貴船神社の奥宮がパワースポットといわれる理由は呪いの藁人形の怖い話し

神社仏閣

貴船神社の奥宮がパワースポットといわれる理由、
それは貴船神社を訪れてみれば感じることができます。

深い杉の中の道に足を踏み入れ、
木々から湧き出す自然のオゾンを吸い込むと、
体いっぱいにパワーが漲るのを感じます。

パワースポットに漂う“気”の力は、
自然と歴史と、
人間の怨念からできているのではないでしょうか。

貴船神社の奥宮に伝わる呪いの藁人形の怖い話しも、
物語ではなく、パワースポットに起きた現象なのです。

  

貴船神社の奥宮がパワースポットといわれる理由は

“貴船”とは、古くは「気生嶺」「気生根」とも書かれたようで、
気の生ずる根源という意味があり、
風水パワーに満ちたパワースポットなのです。

貴船神社の奥宮は、
貴船神社本社よりさらに奥へ300mほど北に行った山中にあります。

貴船神社だけがパワースポットなのではなく、
周辺の山や川もすべて強い気(パワー)に包まれているので、
空気や木、土の匂いなど、
自然のパワーをカラダ全体で感じることができます。

貴船神社 奥宮あたりは、大杉が鬱蒼と繁り、昼なお暗いところで、
脇に流れる貴船川には、橋姫が足を浸した「足酒石(あしすすぎいし)」や、
「鉄輪の掛け石」という奇岩があります。

境内にある老樹には、
最近でも五寸釘を打ち込んだような痕が見て取れます。

男性に捨てられた女性の凄まじい性の叫びが、
今でも貴船の杜から カーンカーンカーンという、
杭打つ音とともに聞こえてくると言われています。

この辺り一帯は貴船山を祖山とするパワースポットで、
古くから水の神様として信仰を集め、
鞍馬山の影響も受けています。

山の生気が貴船川沿いに流れ、貴船川にパワーが溶け込み、
強力な水の気が流れ込むパワースポットになっています。

貴船神社 奥宮の下には穴があり水が溜まっているといわれています。

1055年に起きた洪水で旧本殿は破損したのですが、
そこは現在、貴船神社奥宮となっているところです。

奥宮の床下に霊泉(吹井)が隠されていて、
この霊泉を目にした者は死ぬといわれています。

霊泉に誤ってノミを落とした大工が変死したという話もあります。

この霊泉は社殿が建立される以前から存在し、
貴船神社の原型なのです。

貴船神社の奥宮 呪いの藁人形の怖い話し『丑の刻参り』

貴船神社の奥宮に伝わる怖い話は、
水の聖地で念じる、女性の恨みをはらしてくれる
呪いの藁人形が不敵に笑う

鬼の面をかぶり白い着物を着た女が、
霊力が最も昂ると言われる午前二時頃に、ひたひたと音もなく貴船に詣でる。

片手に『呪い』と書かれた藁人形を持ち、
もう一方の手で五寸釘を打ち込む。

人に見られると、その呪いは効き目がなくなるという。

「丑の刻参り」は、
貴船明神が「丑の年の丑の月の丑の日の丑の刻」に降臨したことにちなみ、
丑の刻に参拝すると心願成就するというものでした。

それがやがて、橋姫の話の影響で呪詛する行為になり、
貴船神社奥宮付近で「丑の刻参り」が行われたのです。

丑の刻参りは7日間の日程で行うのが通例で、
藁人形、五寸釘、鉄槌を準備し、
白い着物を着て、神鏡を身に着け、女性は櫛を口にくわえるのです。

五徳を逆さに立て、3本のローソクを灯して頭にかぶる。

丑満つ時(午前2時~3時のあいだ)に神社に参じ、
人に見られないようにしながら、
藁人形を神木や鳥居などに打ちつけるのです。

奥の院は「丑の刻参り」が行われた場所として、
今も新しい釘の跡があり、
丑の刻参りをする人がいるらしいのですが、
藁人形は見つけ次第撤去されるということです。

貴船神社の奥宮に伝わる怖い話し 『宇治の橋姫』『鉄輪』

『栄花物語』「たまのむらぎく」の巻には、
貴船明神が藤原頼通に取り憑く話があります。

藤原頼通(990年~1074年)は、平安時代中期の公卿
摂政太政大臣藤原道長の長男で、
父 道長から若くして後一条天皇の摂政を譲られながら、
その後見を受けていました。

父の死後は朝政の第一人者として後朱雀天皇・後冷泉天皇の治世にて、
関白を50年の長きに亘って務め、
父 道長と共に藤原氏の全盛時代を築いた人物です。

頼通には隆姫という正室がありながら、
自分の出世のために、三条天皇の二の宮を迎えようとします。

それからほどなく、頼通は危篤状態に陥るのですが、
それは、貴船明神が取り憑いたためだったのです。

隆姫のことを可哀想に思った隆姫の乳母が、
貴船明神に報告してしまったのです。

貴船明神は、女性につれなくする男性に祟りを成すと言われていて、
これがまったくの作り物語ではなく、
史実を物語化した歴史物語に記述があるということに真実味があって、
ゾッとしてきます。

貴船明神に願をかける話しは昔から伝わっていて、
いろいろな文学にも取り上げられている『宇治の橋姫』の話や、
謡曲の『鉄輪』などはとくに有名です。

宇治の橋姫については、
屋代本『平家物語』「剣巻」にある話が有名です。

それは、
嫉妬に駆られた女が、妬ましい者を殺すために、
生きながら鬼にしてほしいと貴船社に願いました。

女は鬼のような姿になり、お告げ通りに二十一日間宇治川に浸かり、
そのまま鬼になって報復したというのですが、
この女が橋姫だというのです。

また、謡曲の『鉄輪』は、
自分を捨てて後妻を迎えた夫を恨んだ女性が、
貴船神社へ丑の刻参りをし、
鉄輪の足に火を灯して頭に載せ、
鬼の姿の生霊となって夫と後妻をのろい殺そうとした話です。

「鉄輪(かなわ)」とは、五徳(ごとく)、
つまり釜などをかけるために囲炉裏や火鉢の中に入れる、
輪に三本足のついた鉄製の道具のことです。

この鉄輪を逆さに(輪が下、三本足が上になるように)かぶり、
その三本足それぞれに蝋燭をつけて火を灯し、丑の刻参りをするのです。

嫉妬のあまり鬼と化すほど烈しく懊悩する女の心底には、
忘れられぬ夫への思慕がほの見えます。


貴船神社の呪詛信仰をもとにして、
室町時代後期に作られた能の謡曲が「鉄輪(かなわ)」です。

その鉄輪に登場する、丑の刻参りをした女性が住んでいたといわれる場所が、
京都市内にあります。

下京区堺町通り松原下ル鍛治屋町というところに、
「鉄輪井戸」というのがあります。

この「鉄輪井戸」の水には縁切りの魔力があるといわれ、
縁を切りたい相手に飲ませると別れることができるというのです。

あとがき

貴船神社から奥宮まで行くと、
そこはもう、俗界とはかけ離れた空気が漂います。

それが“気”というもの、
パワースポットなんですね。

呪いとか怨念という恐ろしお話しが今も残るのは、
千年以上も前から貴船奥宮が、
女性の怨みをはらしてくれる水の聖地だからでしょうか。