爪楊枝と黒文字の名前の由来と違いは何?形には理由があるのか?茶の湯で使う黒文字とは?

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爪楊枝は、食事の後などに、
歯に詰まったものを取り除く道具ですが、
時代劇のように粋がって『黒文字』と呼ぶ人がいます。

しかし、爪楊枝と黒文字では、
本来の用途が全く違うもので、
それなのに爪楊枝と黒文字を、
同じもののように云うのは何故なのか、
気になっていました。

ツマらないことですが、気になったので、
根ほり葉ほり(歯ほり)調べてみました。

以前、茶道を習っていましたが、
黒文字の事はしりませんでした。

確かに、お菓子を頂くときに、
使っていた記憶はあります。

少しずつ、思い出しながら、書いてみようと思います。

  

爪楊枝と黒文字の名前の由来と違いは何?

爪楊枝は、仏家の道具であり、
用途は現在と変わらず、
歯の垢をきれいに取り除く道具として使われていました。

しかし、実は「爪楊枝」という名称になったのは、
ある程度の時代が進んでからであり、
当初は「総楊枝(ふさようじ)」、
または「房楊枝(ふさようじ)」と呼ばれていました。

現代では様々な素材から爪楊枝が作られていますが、
昔は「楊柳(ようりゅう)」という柳の枝を材料にして、
爪楊枝を作っていました。

また、昔の爪楊枝は先端が尖っておらず、
「楊柳」の先端を叩いて「ふさ」のようにして使っていたことから、
「ふさようじ」と呼ばれていたのです。

時代が進むと楊枝の先端が「ふさ」になっている物から、
尖っているものへと変化していきました。

そして、
「爪先の代わりとして楊枝」ということが語源や由来となり、
「爪楊枝」という名前になったのです。

楊枝という道具が日本へと伝わったのは、
仏教が日本に伝わったころだとされていて、奈良時代のことでした。

当初は、僧侶が身を置く仏家で使われていましたが、
それが仏家と関わりのある貴族へと伝わりました。


平安時代初期の右大臣である藤原師輔(ふじわらのもろすけ)の著した、
「九条殿遺誡」では、
朝に楊枝を使って口内をきれいにすることが日常の作法とも記されています。

そして、
庶民へと楊枝が伝わったのは平安時代末期のころだとされています。


室町時代になると「房楊枝(ふさようじ)」だけではなく、
先端の尖った「爪楊枝」が使われている記録が残っています。

江戸時代に使われていた爪楊枝は、
柄の部分がカーブしており、
柄の部分で舌の掃除を、
そして、先端で歯の掃除をするという使い方もされていました。

和菓子で使う黒文字

和菓子を食べる時には、和菓子を切ったり口へと運ぶために、
角形の大き目な楊枝が提供されることがありますよね。

この楊枝は「黒文字」と呼ばれるものであり、
もう一つの理由として、
「爪楊枝置き」として利用するためという説があります。

これは、爪楊枝に彫られた溝は折りやすくするためのもので、
折った部分をまるで「箸置き」の様にして爪楊枝を置くというものです。

この説は結構有名で、
そうだと思っていた方がいるかもしれませんが、
実は間違った情報なのです。

しかし、
その様に使うこと自体は問題ないので、
今「爪楊枝置き」として使用している方は安心して使って下さい。

なぜ和菓子用の楊枝が「黒文字」と呼ばれるかというと、
使われている材料に関係があります。

「黒文字」はクスノキ科の樹木である、
「クロモジの枝」が材料として使われることが、語源の由来で、
「黒文字」と呼ばれているんですね。


また、丈夫なクロモジの枝は、
昔は一般的な爪楊枝の材料として使われることもあったため、
普通の爪楊枝を「黒文字」と呼ぶこともあったそうです。

爪楊枝と黒文字の形には理由があるのか?

先ほども紹介しましたように

爪楊枝の形の理由はというと、
「江戸時代に使われていた爪楊枝は、柄の部分がカーブしており、
柄の部分で舌の掃除、先端で歯の掃除をするという使い方もされていました。」
と書かれています。

爪楊枝は、口の中を綺麗にするという目的で作られているので、
先が尖りった作りになっています。

余談ですが、爪楊枝(つまようじ)の尖っていない方に、
「溝(みぞ)」があることはお気づきですよね。

あの溝、
別に無くても爪楊枝としての機能は果たせますとおもうのですが、、
どんな爪楊枝を見ても溝が彫られています。

この溝にはちゃんとした意味があるのです。

爪楊枝の持ち手側に彫られている溝が彫られた理由は、

①こけし風のデザイン

②爪楊枝を置くため

と2つの説に分かれています。

それぞれの理由をご紹介いたします。

丸軸の束を爪楊枝の長さ(約65mm)に切断する?
という理由らしいのですが

昭和30年代半ば、
このように思った岐阜県は高山の爪楊枝職人が、
日本の技術力を世界にアピールするいい方法を思いつきました。

それが
「溝を掘ってこけし風のデザインにする」といったものだったのです。

あの小さい爪楊枝に溝を彫るという細かい作業は、
日本の技術力のアピールになるからだそうで、
溝があるあの部分のことを業界では「コケシ」と呼ぶそうです。

黒文字の形の理由も、先程紹介しましたように、
「もう一つの理由として、
「爪楊枝置き」として利用するためという説があります。

茶の湯で使う黒文字とは?

お抹茶をいただく前に出てくる和菓子。
その和菓子を切って口に運ぶためには菓子切(かしきり)、
もしくは黒文字(くろもじ)と呼ばれるものが必要です。

菓子切はもともと、
樹に黒い斑点があるクスノキ科の木“黒文字”で作られたことから、
茶道では黒文字、黒文字楊枝と呼ばれていました。

ちなみに、一説によると、
茶道との関係が深い古田織部が用いたことから、
黒文字は広まっていったようです。

しかし、
近年はプラスチックや、
ステンレス製で素敵なデザインが施されているものも多く、
黒文字と区別するためにそれらを菓子切と呼ぶようになり、
今では総じて菓子切とも言われるようになっています。

今回は、プラスチックやステンレス製ではない菓子切(=黒文字)に、
黒文字という木が使われるようになったふたつの理由をご紹介します。

★清潔感が保て、殺菌作用があったため

1つ目の理由としては、
木から数多く作っていたためにすぐに捨てやすく、
殺菌作用があったためと言われています。

そのため、茶会などでは、
新しいものをその都度用意していたとされています。

口に運ぶものなので、清潔感を保つために殺菌作用があり、
一度使ったら捨てるためとも言えそうです。

★魔除けの意味をもつため

2つ目の理由は、黒文字は、独特の木の香りがあり、
魔除けの意味があるとされていたからということもあるようです。

日本では香道(こうどう)といって、
木の香りを用いて香を「聞く」という文化がありますが、
それと関連して香には魔除けの力があると信じられていたのです。

正式な茶事では、
お菓子と一緒に黒文字が添えられるので、
自分の菓子切や黒文字楊枝を使用することはありません。

しかし、
大寄せの茶会などでは黒文字がないこともあるので、
自分の菓子切や黒文字楊枝を使ってくださいね。

菓子切も菓子切入れも自分の好みを取り揃えて、
常に清潔に保ちましょう。

あとがき

爪楊枝の事は、何となく知っていましたが、
黒文字の事は、そうだったんだって思う事が、
記事を書いてみて多かったです。

最近、お茶会に行っていないので、
お茶会に行きたくなりました。

一服頂き、黒文字を使って、
和菓子が食べたくなりました。

落ちつた空間を楽しむのも時には良いですよね。