動脈硬化を予防するにはどうすればよいのでしょうか?
血液中に中性脂肪やコレステロールなどが多すぎると、
動脈硬化を進行させ、
さらには心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる病気を引き起こします。
動脈硬化を防ぐには、
摂取する脂肪の種類がポイントです。
では、いったいどんな脂肪を摂取すればよいのでしょうか。
健康維持に欠かせない、
動脈硬化の予防についてまとめました。
動脈硬化を予防するには中性脂肪やコレステロールを減らすこと!
日本人の死亡原因を見てみると、
一位 ガン、2位 心疾患、3位 肺炎、4位 脳血管疾患となっています。
これらのうち、2位の心疾患と4位の脳血管疾患は、
動脈硬化が原因だといわれています。
これら二つを合わせた死亡総数に占める割合は約24%と、
ガンの約29%に次ぐ多さです。(平成27年度人口動態統計)
このように、動脈硬化性疾患の死亡率は、
ガンに次いで多い死亡原因なのです。
動脈硬化の進行に大きく関わっているのが血液中の脂質です。
脂質は成分の面から、
『中性脂肪』と『コレステロール』に大別されます。
いずれも“カラダに良くない物”というイメージがありますが、
中性脂肪はエネルギー源で、
コレステロールは細胞膜やホルモンなどの材料というように、
カラダに必要不可欠な物質です。
中性脂肪やコレステロールが、
バランスよく血液中に存在していれば良いのですが、
食べすぎや栄養バランスの偏り、運動不足などでバランスが崩れると、
動脈硬化の大きな原因となります。
そこで注目されているのが、
『EPA』(イコサペンタエン酸)と『DHA』(ドコサヘキサエン酸)です。
EPA DHAの効果が注目されるようになったのは、
グリーンランドの住むイヌイットの人々の研究からでした。
グリーンランドは極寒の地なので、
肉食中心で野菜をほとんど食べないのに、
心臓病で亡くなる人が極めて少ないことに注目したデンマークの学者たちが、
4年間にわたって、イヌイットの人の血液成分や食生活などを調査しました。
その結果、彼らの血液中には、
主食であるアザラシや魚の脂肪に含まれている、
『EPA』が多いことがわかりました。
一方、
同じイヌイットであっても、デンマーク本土で生活している人は、
心臓病で亡くなる率が高いことも明らかになり、
この違いは、民族的あるいは遺伝的なものではなく、
食生活にあると学者たちは結論付けました。
これを機に、世界中でEPAやDHAの研究が進み、
EPAやDHAには、中性脂肪を減らし、
『HDL 』(善玉)コレステロールを増やす働きがあることが明らかになったのです。
さらには、EPAやDHAには、血管を柔軟にし、
血圧を下げる作用があることもわかっています。
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動脈硬化を予防するには脂肪の種類に注意!
『悪玉コレステロール』と呼ばれる『LDL』は、
コレステロールを全身に運ぶ働きを担っていますが、
血液中に増えすぎると、
血管壁に沈着して動脈硬化を引き起こすことになります。
これに対して『HDL』は、全身の余分なコレステロールを回収し、
処理機関である肝臓に運ぶ働きをすることから、
善玉コレステロールと呼ばれているのです。
中性脂肪が必要以上に増えるとその影響で、
通常の『LDL』よりもさらに悪質な、
超悪玉LDL(小粒LDL)が増え、動脈硬化を強く進行させます。
また、HDLが減ることもわかっています。
中性脂肪やコレステロールは、食事によって大きく左右されますので、
動脈硬化を防ぐには、食事に気をつけることが基本となり、
まずは“腹八分目”を心がけ、
栄養バランスが偏らないようにすることが大切です。
炭水化物は摂取エネルギーの50~60%、
たんぱく質は15~20%、脂肪は20~25%の割合で摂るのが目安です。
大事なことは、
摂取する脂肪の種類に注意することです。
脂肪はその性質により、
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。
固まらない油が不飽和脂肪酸と大まかに分けることができます。
【飽和脂肪酸】
バターやチーズなど乳製品、チョコレート、カップ麺、
脂身の多い肉やベーコン、ソーセージなどに多く含まれます。
【不飽和脂肪酸】
植物油、大豆油、青背の魚などに多く含まれます。
肉類や乳製品などの脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸を多くとると、
血液中のLDLを増やします。
これに対して不飽和脂肪酸は、
LDLや中性脂肪を減らすことがわかっています。
飽和脂肪酸を減らして、
不飽和脂肪酸を多くとりましょう。
不飽和脂肪酸の中でも特に積極的に摂りたいのが、
『n‐3系脂肪酸』(オメガ3)と呼ばれるものです。
動脈硬化を予防するDPA EPAの効果!
『n‐3系脂肪酸』の代表が
『EPA』(イコサペンタエン酸)と『DHA』(ドコサヘキサエン酸)です。
青魚に豊富なEPAやDHAを、一番たくさん含んでいるのが、
本マグロのトロで、
さんま、いわし、さば などの青魚にも多く含まれます。
魚には、タンパク質やカルシウム、ビタミン群、鉄分をはじめ、
DHAやEPAといった必須脂肪酸など、
豊富な成分が含まれています。
かつて私たち日本人は魚をたくさん食べていましたが、
食の欧米化に伴い、魚離れが進み、
近年、EPAやDHAの不足が目立っています。
実際、どの年代においても、
厚生労働省が一日の摂取目安量としている1g以上に達していません。
もっと積極的に魚を食べるようにしましょう。
n-3系脂肪酸には、
しそ油、えごま油などの『α‐リノレン酸』も含まれ、
これらを摂取することもお勧めです。
もちろん、こうした食生活だけでなく、
適度な運動も動脈硬化の予防に有効です。
あとがき
近頃、あまり魚料理は作らなくなりました。
お刺身は手軽で美味しいごちそうですが、
そう毎日というわけにもいきません。
どうしてもお肉などの高カロリーな食事に偏りがちです。
魚を焼いたり煮たりするのは、
面倒なこともありますが、臭いが気になり、
ついつい魚料理をする気になりません。
DHAは、考えたり学ぶ力をサポートする成分だと言います。
物忘れが増えたり、集中力の衰えを感じた時、
もっとお魚を食べなくては…と痛感します。
もちろん運動不足や不規則な生活習慣も改善しないといけないのですが。