼き、鱧寿司、鱧の天ぷらなど、
京料理では鱧を料理する時、工夫を凝らして見た目にも美しい料理に仕上げます。
鱧の身だけでなく、皮は湯掻いて酢の物にし、骨でダシを取りお吸い物に、
浮袋さえも汁物の具として使うなど、捨てるところなく使い切るのも京都人の業でしょうか。
祇園祭の時に高級料亭で出てくる鱧の落としは、お味は絶品ですが、お値段も絶品です。
祇園祭は鱧祭り 鱧は夏の京料理の主役のひとつです
祇園祭は鱧祭りともいわれ、鱧は夏の京都に欠かせない魚です。
しかし、鱧ってどんな魚なのでしょうか?
鱧がどうして夏の京都の風物詩と言われるようになったのか、
その理由を探ってみました。
鱧は一年中獲れますが、多いのは6月から9月にかけて、
中でも、7月は京都中央卸売市場での取扱量がピークとなります。
やはり、鱧料理は祇園祭の頃、一番美味しく食べられるようです。
鱧の産地は幅広く、日本全国で取れるようですが、
特に兵庫県や徳島・愛媛・など、瀬戸内海産のものが多いのです。
近頃は、韓国産の鱧も空輸され、たくさん出回っていますが、
脂がのっていて人気です。
韓国産の鱧は、国内産に比べて頭が小さく目も小さいのが特徴です。
国内産の鱧の方が、やや獰猛な顔つきをしています。
祇園祭と鱧料理京都の夏に欠かせない由来と 骨切り
京都には全国から良い鱧が集まってきます。
それだけ京都での需要が多いということです。
鱧と言えば『骨切り』でよく知られています。
鱧は小骨が多いので『骨切り』というこの作業が欠かせません。
今は『骨切り』をする機械ができ、その活躍もあって、
スーパーなどでも鱧が扱われるようになりました。
それまでは『骨切り』を、すべて手作業で行っていたのです。
鱧が最も美味しい祇園祭の頃
鱧は、「梅雨の水を飲んで美味しくなる」と言われるように、
美味しくいただける時期は、ちょうど祇園祭の頃なのです。
鱧が産卵するのは8月頃で、その前の祇園祭頃は、産卵に向けて脂を蓄え、
身も皮も骨も柔らかくて美味しい頃なのです。
しかし、祇園祭頃でなくもう一度鱧が美味しい時期があります。
それは産卵を終えた秋にもまた油を蓄えるので、その頃も鱧の旬と言えます。
ちょうどその頃は、松茸のシーズンで、
両方美味しいときに土瓶蒸しにして味わうことを、
昔の人は良く知っているということです。
鱧は夏も秋も、京都の味覚を彩ってくれます。
鱧は海にいるとき、水深100mより浅い砂地に生息していて夜行性です。
昼間は、身を隠すために、岩の隙間や巣穴に潜んでじっとしています。
巣穴から顔だけを覗かしていて、小魚やエビなどが通ったら、
素早く飛び出してパクッ!と食べます。
獲物を逃がさないように、上下の前歯が鋭く、内向きに生えているので、
喰らいついた獲物を逃がさないのです。
鱧はほかの魚に比べて、長時間生きたまま運べる生命力の強い魚です。
鱧の生命力がなぜ強いかというと、鱧の体の表面に鱗はなく、ぬるぬるとしています。
その粘液がカラダをガードしていて、病気になりにくく、
傷ついても菌が入りにくいのです。
見た目の姿は、あまり良くない鱧ですが、
京都の人はいつごろからこの鱧を食べていたのでしょうか?
瀬戸内海と京都の流通が確立したのは、平安時代初期から中期にかけてで、
そのころには瀬戸内海産の鱧が、京都に運ばれていたと考えられます。
ただ、この頃はまだ骨切りの技術はなく、すり鉢などで擂って食べていたようです。
細川家の家臣が、骨切りの技術を確立させたという説があり、
桃山時代から江戸初期にかけて、鱧料理が広まっていったようです。
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まとめ
京都の夏は、祇園祭と鱧料理。
ちょっとお高いですが、
美味しい鱧料理を頂いて、
夏バテをしないようにして、
祇園祭に出かけましょう!