奄美大島が世界自然遺産に2021登録決定!その理由は絶滅危惧種を守るため⁈

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国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は、
2021年7月26日、
鹿児島県の奄美大島と徳之島、
それに沖縄県の沖縄本島北部と西表島にある森林などを、
世界自然遺産に登録することを決定しました。


イリオモテヤマネコ、アマミノクロウサギ……
世界自然遺産に指定された4島

世界自然遺産の登録区域は、
沖縄県の本島北部と西表島、鹿児島県の奄美大島と徳之島の
4島にまたがる陸域の計約4万3千ヘクタールで、
大部分が森林です。

かつて大陸とつながっていたこの地域は海面上昇で島となり、
動植物はそれぞれの島で独自の進化を遂げて、
イリオモテヤマネコ、ヤンバルクイナ、アマミノクロウサギなど、
多くの固有種が生まれたのです。

  

奄美大島が世界自然遺産に2021登録決定!その理由は?

 
琉球諸島は2003年、
国内で世界自然遺産候補地に選定されました。

国内手続きを経て日本政府は2017年、
ユネスコに推薦書を提出しましたが、
ユネスコの諮問機関は18年、
区域が分散していて一体的な保全ができないこと、
沖縄島北部の米軍北部訓練場の跡地が含まれていないことを問題視し、
抜本的な見直しを求める登録延期を勧告しました。

 
日本政府は、米軍返還地を含めて区域を再編し、
2019年に推薦書を再提出しました。

諮問機関は2021年5月
「生物多様性の保全上、重要な地域」と評価し、
世界自然遺産の登録を勧告しました。

奄美大島・喜界島・徳之島の観光スポットについてはコチラ!

こんもりとした緑の山々。

木々で覆われた谷の存在が曖昧に見えるほど密度の高い森が続くのは、
鹿児島県奄美大島南部で、
この程、世界自然遺産に指定された4島の陸域です。

なんだか新鮮なブロッコリーのようです。

この奄美大島、徳之島、沖縄本島北部、西表(いりおもて)島と、
世界自然遺産に指定された琉球列島の四つの島は、
美しい海で知られていますが、
今回、世界に誇る価値が見いだされたのは、
温暖で湿潤な気候が生んだ豊かな森なのです。

かつてユーラシア大陸の一部だった島々には、
長い歳月をかけて離れたりつながったりの変遷を経て、
独自の生態系が構築されたのです。

大陸ではすでに絶滅した生物が、
奇跡的にいまでも生き残っているのです。

世界自然遺産に登録された奄美大島の自然がアブナイ!

奄美大島において、その生態系の頂点に君臨するのが『ハブ』

命を奪うほどの猛毒を恐れ、
地元の人々が森へのむやみな出入りを控えたことが、
今まで自然が守られてきたことの理由の一つだといわれています。

その森に生息する動植物の多くは、
きわめて希少な固有種や絶滅危惧種なのです。

世界自然遺産に登録された地域内、
標高約694mの湯湾岳(ゆわんだけ)のハイキングルートでは、
歩き出して早々に一帯の固有種
リュウキュウハグロトンボやシリケンイモリが現れます。

文字通り黒い羽をしたトンボの美しさに、
しばし歩みを止めてしまうほど見入ってしまいます。

奄美大島以南には、サルやシカが生息しないなど、
同じ鹿児島県内の離島でも、
北に位置する屋久島や種子島とでは、
生態系が大きく違っているところが興味深いところです。

湯湾岳から勢いよく流れ落ちる滝では、
シダの一種で絶滅危惧種のオオタニワタリが、
木の幹に茂っています。

寄生にも見えるのですが、
湿度の高いブロッコリーのような濃密な森のなかで、
空気中から水分を得ているのですから、
共生しているということなのでしょう。

太古の面影を残すシダ植物『ヒカゲヘゴ』が群生するのは、
金作原(キンサクバラ)原生林

金作原原生林についてはコチラ!

巨大なゼンマイにも似たその若芽と、
傘のように頭上を覆う葉を眺め、
古代へと時を遡ったかのような気分にかられます。

途中、台風の被害を受けた倒木が痛々しく目に映るのですが、
森の地表まで光が届いて、
新しい命が芽生える機会がここにあるのだと感じさせられます。

奄美大島といえば眩しい青空が広がる南国のイメージなのですが、
実は雨が多く、
年間日照時間は全国平均の半分以下だというのです。

とりわけ鬱蒼とした森での生存競争は激しく、
光を求めて縦横無尽に枝を伸ばす木々のたくましさに感動です。

奄美大島の金作原原生林はまるで原始時代の森 ?!

観光案内や金作原原生林のトレッキング、ツアーなど、
総合的に奄美観光をサポート。

無料配布の奄美大島探検図は、
地域の観光名所や飲食店、トイレ、休憩所まで網羅。

観光ネットワーク奄美についてはコチラ!

金作原原生林は国の自然観察教育林に指定されているエリアです。

巨大なヒカゲヘゴや推定樹齢130年のイタジイなどといった
亜熱帯広葉樹林で覆われています。

まるで原始時代の森を見ているようだといわれます。

原生林の散策路は、かつての林道です。

昭和の高度成長期、パルプ材として木々が伐採され、
島内では、ハゲ山も少なからず見られたそうです。

その後、自然保護の意識の高まりに加え、
安価な輸入材にその座を奪われたことで、
結果的に世界自然遺産への道が開けたという話も、
感慨深いものがあります。

そんな森の住人を目の当たりにしたのが、
山間部を車で行く『夜の野生生物観察コース』です。

自然が相手だけに空振りすることもあるということですが、
鳥たちは、毎晩決まった場所で眠りのつくとのことです。

ですから、
地元の人ですら滅多に出合えない『アカショウビン』や、
天然記念物の『ルリカケス』に、
お目にかかれるチャンスかも知れないのです。

この夜の最大のお目当ては、
特別天然記念物の『アマミノクロウサギ』です。

ゆ~っくりと車を走らせていて、
道端の草むらがガサガサ動いたら、いた!

黒い体毛と小さな耳が特徴的な
『アマミノクロウサギ』の姿を見ることができるかも!

聞くところによると、
『アマミノクロウサギ』は、とっても臆病な性格のため、
視界が開けた場所でないと、
安心して食事や糞をすることができないそうです。

そのほか、
街灯にきらめく『オットンガエル』や『アマミハナサキガエル』
一瞬で姿を消してしまう『ケナガネズミ』など、

彼らの生活を壊さないように充分注意して、
驚かせないよう物音を立てずに行動すれば、
希少生物を次々とみることができるのです。

奄美大島でハブとマングースの対決は見られない!

奄美観光ハブセンターについてはコチラ!

発端は1979年、
ハブ退治のために30頭のマングースが森に放たれたのです。

これでハブが退治されるという期待を裏切って、
マングースはハブ以外の生物に被害を及ぼし、
奄美大島の生態系は崩壊寸前の危機に見舞われたのです。

奄美観光ハブセンター
住所 鹿児島県奄美市名瀬長浜町3-15
アクセス  奄美空港からしまバス空港線ウエストコート前行きで57分、
      終点下車、タクシーで5分
営業期間  通年
営業時間  9:00~17:00(閉館)
休業日   無休
料金   大人500円、小人300円
      ビデオ鑑賞込
カード利用 利用不可
駐車場 あり
駐車台数 10台
駐車料金 無料
電話 0997-52-1505

奄美・沖縄諸島の蛇や世界中に生息する毒蛇など、
約40種の蛇を飼育しています。

以前実演されていたハブとマングースの戦いは、
動物愛護団体からのクレームにより、
2012年5月から見られなくなり、
ビデオ上映のみになってしまいました。

実際の生きたハブはまだ見てさわれます。

地下一階の展示室も見ものです。入場料は500円です。

人々がハブの正しい生態を知り、
ハブに咬まれない知識を説明し、大変好評を得ています。

ハブは、沖縄諸島や奄美諸島に生息していることは有名ですが、
沖縄諸島・奄美諸島の中でも、
喜界島・沖永良部島・与論島・伊是名島・粟国島などには、
生息していないということです。

沖縄諸島や奄美諸島は、亜熱帯気候の地域ですが、
冬には気温も下がり冷えることもあります。

ハブは、体温が外気温に左右される変温動物ですから、
11月~3月の寒い時期は冬眠します。

それ以外の暖かいい時期、
特にハブにとってちょうど良い5月後半~6月が繁殖期でもあり、
最も活発に活動する時期となります。

ハブは寒さに弱い一方、亜熱帯の日中の暑さにも弱く、
暑い時、ハブは藪の中などの
日の当たらない場所や木の上にひそんでいます。

そして少し気温の下がる夜間にハブの活動は活発になりますので、
お祭りの帰りやキャンプ、
バーベキューや花火などをする際には十分注意が必要です。

また、夜に雨が降った場合、
雨上がりの直後に出ることが多いです。

奄美大島だけでも、
年間 一万匹以上のハブが買い上げされえているということですが、
餌となるカエルやネズミが活動化する雨上がりの直後には、
出没することが多いのです。

そんなハブの被害を減らすために、生きたハブを捕獲し持ち込むと、
役所や保健所では1匹3000円、
奄美観光ハブセンターに持っていくと、
その重量によって大きいものなら 4000円~5000円で換金されるのです。

しかし、
環境破壊や、
過剰なハブ取りなどで、近年ハブが少なくなり、
特に500g以上の大きなものは、
今世紀に入って急速に見られなくなったということです。

島にはハブの捕獲でおこずかい稼ぎをしている人も、
たくさんいるとのことですが、
危険ですから素人は絶対にまねしないでくださいね。

40年以上前、ハブやネズミの駆除のため、
島にマングースが放たれました。

ですが、
昼に活動するマングースと、
夜行性のハブが出合う機会は少なかったのです。

そのため、
代わりにマングースのエサとして襲われた
クロウサギやケナガネズミなど、
在来の希少動物が減っていったのです。

島特有の貴重な動物たちが絶滅してしまうかも知れない!

自然保護関係者がマングースの駆除を始め、
2000年からは国のチカラも加わり、
島全域に約3万個のワナを張りめぐらせ、
最初の2年間で約5300匹を捕獲。

環境省肝いり プロの捕獲集団
「奄美マングースバスターズ」らの活躍で、
今ではマングースの推定生息数が10匹以下と、
ピーク時の1千分の1になったということです。

この成果も世界遺産登録の実現を後押ししたようです。

あとがき

私も40年以上前に、観光で奄美大島を訪れた時、
『ハブとマングースの対決』という実演をこの目で見ました。

沖縄や奄美では、ハブは怖いものという常識の中、
マングースがハブを退治してくれるという目論見もあり、
観光の目玉としてたくさんの人々が鑑賞していました。

よくよく考えると、人間の身勝手で、
残酷なことですね。

そんな人間の思惑が外れ、
今度はそのマングースが退治されなければ、
奄美特有の在来種や天然記念物が危なくなったわけです。

大自然を操ろうとして、
操り切れなかった人間の大失態!

自然とは偉大なもので、
そんな中で、
人間のチカラなんてちっぽけなもんだと
思い知らされる事象ですね。