相国寺と言えば、
天井に描かれた狩野光信筆の蟠龍図『鳴き龍』で有名な寺院です。
相国寺の鳴き龍も公開される2018年秋の特別拝観が、
いつからいつまで開催されるのかをお知らせします。
足利義満によって創建され、
幾度もの火災に遭いながら復興を繰り返した相国寺の歴史や、
相国寺 承天閣美術館についてお伝えします。
相国寺の鳴き龍公開2018年秋の特別拝観はいつ?
相国寺法堂の天井に描かれた狩野光信筆の蟠龍図は、
“鳴き龍”で知られています。
天井に描かれた龍の絵は、日光や鎌倉にもあり、
京都でも妙心寺や建仁寺、天龍寺や東福寺、
南禅寺や大徳寺にもありますが、
相国寺の龍の絵『蟠龍図』は、堂内で手をたたくと、
音が反響して龍が鳴いているように聞こえることから、
「鳴き龍」と呼ばれています。
通常非公開ですが「秋の特別拝観」でご覧いただけます。
相国寺 秋の特別拝観
拝観日程:2018年9月25日 (火)~12月15日 (土)
拝観時間:10:00 ~ 16:00受付終了
行事などにより、拝観休止日や拝観時間変更の場合があります。
見どころ:
秋の特別拝観では法堂(重文、本尊釈迦如来像・蟠龍図)、
方丈、開山堂(庭園)が公開されます。
法堂 重要文化財 本尊釈迦如来像 鳴き龍
方丈 平成25年に大修復が行われました。
開山堂 開山堂庭園
また相国寺承天閣美術館では、
近世以降の日本の著名な画家、
長谷川等伯(とうはく)や狩野探幽(かのうたんゆう)、
そして伊藤若冲など、
日本の絵画史において高く評価される作品も数多く伝来しています。
拝観料金: 800円
拝観場所: 相国寺
所在地:〒602-0898 京都市上京区今出川通烏丸東入
TEL:075-231-0301
【アクセス】
地下鉄「今出川」
市バス「同志社前」
臨済宗相国寺派大本山 相国寺の歴史
正式名称は萬年山相國承天禅寺 臨済宗相国寺派の大本山である相国寺は、
京都五山第二位に列せられる名刹です。
相国寺のご本尊は釈迦如来像で、
足利義満の発願により、
当時は“花の御所”と呼ばれた幕府の東側に建立されました。
十四世紀末、室町幕府三代将軍の足利義満により創建された相国寺は、
幾度も焼失と復興の歴史を繰り返しましたが、
現存する法堂は日本最古の法堂建築として、
1605年に再建された物を今に伝えています。
夢窓疎石を開山とし、創建当時は室町一条あたりに総門があったといわれ、
北は上御霊神社の森、東は寺町通、西は大宮通にわたり、
約144万坪の壮大な敷地に50あまりの塔頭寺院があったと伝えられています。
現在、相国寺は南に同志社大学、
北には京都産業大学附属中学・高校がありますが、
これら学校の敷地の大部分は天明の大火以後復興できなかった寺院や、
明治維新後廃合した寺院の址地です。
現在の寺域は約4万坪あり、境内には本山相国寺をはじめ、
13の塔頭寺院があり、
山外塔頭に鹿苑寺(金閣寺) 慈照寺(銀閣寺) 真如寺があり、
全国に100カ寺の末寺を擁しています。
足利義満は延文3年(1358)足利2代将軍義詮(ヨシアキラ)を父に、
石清水八幡宮検校通清の娘良子を母として生まれ、
幼名を春王と呼ばれました。
父義詮が病没し、11才で将軍職を継いだ義満は、
細川頼之の補佐を受けながら、
地方の有力な守護大名を制御して将軍としての地位を確立していきました。
応安4年(1371)室町北小路に造営中の室町第を完成させ、
ここに幕府を移します。
そこは大きな池を掘って鴨川の水を引き、庭には四季の花を植え、
それらの花が爛漫と咲き乱れたといいます。
その様を見て人々は「花の御所」と呼びました。
この時はまだ南北両朝の分裂は続いており、
細川頼之らの努力でようやく統一の兆しが見え始めていた頃でもありました。
義満は将軍としての地位を固めるとともに、
その一方で精神的支柱として師と仰ぐ春屋妙葩について参禅弁道に励みました。
そして自らの禅的賛仰の発現として一寺の建立を思い立ったのです。
永徳2年(1382)9月、嵯峨の三会院において夢窓国師の法要が営まれた際、
参詣した義満は、春屋妙葩、義堂周信を招きよせ、
一寺を建立して道心堅固な僧侶50名ないし100名を止住させ、
自らもまた何時となく道服を着けて寺に入り、
皆とともに参禅修行をしたいのだがどうかと相談しています。
二人の賛意を得て、
同年10月再び2人を招き天皇の勅許を仰ぐ意向と
寺号について相談をしています。
春屋は、
左大臣の位にあった足利義満に、
左大臣は中国では相国と言うので、相国寺と名づけてはいかがか」と答え、
また義堂周信は、
中国にも大相国寺という寺があり、天皇に勅許をいただくなら、
承天相国寺としてはどうかと助言しました。
義満は春屋と義堂周信に励まされ、相国寺大伽藍の創立を決意したのです。
永徳2年(1382年)10月には早くも法堂、仏殿の立柱が行われ、
春屋妙葩が最高責任者として指揮をとり、義満も工事の視察をしています。
同年12月、春屋妙葩が住持として入寺し、至徳元年(1384年)大仏殿立柱、
この時、寺号を万年山相国承天禅寺と定めています。
至徳3年(1386年)には三門の立柱上棟を行っています。
明徳3年(1392年)ついに完成をみた相国寺は、
勅旨により慶讃大法会が修せられています。
しかし、草創まもない相国寺は応永元年(1394年)、
寮舎からの出火で、堂塔伽藍全部を焼失します。
当時住持を退き等持院にいた相国寺第6世の絶海中津は、
義満に「ぜひ復興を」と励まし、義満はそのとき37歳でした。
翌年には仏殿、開山堂が立柱、応永3年(1396年)には法堂が再建されています。
応永6年に大塔が完成し、高さ360尺(109m)といわれ、
天下の壮観なりと言われましたが、
応永10年、落雷によって焼失しました。
こうして応永14年(1407)頃、相国寺は旧観に復興しましたが、
翌年義満が51才で逝去しています。
相国寺は、応永32年(1425年)の出火でまたも全焼、
そして当時の住持と四代将軍義持、その後六代将軍義教によって、
再建の努力がされました。
さらに足利義政によって再建が進められ、
寛正4年(1463年)法界門などが完成し再び大禅刹が出現したのです。
しかし応仁元年(1467年)1月18日に火ぶたを切った応仁の乱や、
天文18年(1549年)の天文の乱でまたもや相国寺は全焼してしまったのです。
このように内部からの失火で2回、
兵火で2回全焼してしまった相国寺の本格的な復興が始められたのは、
天正12年(1584年)、第92世西笑承兌が入寺してからです。
西笑承兌は、千利休らと共に秀吉に仕え、外交文書の作成を行ない、
秀吉の有力なブレーンとして重く用いられました。
そして、秀吉亡き後は、家康に仕え黒衣の宰相と呼ばれた人です。
この西笑承兌によって相国寺再建の資金が集められ、
豊臣秀頼の寄進により慶長10年(1605年)法堂が完成し、
慶讃大法会が行われました。
西笑承兌は、相国寺を再興した中興の祖といわれています。
この時建てられた法堂は現存し、現在では、日本最古の法堂として、
桃山時代にできた禅宗様建築としては、最大最優秀作といわれています。
法堂は松林に囲まれ、
その威風堂々たる伽藍建築は、重要文化財に指定されています。
その後、1788年に天明の大火の惨禍にみまわれましたが、
この法堂は、かろうじて難を逃れました。
その後、第103世梅荘顕常、第105世維明周奎らによって再建が進められ、
文化4年(1807年)恭礼門院(桃園天皇皇后)の旧殿を賜り、
開山堂として再建、方丈、庫裏等が再建され、
現在のものはいずれもこのときのものです。
明治時代になってから、明治政府の廃仏毀釈により、
全国の寺院は苦境に立つことになりました。
当時の教部省に信教の自由を認めるよう抗議したのが、
相国寺第126世独園承珠でした。
独園承珠は、明治政府の廃仏毀釈に対して、
全仏教界からの信頼を一身に負い、大教正となり、
仏教の信仰の自由を取り戻しただけでなく、
廃仏毀釈によって危機に瀕した相国寺の財政の再建にも尽くしました。
相国寺の鳴き龍公開2018年と承天閣美術館の催しは?
相国寺 秋の特別拝観と 承天閣美術館 催しのご案内
相国寺の承天閣美術館は、
昭和59年、相国寺創建600年記念事業の一環として、
本山相国寺・鹿苑寺(金閣)・慈照寺(銀閣)・他、
塔頭寺院に伝わる美術品を受託し、
それらの保存及び展示公開、修理、研究調査、
そして、禅文化の普及を目的として相国寺の承天閣美術館は建設されました。
現在では、国宝5点、重要文化財143点を含む、
多くの優れた文化財が収蔵されており、様々な展観を行っています。
第一展示室には、
鹿苑寺境内に建つ金森宗和造と伝えられる「夕佳亭(せっかてい)」を復元。
第二展示室には、
近世京都画壇の奇才、伊藤若冲による水墨画の傑作である重要文化財
「鹿苑寺大書院障壁画」の一部を移設しており、
古刹の境内の静謐な空間で、間近に作品をご鑑賞いただけます。
相国寺の承天閣美術館の開館時間
10:00~17:00(入館は16:30まで)
入館料は、開催中の展示により異なります。
一般:800円
65歳以上・大学生:600円
中・高生:300円
小学生:200円
(一般の方に限り、20名様以上は100円団体割引いたします)
※障害者手帳をお持ちの方と介護者1名は無料とさせていただきます。
※開催中の展示により入館料が異なることがあります。
必ず「開催中の展示」にてご確認ください。
※バリアフリー対応
お問合せ:
相国寺承天閣美術館事務局
〒602-0898 京都市上京区今出川通烏丸東入
TEL:075-241-0423 FAX:075-212-3585
あとがき
以前、他の寺院で『鳴き龍』を観たことがあったのですが、
その寺院の『鳴き龍』によって、
ずいぶんと鳴き声が違います。
どれが本当かって、
本当の龍の鳴き声を聴いたことがありませんので、
わかりませんけど、
相国寺の『鳴き龍』の鳴き声の迫力はスゴイです。
天井の高さや周りとの反響、その日の天候や乾燥具合、
そして上手な手の叩き方など、
いろんな要因があるのでしょうけど・・・・