野菜を食べるメリットは肉食で摂れない体の機能に必要な物質を補えます

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野菜を食べるメリットにはどういう意味があるのでしょうか
野菜はどうしてもお料理の付け合わせ的な感じで軽視しがちですが、
お肉中心の食事では摂ることのできない、
ヒトが生命を維持する上で必要不可欠な物質が含まれています。
カラダの機能が潤滑に発揮できるようにする重要な物質です。
それらはどんな物質で、
どの野菜に多く含まれているかをお伝えします。

  

野菜を食べるメリット ①ビタミンCが摂れる

野菜を食べるメリットにはどういう意味があるのでしょうか?

厚生労働省では、一日に350gの野菜を摂取するようにと推奨していますが、
今、日本の成人が食べている野菜は、一日280g前後と言われています。

昔から比較的野菜を好まないとして知られているアメリカ人よりも、
野菜の摂取量が少ない状況です。

生野菜なら野菜の栄養素を損なわずに摂り入れられます。

温野菜は加熱の過程で破壊される栄養素もありますが、
カサが減って食べやすくなるというメリットがあるので、
その分たくさん食べることができます。

生野菜や炒めた野菜、茹で野菜など上手に組み合わせて摂るようにしたいものです。

野菜には肉からでは摂りにくい栄養素を含んでいます。

その筆頭に挙げたいのは『ビタミンC』です。

ビタミンCは、肉にはほとんど含まれていませんが、
たんぱく質の合成には欠かせない、ヒトにとってはなくてはならない栄養素です。

ヒトは、ビタミンCが不足すると壊血病という死に至る病を招きます。

皮膚、粘膜、血管などをつくるタンパク質(コラーゲン)を構成する、
アミノ酸の一種『ヒドロキシプロリン』の合成にビタミンCが不可欠だからです。

ビタミンCには人体に有害な活性酸素に対する抗酸化作用もあります。

ビタミンではC以外にEにも抗酸化作用があります。

ビタミンEは油脂に溶ける脂溶性で、
細胞膜の油脂成分に溶けて細胞を活性酸素から守っていますが、
水に溶ける水溶性のビタミンCは、フットワークが軽くてどこにでも拡散しますし、
酸化されたビタミンEを身代わりになって再生させる機能を担っています。

ビタミンCは、レモンやイチゴといった果物に多いというイメージが強いのですが、
緑黄色野菜にもたくさん含まれています。

含有量が多い順におもな緑黄色野菜を並べてみると、
100g当たりの含有量として、
・赤パプリカ…170mg
・黄パプリカ…150mg
・パセリ…120mg
・ブロッコリー…120mg
・カリフラワー…81mg
・モロヘイヤ…65mg  となります。

果物にはビタミンCも含まれていますが、糖質も多いので、
肉とともに野菜を食べるときは、
これら緑黄色野菜を意識的に食べ、ビタミンCの摂取量を増やすようにしましょう。

厚生労働省によるビタミンCの摂取推奨量は、一日100mgとなっています。

多くの哺乳類はビタミンCを体内で合成できますが、
体内でビタミンCを合成できないのが、サルやヒトのような霊長類に多いのです。

私たちのご先祖様は、
緑黄色野菜や果物が豊富な環境で暮らしていたと考えられます。



野菜を食べるメリット ②ミネラルが摂れる

肉食だけだと不足しやすいミネラルに、カルシウムとマグネシウムがあります。

カルシウムもマグネシウムも骨や歯を構成するもので、
カルシウムは神経や筋肉の活動になくてはならないミネラルでもあり、
マグネシウムは体内で300種類以上の酵素の働きを助けて代謝を活性化しています。

カルシウムやマグネシウムが不足すると、骨がスカスカになって、
骨折しやすくなる骨粗鬆症に陥りやすくなります。

骨は、
タンパク質がつくる土台にカルシウムやマグネシウム成分が堅く結晶したもので、
骨のミネラル成分(骨量)が減って強度が落ち、
骨折を起こしやすくなった状態を骨粗鬆症と言います。

筋肉と同じように骨も新陳代謝しています。

骨の古い細胞を『破骨細胞』が壊してカルシウムなどを放出し、
血中から摂り入れたカルシウムなどから『骨芽細胞』が新たなる細胞をつくるのです。

これを『骨代謝(リモデリング)』と言います。

この骨代謝により、3ヶ月ほどで全身の骨の中身はすっかり入れ替わるのです。

骨代謝が順調なら骨のボリュームは保たれますが、
骨代謝が乱れて破骨細胞の分解が骨芽細胞の合成を上まわると、
骨量が減って骨は脆くなります。

その行き着く先が骨粗鬆症で、日本には骨粗鬆症患者がおよそ1100万人もいます。

成人のカルシウムの一日の必要量は650mg以上で、
厚生労働省の『国民健康・栄養調査』によると、
成人が一日に摂取しているカルシウム量は500mg程度と足りていません。

カルシウムの含有量が多い野菜には、100g当たりの含有量、
・切り干し大根…540mg
・パセリ…290mg
・モロヘイヤ…260mg
・バジル…240mg
・シソ…230mg
・ケール…220mg
・水菜…210mg
・小松菜…170mg  となっています。

これまで野菜のような植物性食品に含まれているカルシウムの吸収率は、
低いと考えられていましたが、
現在では牛乳や乳製品などのような動物性食品に含まれているカルシウムの吸収率と、
遜色ないことがわかっています。

それでもカルシウム不足が心配な場合は、煮干しや干しエビで補いましょう。

大さじ一杯の煮干しや干しエビには約570mgのカルシウムが含まれています。

煮干しや干しエビは、ミキサーで砕き、保存容器に入れて冷蔵庫で保存すると便利で、
肉料理や野菜料理に振りかけると旨みがグッと増します。

カルシウムだけでなくマグネシウムも日本人には不足しています。

厚生労働省の基準では、成人男性では一日340mg以上、
女性では270mg以上の摂取が必要とされているのに対して、
実際の摂取量はそれを大きく下回っているのです。

マグネシウムが多く含まれている野菜には、100g当たりの含有量、
・切り干し大根…170mg
・シソ…70mg
・ほうれん草…69mg
・バジル…69mg
・枝豆…62mg
・モロヘイヤ…46mg
・パセリ…42mg   となっています。

このほか、野菜サラダに砕いたミックスナッツを振りかけると、
カルシウムとマグネシウムの補給になります。



野菜を食べるメリット ③食物繊維が摂れる

肉中心の食事だと絶対的に不足するのが食物繊維です。

食物繊維は、ヒトに備わっている消化酵素では分解しにくいため、
ほとんど栄養にもカロリーにもならないたべものが繊維質です。

食べても栄養にもカロリーにもならない食物繊維は、
長い間無駄なものと軽視されてきましたが、
独自の機能を持つとわかり、脂質、タンパク質、糖質、ビタミン、ミネラルに続く、
『第6の栄養素』と呼ばれるようになりました。

食物繊維には水に溶ける水溶性と、水に溶けにくい不溶性があり、
それぞれ機能が異なります。

水溶性の食物繊維には粘着性があり、消化管の中をゆっくり移動し、
糖質の吸収を緩やかにして血糖値の急上昇にブレーキをかけます。

不溶性の食物繊維は消化管の中で水分を吸収して膨らみ、
消化管の壁を刺激します。

口から肛門へと消化物を進める『蠕動運動』を活発にします。

また、よく噛まないと飲み込めないので、早食いによる過食を防ぐことができます。

野菜には水溶性も不溶性も含まれていますが、
とくにメリットが大きいのは不溶性食物繊維による蠕動運動の活発化です。

蠕動運動がスムーズになると、便通が促されて便秘を解消しやすくなります。

日本の女性の二人に一人は便秘と言われるほど便秘に悩む人は増えています。

その大部分を占めているのは、
小腸や大腸といった消化管そのものには異常が見当たらないのに、
消化管の機能が低下して起こる『機能性便秘』です。

この背景には、食物繊維の不足があると考えられています。

厚生労働省の食物繊維の食事摂取基準は、一日男性で19g以上、女性17g以上ですが、
成人の一日の平均摂取量は、男女ともに13g前後と基準を下回っています。

食物繊維が多い野菜は、100g当たりの含有量、
・エシャロット…11.4g
・シソ…7.3g
・パセリ…6.8g
・モロヘイヤ…5.9g
・ゴボウ…5.7g
・明日葉…5.6g
・ニンニク…5.7g
・オクラ…5.0g
・ブロッコリー…4.4g
・大根の葉…4.0g
・春菊…3.2g   となっています。

野菜のほかにも、食物繊維はキノコ類や海藻類にも多く含まれていますから、
野菜が不足しているときはキノコ類や海藻類で補うようにしましょう。

あとがき

野菜を食べるメリットを知ることで、
お肉と野菜のバランスを考え、
献立作りをする重要性を感じます。
まさに医食同源ですね。