京都で行われる重陽の節句の行事は何?食べ物で和菓子や行事食の献立は?

グルメ

重陽の節句を祝う行事で
京都で催されるイベントや祭事をご案内します
また 重陽の節句に重宝される
京都の和菓子を
その美しさとともに ご覧ください
さらに重陽の節句の行事食として
献立に用いられる旬の食材などをご紹介します

京都で行われる重陽の節句の行事とはどんなイベント?

古く宮中では 重陽の節句の前日の夜に 菊の花に綿をかぶせ 夜露と香りを移し
重陽の節句9月9日には その綿で身体をぬぐうことが無病息災の風習でした

旧暦の九月九日は重陽の節句 又の名を菊の節句と言います

陰陽道の考え方から『陽の数字』すなわち奇数は縁起の良い数字とされています
その中でも数字のもっとも大きい九が月に2つ重なる九月九日は
古くから五節供の中でも特に重んじられていました

その昔
菊慈童は七百歳まで生きたという中国の伝説から
菊は延寿の効があると信じられ 菊酒を飲む習慣がありました

季節は菊の真っ盛り 各所で菊が奉納され 宮中では菊花の宴が催されます
その宴にて 長寿や延命を祈願して
羽織物を菊の上に載せ それに菊の香りを移したのが『着せ綿』の始まりといわれております

9月9日の重陽の節句に 京都で催される行事をご紹介します

・京都駅
京都駅の駅ビル 大階段で
「大階段グラフィカルイルミネーション」重陽の節句バージョンが点灯
京都駅ビル開業15周年を記念して 2012年11月より開始されるようになったイベントの
重陽の節句バージョンです

171段中125段にちりばめられた約15000個ものLEDが季節感あふれるデザインに彩られます
「重陽の節句」バージョンは9/1~9/30までの予定

・市比賣神社(いちひめ神社)
重陽祭・カード感謝祭
市比賣神社では「敬老感謝祭」として
菊の花を神前に供えて1年の無事を感謝するとともに
1年間愛用してきた南天の木の箸を神前に奉納して長寿を祈願する

11:00よりカード感謝祭および重陽祭の神事の後
本殿鳥居前にていちひめ雅楽会による雅楽の演奏とともに
巫女による「菊寿の舞」の奉納も行われる

奉納行事が済むと 古代中国の物語「菊慈童(きくじど)」を模し
菊を浮かべた「菊酒」や「南天箸(なんてんはし)」「長生きうどん」が振る舞われる

9月9日の前夜に菊の花を真綿で菊の香を移し
翌9月9日の朝に露で湿った真綿で身体を拭い不老長寿を願うという宮中行事に基づく
「菊の着せ綿(きくのきせわた)」が神前に並べられるほか
宮中より特に伝わったとされる「菊の御中(きくのおなか)」守りが当日限定で授与される

境内のカード塚にて期限切れや使用済みのカードに感謝して供養する祭典
「カード感謝祭」も併催される

・下鴨神社 相生社(あいおいのやしろ)
結納祭 重陽の節句に京都結納儀式協同組合の主催で開催されます
縁結びで知られる相生社にて 古い結納飾りや捨てられない結納品
熨斗・末広などを納める行事です

相生社のご神木でもある「連理の賢木(れんりのさかき)」は
縁結びパワーが凄いとのことで 連日参拝客が絶えません

・北野天満宮
余香祭 太宰府へ左遷された菅原道真が 左遷の前年に宮中の重陽の宴で詩を詠まれ
御衣を賜ったことを追想して詩を作ったことに由来する行事

毎年決められたお題をもとに全国から献詠された数百首の和歌が神前にて披露される
「披講式」が行われ 道真を偲ぶ

正月に宮中で行われる歌会始儀とほぼ同じ形態で行われ
当日は重陽の節句にちなんで神前に黄菊・白菊が飾られるほか
全員が冠に小菊をかざして奉仕する

・虚空蔵法輪寺
重陽の節会  菊水を飲んで不老長寿を得たという伝説の菊慈童(きくじどう)像に
献花し 能および謡曲の奉納がなされます

・車折神社
重陽祭  不老長寿・除災招福の祈願と雅楽および舞の奉納が催されます

・上賀茂神社
重陽神事・烏相撲  本殿に菊花を供え延命長寿・無病息災を祈願するほか
菊酒の無料接待も行われる
続けて地域の子供たちにより奉納される烏相撲は
祭神の外祖父で下鴨神社の祭神・賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)が
神武天皇東征に際し 八咫烏(やたがらす)に化身して先導した故事に基づくもの

白い装束を着た刀弥(とね)による烏の鳴き声がユーモラスな儀式の後
禰宜方(ねぎかた)と祝方(ほうりかた)に分かれて行われる

・貴船神社
菊花神事  神前には白と紅紫の貴船菊が供えられ 巫女が菊花を手に豊栄舞を奉納する
まさに菊が彩る神事で
神事後の「直会(なおらい)の儀」では御神前に供した菊酒を参列者も頂くことができる

菊花神事は11:00よりおこなわれ 所要時間は約50分
先着30名様まで一般参拝者も殿内参拝が可能です

初穂料無料で事前に整理券を配布されます

重陽の節句の食べ物 京都の和菓子は?

京都には 有名な和菓子屋さんがたくさんあり
重陽の節句にちなんだ和菓子を作られているところもあります

着せ綿(被綿・きせわた)
煉切製
中国から伝わった重陽の節句ですが 日本独自の風習として 菊の被綿があります

これは重陽前夜 つまり9月8日の夜 菊の花を真綿で覆って夜露と香りを移しとり
翌朝 その綿で体や顔を拭うというものです
そうすれば老いが去り 長寿を保つと信じられていました

また近世になると 白菊には黄色い綿 黄菊には赤い綿 赤菊には白い綿を使い
色を変えた小さな綿で蕊(しべ)を作る という風に
色々と細かい決まりもできてきたようです

しかし 旧暦の時代には盛んに行われていた被綿も
新暦が採用されてからは さすがに9月9日では 菊の開花には早いでしょうし
夜露も降ることが少なく 明治時代以降は次第に行われなくなりました

宮中も含めて 被綿の記録はあまり残ってないそうです

旧暦9月9日は 現在の暦でいうと10月22日頃で
新暦の9月9日 現在の重陽の節句の日では 季節が少し違いますが
季節感を大切にする和菓子の世界では 季節の先取りを“粋”として

重陽の節句を和菓子で表現しています

【甘春堂】 甘春堂 謹製 重陽の節句 創作上生菓子「重陽の節句セット」
白・黄色・赤の菊花の色をさまざまな形にて表現されています

【京都茶寮】
「重陽の節句セット」
抹茶(薄茶「雲鶴」)と和菓子「着せ綿」のセットです

【笹屋伊織】 重陽
菊をあしらった 愛らしいお干菓子の詰合せです
重陽の節句の贈り物にもぴったりですね♪

【とらや】 菊の露 羊羹製・白餡入
紅の菊形の上に新引粉(みじん粉)を置き 露を見立てています
何とも上品な重陽の節句菓子です

【総本家駿河屋】 着せ綿 (煉切製・白あん)

【本家玉壽軒】 菊の香り (こなし製・白あん)

【仙太郎】 重陽の日過迄
老玉と菊をあらわす煉切2種類が1箱に一緒に入った愛らしいお詰合せです

【鼓月】 華
黄身餡の入った 桃山風の焼饅頭の代表銘菓「華」
菊の花を形どって古都王朝の雅に相応しい形に仕立てています

どの和菓子も 芸術的な美しさです
食べるのがもったいなくっていつまでも眺めていたくなるような和菓子です

京都の和菓子職人さんの感性が光ります

重陽の節句 この時期だけの限定販売です

京都のお漬物や和菓子など京名物 おみやげの記事一覧

重陽の節句の食事で行事食の献立は何?

9月9日は重陽の節供ですが
旧暦の9月といえば今の10月で作物の収穫が終わった頃です

栗ごはんを炊いたり お餅をついたりするなど 収穫を祝う習慣もあります

「お九日(くんち)」にナスを食べると
中風(ちゅうぶ)にならないとする地域もあります

重陽の節供にちなんだお料理で 収穫の秋 味覚の秋を楽しみながら
重陽の節句と 日本の食文化が持つ本来の意味を考えさせられます

旬の食材と重陽の節句の献立には 単なる習慣だけではなく深い意味があるのです

重陽の節句の献立に使われる食材は この季節に収穫できる旬の食材です

重陽の節句で行事食として食卓に並ぶ献立に
栗ごはん 焼きナス 菊の花のおひたし 菊と春菊のお吸い物などがあります

行事食とは 1年を通して自然の恵みに感謝し 伝統行事や祭りの際に食べる食事です
健康祈願の意味も含まれており 旬の食材が多く取り入れられます

重陽の節句に「茄子の煮びたし」や「焼き茄子」などの茄子料理を食べるのは
不老長寿や無病息災を祈る行事食です

『秋茄子は嫁に食わすな』という言葉を聞いたことがある人もおられると思いますが
これは ナスがカラダを冷やす効果があることから
「お嫁さんの身体が冷えて 赤ちゃんが出来ないと困る」
という意味から 言われている言葉のようです

ナスは その94パーセントが水分でできていて
食物繊維はキュウリのおおよそ2倍も含まれています

他にもナスには ビタミンB群やビタミンC カリウム・鉄分・カルシウムなど
豊富な栄養素を含んでいて 生体調節機能に優れている食べ物です

今話題のポリフェノールが ナスの色素にはたくさん含まれていて
アンチエイジングや生活習慣病の予防に効果があると注目されています

重陽の節句が菊の節句ともいわれるように 食用菊はこの季節の旬の食材です
献立の一品に食用菊をあしらったものを盛り込むと秋の風情が漂います

食用菊は 血行を良くする効果があり
肩こりや冷え性を改善する効能があると言われています
最近では コレステロール値を下げる効果もあると言われ
血栓症の予防に効果があると言われています

また 重陽の節句は 栗の節句ともいわれています

栗には ビタミンCが多く含まれ 風邪の予防や美容にも効果があります
ビタミンB1も豊富に含まれ 疲労回復に効果があると言われています

栗には 鉄分や食物繊維も多く含まれ
血を作るための栄養素 葉酸なども摂取できます

重陽の節句は 長寿を願う節句です
食用菊や栗は長生きするのに必要な栄養素がたくさん摂れる食材なんですね

旬の食材は その季節が一番おいしいとき またたくさん収穫できる時なので
旬のものを食することこそ 長寿の秘訣ということで重陽の節句があるのですね

長寿の祝い 祝う年齢早見表一覧 名称の読み方と書き方 その由来は何?

まとめ

重陽の節句は 長寿を願う節句と言われますが
この時期 夏の疲れを感じる季節でもあります
静かな秋の雰囲気を味わいながら
身も心も癒してくれるような
そんな優しい食べ物が恋しくなります・・・
でも 甘いものは別バラです