神社の種類 数はいくつあって社格の属性にランクはあるのか?その由来は?

神社仏閣

神社の種類や数は、日本全国にどれほどあるのでしょうか。

神社を建てる際に、特別な許可が必要とされるわけではなく、
神を祀ろうと考える人間がいて、
神社を建てるべき場所が確保されているのなら、
誰もが自由に神社を建てて、神を祀ることが出来ます。

近年に入って、神社整理が行われる前までは、
もっと多くの神社が祀られていたそうです。

日本人の信仰心は意外なほど強く、
神を祀るということに相当の情熱を傾けてきたようです。

  

神社の種類や数はいくつあるのか?

神社の『社』は屋代が語源で“屋”は屋根のある小屋のこと、
『代』は清められた場所のことを表します。

つまり神社とは、
神を祀るための清められた小屋という意味になります。

『小屋』と言われることからわかるように、
かつての神社は大規模なものではなく、
祀られる神もその土地だけで信仰されている神様だったのです。

今でも『氏神様』とか『産土の神』、『氏神』『鎮守神』というように、
産まれた土地の守り神のことでした。

ではなぜ、稲荷神や八幡神など、
全国各地に同じ名前を持つ神様がいるのでしょうか?

実は神様は『分霊』が可能とされていて、
神社にお祀りされている神様を分けることができるというのです。

もちろん分けたからといって、
神様の力や御利益が減るわけではなく、
同等の尊い存在として、いくらでも分けることが出来るのです。

そして分霊した神様を、
それぞれ別の場所でお祀りしていくことを『勧請』といいます。

こういった分霊と勧請によって、
ひとつの地域で信仰されていた産土の神が、
全国の様々な場所で同じように進行されるようになりました。

すると当然、人気の高い神様を祀る神社が増えていくことになり、
農村では、豊作祈願のために五穀豊穣の御利益がある神様を勧請したり、
漁村では、航海の安全や大漁を祈るために、
海にまつわる神様を勧請するようになりました。

そしてどんどん人気のある神様をお祀りする神社が増えていくことで、
神社の系列が出来上がっていったのです。

現在、日本には小さい神社も含めると、
約10万社以上もの神社があると言われています。

10万というこの数字は、
全国の小中学校、さらには高等学校を合わせた数が、3万5千校程なので、
その2倍以上どころか3倍近い数の神社があることになります。

なかでも最も多いのが、
武家の守護神とされる八幡信仰に関わる神社です。

神社本庁が、
1990年から7年かけて行った『全国神社祭祀祭礼総合調査』によると、
八幡信仰に関わる神社の数はダントツ一位で、
約7千もあるのだそうです。

2位は、皇祖神を祀る伊勢信仰関連の神社で、
その数は4425社。

3位は、学問の神様でおなじみの天神信仰関連の神様で3953社。

4位が、
田畑や家業の守り神とされる稲荷信仰関連の神社で、2970社とされています。

これら神社の数は、
宗教法人として認証された神社だけをカウントしたもので、
家々の軒先や隙間、ビルの屋上にあるような小さな祠を含めると、
さらに神社の総数はもっと増えることになります。

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神社の種類や数 社格の属性にランクはあるのか?

神社には社号といって『○○神宮』や『○○大社』など、
様々な呼び方があります。

そのうちの一つ『神宮』は、天皇家やその祖先神、
天皇家とゆかりの深い神器や神を祀っている神社に付けられる社号です。

『大社』は、全国に数多くある同名神社の宗社に付けられる社号で、
神社本庁から特別な許可を貰えば改称が可能で、
『北海道神宮』や『英彦山神宮』『住吉大社』などは、
戦後になって社号を変更しました。

社号は神社の優劣を示すものではなく、
その神社の由緒に由来する部分が大きいようです。

しかし、終戦直後までは、
『社格』というランク付けが存在していました。

それは国が定めた神社のランクで、
それぞれの神社にある石碑や看板を注目すると、
『一宮○○神社』『旧菅弊社○○神社』などと書かれていることがあり、
かつて社格というランク付けがあった名残なのです。

平安時代にまとめられた法典『延喜式』には、
『神名帳』という神社の一覧が掲載されていて、
それによると神社の数は、全国で2861社となっています。

ここに記載されているのは、
幣帛(神への捧げ物)が奉じられれる、神田が与えられるなど、
国の保護を受けている神社のみです。

これらを延喜式神名帳の中に含まれた『式内社』と呼ばれ、
つまり式内社というだけで、格式が高かったということになります。

式内社はさらに『官弊社』と『国弊社』に分けられ、
官弊社は、朝廷が運営にかかわる神社で、
国弊社は、朝廷から遠方に派遣された国司が運営にかかわる神社です。

そしてそれぞれに大小の区分があり、
『官弊社』の中には、官幣大社・官幣小社
『国弊社』の中には、国幣大社・国幣小社
というように、細かく格付けされていました。

住吉大社のような『大社』の社号に改称する時は、
昔の社格が、官幣大社や国幣大社であったことが基準となっています。

平安時代中期以降になると、
祭りなどの際に、天皇から勅使が送られる重要な神社が、
畿内から二十二社選ばれました。

この二十二社は、非常に格式の高い神社となり、
さらにそれを、上・中・下 の3段階に分けられました。

一方、地方にある神社には番号が振られ、
格の高い順番から、それぞれ 一宮・二宮・三宮…と呼ばれました。

神社の種類や数 社格や属性の変化と神社本庁とは?

やがて明治時代になると、
政府は王政復古の理念の元、社格を改めて整え直しました。

『延喜式』にあった官弊社と国弊社を、大・中・小 の3段階に分けたほか、
靖国神社のように、国のために貢献した人物を祀る神社の、
別格官弊社を設置しました。

この3種類は『官社』と呼ばれ、国の神祇官の管轄でした。

官社に含まれず、地方官の管轄となる小さな神社を『諸社』と呼び、
その諸社の中にも格があり、
高い順からそれぞれ、府社・県社・郷社・村社・無格社に分けられました。

官社と諸社では待遇が異なり、
官弊社や国弊社は国から幣帛料の供進を受けるのに対して、
諸社は、無格社を除いて、府県などから幣帛料を受けました。

このようにして続いてきた神社の管理体制に大きな変化が訪れたのは、
終戦後でした。

神社と国の結びつきを危惧したGHQによって、
神社の国家管理が禁止され、
国が定めた社格も消滅しました。

保護を受けられなくなった神社は、
それぞれ宗教法人として組織されることになりました。

現在、全国にある約8万5千の神社は、神社本庁が包括していますが、
神社本庁に属する神社であっても、
別に宗教法人を設立している場合もあります。

また、神社本庁はその名前から、官僚機構のようなイメージを受けますが、
神社本庁はあくまで民間の宗教法人なのです。

あとがき

子どもの頃、氏神様をお詣りするために、
祖母に手を引かれて行った記憶があります。

物心がついたころには、
しょっちゅう連れて行ってもらってたようです。

何もわからない頃から、
神社へ行けば手を合わせてお詣りをすることが習慣になっていました。

今、京都の神社はどこも観光の人でいっぱいです。

目的が観光であっても、神社を訪れたのですから、
手を合わせてお詣りすることを忘れないでほしいと思います。