信楽焼のたぬきの置物はなぜ有名?その特徴と縁起物と言われる意味や理由は?

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NHKの朝ドラ『スカーレット』で脚光を浴びた
“信楽焼”と言えば、タヌキの置物が有名です。

でっぷりとした体形と可愛らしい顔立ちに何とも愛嬌があって、
見ている人の心をやさしくしてくれます。

食べ物屋さんの店先や、家の玄関先などに飾られているのを、
見かけられたことがあると思います。

でもなぜ、信楽のたぬきの置物が、
これほどまでに有名なのでしょうか?

みんなに愛されるタヌキの置き物には、
なにかしら縁起物的なご利益があるのでしょうか?

その意味や理由をご紹介します。

  

信楽焼のたぬきの置物はなぜ有名?

まず、信楽焼についてですが…

信楽焼(しがらきやき)は、
滋賀県甲賀市信楽を中心に作られる陶器で、
日本六古窯のひとつに数えられます。

一般には狸の置物が有名ですが、
ただ有名なだけでなく、多様な発展を遂げています。

信楽は、
付近の丘陵から良質の陶土がでる土地柄です。

長い歴史と文化に支えられ、
伝統的な技術によって今日に伝えられて、
日本六古窯のひとつに数えられています。

信楽特有の土味を発揮して、
登窯、窖窯の焼成によって得られる温かみのある火色(緋色)の発色と、
自然釉によるビードロ釉と焦げの味わいに特色づけられ、
土と炎が織りなす芸術として、
“わび・さび”の趣を今に伝えています。

信楽の土は、耐火性に富み、
可塑性とともに腰が強いといわれ、
「大物づくり」に適し
かつ「小物づくり」においても細工しやすい粘性であり、
多種多様のバラエティーに富んだ信楽焼が開発されています。

信楽焼は、滋賀県の陶器なんですね。

ところで、皆さんのご家庭にはたぬきの置物はありますか?

たぬきの置物は、和風のお店やお家にも置かれていることが多いのですが、
なんとなく買われている方が多いかと思います。

知らずにたぬきの置物を飾られてることもあるかと思いますが、
実はとってもありがたいアイテムなんです。

たぬきの置物の生みの親は、藤原銕造(てつぞう)さんです。

昭和10年代、
京都の陶芸家である藤原銕造さんという方が、
縁起物として作ったのがたぬきの置物の始まりとされています。

・たぬきの腹太鼓から閃きを得る

山奥で窯業を開始した藤原さんは、
ある日、
たぬきの群れが輪になってお腹を叩いている光景を目にしました。

そこから閃きを得て、
記憶に残ったたぬきの姿にアレンジを加えることで、
現在のたぬきの置物の原型となる作品が生まれました。

・たぬきの評判、全国区へ

たぬきの置物を販売し始めて20年ほど経つと、
評判は全国に轟き、
家庭やお店の軒先に置かれるようになったのです。

・信楽焼 たぬきで一躍有名に

たぬきの置物は信楽焼きの一種になります。

誕生から現在まで、
藤原さんが作ったたぬきの顔や体系を受け継いでいるんです。

販売開始から間もない頃は、野性的な外見でしたが、
時が進むにつれて愛らしい見た目に変わっていったようです。

昭和26年、
昭和天皇が行幸で信楽を訪れました。

その際、地元の方々は、
日の丸の旗を掲げたたぬきの置物を沿道に並べて歓迎したそうです。

子どものころからたぬきの置物を集めていた昭和天皇は、
深い感銘を受け、
以下のような歌を詠まれました。

をさなきとき あつめしからに なつかしも 
   しからきやきの たぬきをみれば

・たぬきの置物で一躍有名に

マスコミによってそのエピソードが取り上げられ、
信楽焼きとたぬきの置物は一躍有名になったのです。

現在では、
信楽は全国津々浦々より観光客が訪れる人気観光地になりました。

・今も作品を生み出し続ける3代目

初代の藤原銕造さんから技術を受けついだ3代目・藤原一暁さん。

現在も伝統を守りながら信楽でたぬきの置物を生み出し続けています。

工房には初代から3代目までの作品が展示されているそうですよ。

信楽焼のたぬきの置物の特徴は?

【たぬきの置物】体の部位ごとの秘密

たぬきの置物には体の部位ごとに秘密があります。

あまり知られていないそれらの秘密をご説明していきます。

★八相縁喜(はっそうえんぎ)

たぬきの置物の、
笠・目・口元・お腹・お酒・大福帳・しっぽ・金袋の計8箇所には、
それぞれ意味があり、それぞれが福を呼んでくれます。

これを「八相縁喜」といいます。

【たぬきの置物】笠

たぬきの置物はどれも大きな笠をかぶっていますよね。

これは思いがけない災難や悪事から笠が守ってくれるという意味があります。

【たぬきの置物】目

たぬきのくりくりっとした大きな目。

これには、前後左右に気を配り、
お客様の気持ちを考えて商売ができるようにという意味があります。

【たぬきの置物】笑顔

お客様相手の商売は愛嬌や愛想がとても大切です。

笑顔を振りまくことで周りまで幸せな気持ちにする。

笑顔の大切さをたぬきの置物が教えてくれているんですね。

【たぬきの置物】通い帳

昔はお酒を買う際にツケにすることもあり、
お客様との関係性が今以上に重要だったようです。

たぬきが持っている通い帳は、
お客様との信頼関係を築けるようにとの願いが込められているんですね。

【たぬきの置物】とっくり

たぬきが持つとっくりには、
飲食に困らないようにとの意味が込められています。

とっくりは漢字で「徳利」と書きますが、
善行を積むことで商売繁盛に繋がるという意味もあるようです。

【たぬきの置物】しっぽ

たぬきの太くて丈夫な尻尾は、体を支える安定感を表します。

また、
「終わりよければすべて良し」という意味もあり、
過程よりも結果が大切、
失敗してもクヨクヨせず進んでいこうという意思が伝わってきます。

【たぬきの置物】腹

貫禄すら感じるたぬきのお腹に安心感を覚えます。

小さなことに動じず、
腹を据えて冷静に物事に取り組むことを表します。

【たぬきの置物】金袋

たぬきの大きな金袋には、
「自由に使えるお金が増えますように」という願いが込められています。

福の神が舞い降りるようにということだったんですね。

たぬきの置物には、色んな意味があるんですね。

信楽焼のたぬきの置物が縁起物と言われる意味や理由は?

居酒屋などの入り口や店内に置いてあるたぬきの置物については、
次のような意味があります。

キツネと同様に、たぬきが人に取りつく「たぬき憑き」も、
まれにではありますがあったそうです。

人がたぬきに憑かれると酒を欲しがったという俗信があることから、
「たぬきに取りつかれたように、いっぱい飲んでください」
というアピールであるそうです。

また、
たぬきの置物は、満腹した傲慢や姿を表現しているという説もあります。

つまり、でっぷりとしたたぬきの姿は、
料理をたらふく食べてご満悦の姿であり、
「当店でたくさん食べて欲しい」という、
お客様へのメッセージだというものです。

その他、大きな金袋から「八帖敷き」で、
広くてお客が沢山入るからなどといった理由から、
飲食業を営んでいる方に好まれる縁起物と言われております。

あとがき

狸の置物が置かれている店や家を見ると、
繁盛していたり裕福な家で有ることが多く、
そのほとんどが店や家の外でお客様が来る方を向いて置いてあります。

狸の置物は、
販売している店は少なくなかなか手に入らないと思いますが、
最近ではネット通販で購入することもできるので、
ぜひお気に入りの狸の置物を玄関先に置き可愛がってあげましょう。

そして、風水たぬきと呼ばれる、
様々なカラーリングを施された可愛らしい信楽焼のたぬきの置物も、
発売されており、
商売繁盛や金運アップには、黄色のたぬきの置物が効果的だそうです。

相性の良い西向きの玄関に配置したり、
結婚や恋愛運アップに仕事運の向上、
さらに信頼を得たいという場合には、
赤色のたぬきの置物を東向きの玄関に置きましょう。

ちなみに、NHKの朝ドラ『スカーレット』ですが、
“スカーレット”というのは、
信楽焼きの特徴でもある、黄味がかった赤色のことで、
和名では緋色と呼ばれる色の名称です。