嚥下障害の症状と原因は何?予防する方法と喉の筋肉を鍛える方法は?

「嚥下(えんげ)障害」とは、
食べ物を上手に飲み込めない状態のことです。

嚥下障害があると、
食事に苦労がつきまとうため、
食べる楽しみが減ってしまいます。

それだけではなく、
そのまま放っておくと命を脅かす病気を招くこともあります。

嚥下障害の、原因や症状、
予防と喉の筋肉の鍛え方について調べてみました。

嚥下障害の症状と原因は何?

■嚥下障害とは?

「嚥下(えんげ)」とは、
口の中のものを飲み込んで胃に送ることで、
飲み込む動作が上手くできない状態を嚥下障害といいます。

食べ物を上手く飲み込めないと食事が取りづらくなるため、
「低栄養や脱水を起こす」
「食べ物が喉に詰まって窒息する」
といった危険があるほか、
高齢者の命を脅かす病気
「誤嚥(ごえん)性肺炎」を引き起こす原因にもなります。

■嚥下障害の症状

・食事中にむせる

特にむせやすいのは、味噌汁やお茶などの水分、
または水分と固形物の入り混じった食べ物です。

むせるのを避けようと
水分を多く含むものをあまり取らなくなると、
脱水につながります。

飲食物だけでなく、
自身の唾液でも咳き込む場合があります。

・固形物を噛んで飲み込めなくなる

硬い食べ物はよく噛まないと飲み込めないため、
麺類などの柔らかいものや、
噛まずに食べられるものを好むようになります。

その結果栄養が偏り、低栄養につながります。

・食事をすると疲れる、最後まで食べきれない

時間をかけてよく咀嚼しなければ飲み込めなかったり、
飲み込んでも口腔内に食べ物が残ったりするため、
食事に時間がかかるようになります。

食べられるものも制限されるため、
食事自体の楽しみが奪われ、
食べる意欲の低下につながります。

場合によっては、
食事の途中で肉体的・精神的に疲れてしまい、
出されたメニューをすべて食べきれないこともあります。

・食事の後、声がかれる

声質の変化もよく見られる症状です。

食べ物を飲み込んだあとに声がかすれたり、
口腔内に食べ物が残留することから痰が絡みやすくなり、
がらがらした声になったりします。

・体重が減る

食べる量が減る上、食事の内容が偏るため、
低栄養状態になって体調を崩しやすくなり、
体重が落ちていきます。

他にも、下記の様な症状があります。

・食事中によくむせる
(特に水分でむせることが多く、みそ汁などを避けるようになる)

・食事中でなくても突然むせる、咳き込む
(唾液でむせているもの)

・飲みこんだ後も、口腔内に食物が残っている

・ご飯より麺類を好むようになったり、
咀嚼(そしゃく)力低下や歯科的問題で、
噛まなくてよいものを好むようになる

・食事の後、がらがら声になる

・食べるとすぐ疲れて、全部食べられない

・体重が徐々に減ってきた

・毎日飲んでいた薬を飲みたがらない

・水分をとりたがらない(尿量が減った)

・発熱を繰り返す(誤嚥性肺炎の疑い)

・夜間、咳き込むことがある

■嚥下障害の原因

嚥下障害の原因は、
「器質的原因」
「機能的原因」
「心理的原因」の3つに大別されます。

・器質的原因

嚥下に関わる口腔内から胃までの気管に、
食べ物の通過を妨げる構造上の問題があり、
うまく嚥下ができなくなるケースです。

中でも多いのは、
口内炎や喉頭がんによる腫瘍、炎症などです。

唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)などの
先天的な奇形が原因となることもあります。

・機能的原因

器官の構造そのものには問題がなく、
それらを動かす筋肉や神経に問題があって
嚥下機能が衰えるケースです。

運動麻痺や認知機能障害を引き起こす
「脳血管疾患(=脳卒中)」、
または「パーキンソン病」に代表される
神経と筋肉の伝達異常が生じる
「神経筋疾患」が原因の可能性があります。

向精神薬
(こうせいしんやく:精神科で処方される薬の総称)や、
鎮静剤といった、
薬剤の影響で各器官の働きが低下することもあります。

加齢により咀嚼や嚥下に必要な筋力が衰えるのも、
機能的原因の一つです。

筋力が低下すると、
飲み込むときに気道を閉じることができなくなり、
食べ物が気管に入りやすくなります。

・心理的原因

うつ病などによる食欲不振など、
心因性の疾患が嚥下障害を引き起こすケースです。

■嚥下障害が引き起こす「誤嚥性肺炎」

・誤嚥性肺炎とは

通常、
口腔内のものを飲み込むときは、
気管につながる部分が閉じています。

しかし、嚥下障害があると、この機能がうまく働かず、
唾液や食べ物、胃の逆流物などが、
気管に入ってしまうことがあります。

気管に入った唾液や食べ物に含まれる
細菌が肺に送り込まれると、
中で炎症を起こし、
激しく咳き込んだり高熱が出たりといった症状が現れます。

これが誤嚥性肺炎です。

日本において肺炎は、
がん、心疾患についで3番目に多い死因です。

肺炎で亡くなるのはほとんどが高齢者で、
その中でも誤嚥性肺炎による死亡は、
7~8割以上を占めるといわれています。
「70 歳以上の高齢者の誤嚥性肺炎に関する総入院費の推計値(2014年)」から引用)

高齢者は気管の異物を追い出す機能が衰えているため、
誤嚥を起こしやすく、
誤嚥性肺炎にかかりやすいのです。

また、胃の逆流物を誤嚥すると、
それに含まれる消化液や酸で気道粘膜が損傷してしまいます。

傷ついた気道粘膜は治りにくく働きも鈍くなり、
誤嚥しても咳などでなかなか異物を追い出せなくなるので、
一度誤嚥性肺炎にかかると、
また繰り返してしまう危険性が高くなります。

ちなみに日本人の死因の上位を占める脳血管疾患は、
嚥下障害の原因の一つです。

嚥下障害の兆候を見逃さないことは、
がんや脳の疾患、肺炎など、
命の危険がある病気の早期発見や予防につながっています。

■誤嚥性肺炎の症状

肺炎にかかると、
通常、
「高熱が出る」
「激しく咳き込む」
「呼吸が苦しくなる」
「肺雑音がする」
「黄色く濃い痰が出る」

といった症状が現れますが、
誤嚥性肺炎ではこうした症状が
はっきり見られないこともあります。

特に高齢者の場合は、
病状が進んでも表に現れる症状は
軽く見えることがあるので、
重症化してから初めて気が付くという事態になりかねません。

「なんとなく元気がない」
「ぼんやりしている時間が増えた」
「唾液や食べ物をなかなか飲み込まない」
「食後に疲労している」

などの様子が見られたら、
誤嚥性肺炎を疑いましょう。

嚥下障害を予防する方法は?

ここからは、ご家庭でもできる、
簡単な予防法を見ていきましょう。

①顔や首、口周辺のマッサージ

時間のある時やお風呂に入って
筋肉が柔らかくなっている時などに、
指や手の甲でやさしくマッサージすることで、
筋肉の緊張を和らげます。

②肩や首のストレッチ

両手を上げたり下げたり、首を傾ける、
回すといったストレッチをすることで、
飲み込みに必要な筋肉が鍛えられるほか、
誤って食べ物が気管に入ってしまった際に、
外に出す力をアップします。

③早口言葉や、4つの音を繰り返し言ってみる

早口言葉を言ってみたり、
口を大きく動かしながら
『ぱたから・ぱたから・ぱたから』のように
音を繰り返したりすることが、
噛む時や飲み込みに必要な口の動き筋肉の
動きをスムーズにする練習になります。

④口の体操

鏡を見ながら顔を大げさに動かしてみたり、
変な顔をしてみたりすることで、
自然と噛むときに必要な筋肉を鍛えられます。

⑤歌を歌う

日常的に歌を歌っている方は、
それだけで誤嚥予防になっています。

歌うことで腹筋が鍛えられ、
食べ物が気管に入り込んだ時に外に出す力が高まります。

慣れ親しんだ曲や家族との思い出の曲、
子供の頃に歌った懐かしの曲など、
思い出して歌ったり、歌詞を読んだりすることも、
嚥下訓練になり、
それ以外の介護予防の役割も果たします。

これらの運動は、
“頑張りすぎない”ことが大切です。

頑張りすぎて疲れてしまったり、
体のバランスが乱れてしまっては、
嚥下訓練も十分な効果を発揮できません。

「継続は力なり」とはよく言ったもので、
頑張り過ぎず、毎日継続することで、
嚥下機能のアップや誤嚥の予防、
そのほか介護予防効果を発揮します。

無理せず、楽しみながら、毎日の生活に組み込みましょう。

嚥下障害で喉の筋肉を鍛える方法は?

筋肉を鍛える方法ですが下記の様なものがあります。

・喉のアイスマッサージ

アイス棒と呼ばれる、
先端が冷たく凍ったマッサージ棒を使って、
喉に刺激を与えることで、
思わずゴクッと飲み込んでしまう嚥下反射を引き起こします。

・舌や唇、頬の運動

舌や唇はもちろん、
頬も噛む・飲み込むためにはとても大事な部分です。

そこの筋肉が、うまく動かせなくなっている方に対して、
スムーズに動かす訓練を行います。

にらめっこをしたり、面白い表情を真似たりして、
楽しく行うことができます。

・シャキア・エクササイズ

横になって、
頭のみを少しだけ上げた状態を維持するエクササイズです。

飲み込みに必要な筋力のアップを図ることができます。

・プッシング法

胸の前で手を合わせて、
「えい!」「やー!」と大きな声を出します。

食べ物が喉に残っている時や
痰がなかなか自力で出せない時に、
自分で排出しやすくする力をつける目的で行います。

ただ、血圧が上昇することがあるため、
血圧の高い方は行わないのがルールな訓練です。

自己判断で行うことは避けましょう。

あとがき

毎日の嚥下訓練の積み重ねで、
食べる機能を維持することができます。

年を重ねても、
いつまでも笑顔でいられるように、
ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。