京都の三大祭り『葵祭』は、初夏の訪れを感じる、
美しいイベントです。
葵祭の行列は古都京都の街に、
雅やかな王朝絵巻を繰り広げます。
葵祭、それは斎王代の行列だけでなく、
いくつものイベントが一つになったお祭りです。
上賀茂神社と下鴨神社で行われる、
葵祭のイベントそれぞれの行事内容や日程について、
また、葵祭の行列ルートとその時間、
特別観覧席についてご案内します。
葵祭 祭の日程は流鏑馬 禊神事などの前儀から
葵祭は、上賀茂神社と下鴨神社、ふたつの神社の祭礼で、
正式には『賀茂祭(かもまつり)』と言います。
この賀茂祭には1400年以上の歴史があり、
平安時代には『祭』と言えば賀茂祭のことを指していました。
祭儀に関するもの全てに、
かつて下鴨神社に自生していたフタバアオイを桂の小枝に挿して飾ることから、
『葵祭』と呼ばれるようになった由来です。
葵祭の日程は、前儀・路頭の儀・社頭の儀に分かれています。
都大路を雅やかな装いで行列し、見物客を魅了する、路頭の儀に先立って、
五月の初めから、前儀の日程として、さまざまな神事が執り行われます。
葵祭 前儀の日程
・一日目は、五月一日
競馬会足汰式(くらべうまあしそろえしき)が行われます。
上賀茂神社で午後1時より、
五日の競馬(くらべうま)に出場する馬足の優劣を定める儀式です。
一等ずつ走る『素駆け』
出走順を決める『番立(ばんだて)』の後、
本番同様の組み合わせで2頭ずつ走ります。
・五月三日
流鏑馬神事(やぶさめしんじ)、賀茂祭騎射が行われます。
この神事は下鴨神社で午後1時より行われ、
古来の作法や装束で、3か所の的を射抜く神事です。
・五月四日
斎王代禊の儀
上賀茂神社と下鴨神社、毎年交代で行われる斎王代禊の儀
今年2018年は上賀茂神社で午前10時より行われます。
斎王代が上賀茂神社境内の『ならの小川』で、
両手を川の水に浸し、穢れを祓う儀式です。
斎王代とは、
平安時代初期以来、神社に奉仕する未婚の皇女から『斎王』が選ばれ、
上賀茂神社や下鴨神社に奉仕されました。
現在、その制度はなくなり、
代理である『斎王代』が京都にゆかりの深い女性から選ばれます。
御禊(みそぎ)を済ませた斎王代は、
五衣裳唐衣(いつつぎぬものからぎぬ)、
俗に十二単(じゅうにひとえ)の大礼服装で、
供奉者にかつがれた腰輿(およよ)という輿に乗って参向します。
・五月五日
歩射神事
下鴨神社で午前11時より、
葵祭の安全祈願とされ、弓矢をもって祭りの沿道を清める神事です。
競馬会神事(賀茂競馬)
上賀茂神社で午後2時から、
舞楽装束を着けた二組が競馳し、
天下太平と五穀豊穣を祈願します。
・五月十二日
御蔭祭(みかげまつり)
下鴨神社の神迎え神事です。
朝、9時30分から 下鴨神社~御蔭神社~赤ノ宮神社~下鴨神社
八瀬御蔭山から御神霊をお迎えする神事で、国内最古の神幸列です。
正午に御蔭神社で迎えられた神様は、馬の背に乗り下鴨神社へ入ります。
下鴨神社の糺の森では祝いの東遊が奉納されます。
葵祭 祭の日程 路頭の儀
葵祭 路頭の儀の行列は、毎年 五月十五日に行われます。
京都御所を出発し、都大路を雅やかな装いで、
下鴨神社から上賀茂神社へと行列する、葵祭のメインイベントです。
華やかな女人列など、王朝絵巻さながらの装束で、
総勢500人余りと、馬36頭、牛4頭、牛車2基、輿1台の風雅な王朝行列が、
約8㎞の道のりを行列します。
五月十二日の神事で新たに迎え入れた上賀茂神社・下鴨神社 両社の神様に、
天皇の勅使が御幣物を届けて、国家繁栄を祈願する神事です。
毎年 五月十五日の朝、10時30分に京都御所を出発しますが、
装束や牛車など絢爛豪華な行列ですので、天候によって、
雨が降ったら雨天順延となります。
葵祭の本列
・先祓いは、肝煎り(きもいり)・乗尻(のりじり)・素襖(すおう)
・第一列 警護列(警護の役人の列)
検非違使志(けびいしのさかん)
検非違使尉(けびいしのじょう)
山城使(やましろつかい)
・第二列 御幣櫃列(天皇からのお供え物の列)
御幣櫃(ごへいびつ)
内蔵寮史生(くらりょうのししょう)
走馬(そうめ)
馬寮使(めりょうづかい)
・第三列 勅使列
牛車(ぎっしゃ)
和琴(わごん)
舞人(まいうど)
勅使(近衛使代)
随身(ずいしん)
風流傘(ふうりゅうがさ)
・第四列 陪従列(勅使のお供の列)
陪従(べいじゅう)
内蔵使(くらつかい)
風流傘
葵祭の女人列(斎王代列)
・女官
・斎王代
・蔵人所陪従(くろうどどころべいじゅう)
・牛車
五月十五日
京都御所南側の建礼門より(10:30)行列は出発します。
京都御所堺町御門を出た行列は、丸太町通りを東へ向かい、
丸太町河原町で左折して、河原町通りを北へ向かいます。
河原町通り今出川を通過し、
右折して出町橋を渡り下鴨神社へ到着するのが11時40分。
2時20分に下鴨神社をあとにして、下鴨本通りを北上し、北大路へ。
下鴨本通り北大路で左折して、北大路通を北大路橋西詰まで行き、
右折して加茂街道を北上します。
加茂街道を御園橋まで進み、右折して御園橋を渡り、
上賀茂神社到着は3時30分の予定です。
路頭の儀では、京都御苑内(京都御所の中)と下鴨神社参道に、
有料観覧席が設けられます。
有料観覧席のお問い合わせは、京都市観光協会
京都市中京区河原町通三条上る恵比須町427京都朝日会館3階
075-213-1717 (9時から17時までの毎日)
料金は、一般席 一席 2700円(全席指定・パンフレット付き)
そのほか、英語解説付き席や葵祭まなび席(京都御苑内)を設置予定
雨天順延の場合、
観覧席券は五月十六日にそのまま利用できます。(払い戻しは無し)
葵祭 祭の日程 社頭の儀
社頭の儀は、路頭の儀の行列が下鴨神社・上賀茂神社へ到着した際、
それぞれの神社で行われます。
下鴨神社では、11時40分頃
上賀茂神社では、15時30分頃です。
神前で、天皇のお使いである宮内庁の掌典が祭文を奏上し、
御幣物を奉納します。
さらに平安調を偲ばせるみやびな雰囲気のなかで、
神馬の引き回し、舞人による「あずまあそび」の舞が奉納され、
陪従が歌と音を付け、最後に走馬の儀が行われます。
あとがき
雅やかな平安装束を身に纏った斎王代は、
葵祭のヒロインで、
毎年誰が選ばれるのかが注目され、
大きな話題となります。