歳神様とはどんな神様なのかご存知ですか?
昔からお正月には歳神様をお迎えする習わしがありますが、
歳神様をお迎えする由来は何なのでしょうか。
お正月はそもそも、
歳神様をお迎えしお祀りするためにあります。
では、正月にお迎えする歳神様とはどんな神様なのでしょうか。
どうして歳神様をお迎えするのか、
その意味や由来と、
歳神様をお迎えする時のお祀りの仕方についてまとめました。
歳神様のことや歳神様をお迎えする由来や意味を知って、
昔ながらの歳神様のお祀りの仕方で新しい年を迎えませんか?
きっと良い一年になりますよ!
正月にお迎えする歳神様とはどんな神様?
正月にお迎えする歳神様(年神様)は、歳徳神(としとくじん)とも呼ばれます。
歳徳神は、陰陽道ではその年の福徳を司る神であり、
年徳、歳神、正月さまなどとも言います。
また、歳徳神のおられる方位は恵方とされ、
その年の恵方に向かって、物事を行えば万事吉となると言われています。
そんなありがたい歳徳神、つまり歳神様は、
初日の出とともに現れるとされていて、
昔から日本では、初日の出は特に重要なものと考えられてきました。
歳神様は高い山から下ってこられるということで、
山頂で拝む初日の出を『御来光』と言い、大切にしてきました。
その歳神様は八百万に及ぶ神道の神様の一つとされています。
ほかの宗教とは違い神道は、
たった一つの神の存在を信じるというのではありません。
神道では神様はあらゆるものに宿るという考えから、
海や山、川や林のような場所や、月や星、雨などの気象現象、
また、森に棲む野生動物などと言ったものにも、
神が宿るとして崇拝してきました。
古来から農耕を行っていた日本では、
一年のはじめに、その年の豊作を願い、
歳神様を穀物の神様としてお祀りしてきました。
歳神様の“歳”と言う文字は、穀物の“稲”が語源となっていて、
昔から日本では歳神様を、
稲の豊作をもたらす神様として大切にしてきました。
さらに歳神様には、災いから家や家族を守ってくださる、
ご先祖様の霊だという説もあります。
つまり、歳神様は農耕民族の守り神であり、
私たちのご先祖様の霊でもあるということで、
日本人の暮らしの中で伝えられ、大切にされている神様なのです。
日本人の古くからの考え方では、
人間は亡くなってから一定期間を過ぎると、
ご先祖様の仲間入りをすると考えられてきました。
ご先祖様は亡くなられた後、生まれ育った地域の山に上って、
山の神として山頂から子孫たちの暮らしを見守り、
春には子孫たちの耕す米作りを見守る田の神になるのです。
そして、新しい年には歳神様として子孫の家庭を訪れ、
それぞれの家庭に繁栄をもたらし、見守ってくださるのです。
歳神様をお正月にお迎えするのは何故 その意味や由来は?
歳神様は毎年、お盆とお正月の2回、
私たちのところへやって来られます。
歳神様は、ご先祖様であり、稲作の神様として、
また八百万の神様など諸説はありますが、
どちらにしても私達にとって、
大切な守り神である事は間違いありません。
私たちの守り神である歳神様には様々な信仰や捉え方があります。
来訪神として、お正月になると各家庭へ日の出とともにやってくる神様
穀物神として、収穫や実りをもたらし五穀豊穣を司る田の神様で稲の神様
祖霊として、家や家族を守る守り神である先祖の霊
歳徳神として、毎年の福や徳の方角である恵方を司る神様 など、
実に様々ないわれのある神様なのです。
日本にはお正月に歳神様をお迎えして、
その年一年の豊作と無病息災を祈る風習があり、
心を込めてできる限りのおもてなしをする必要があります。
歳神様をお正月にお迎えするときのお祀りの仕方は?
新しい年のお正月に、歳神様をお迎えするには、
家中を大掃除してきれいにしましょう。
日本では昔から12月13日を『正月事始め』と言い、
お正月の支度を始める日としてきました。
『正月事始め』には、
すす払いをして家の中の塵や埃を払う行事が行われてきましたが、
今は12月13日にこだわらず、
もう少し年末が近くなってきたら掃除を始めることが多くなりました。
『正月事始め』は、年中行事ですので、
神棚だけは13日に掃除をするいう方もおられます。
そして、いよいよ12月も終わりに近づいてきたら、
お正月飾りを飾り、お正月の準備を始めます。
お正月の準備でお正月飾りといえば、門松やしめ縄、鏡餅などですが、
それらのお正月飾りを飾りは、出来るだけ28日には飾終えるようにしましょう。
お正月飾りを飾るのが29日になると、
29日の9が“苦”を連想させるため避けるべきだと言われています。
また、お正月飾りを飾るのがギリギリの31日では、
『一夜飾り』といって歳神様に失礼に当たるとされています。
お正月飾りの『門松』は、
歳神様が迷わないようにと目印として家の前に置くものです。
昔はこの門松に使う松を山へ採りに行く日を『松迎え』と言って、
『正月事始め』の日に行いました。
門松に使う松を山から採ってくるという行為自体に、
年神様を山からお迎えするという意味が込められていました。
お正月飾りの『注連飾り(しめかざり)』も、
歳神様が迷わないように目印とするもので、
これも昔は『正月事始め』の日に行いましたが、
今ではちょっと早すぎるように思われます。
歳神様をお迎えする場所は、注連縄を張って聖なる空間を作ります。
注連縄には、秋に収穫された稲の藁を使い、
田の神様に見守られて育った稲には、
稲魂という霊魂が込められていると考えられ、
その稲藁で作るからこそ神聖な空間を作り出すことができると考えられてきました。
注連縄を簡略化した注連飾りも同じ意味を持ち、
各家庭の家の入り口などに飾られるのはその名残りです。
お正月飾りの『鏡餅』は、魂の形を模しているといわれ、
家に入って来られた歳神様が、『鏡餅』を依代(よりしろ)として留まられるところで、
再び山に帰られる日まで、歳神様がおられる場所となります。
『松の内』が済んで歳神様がお帰りになった後、
鏡開きの日に歳神様の力が宿ったこの鏡餅を家族で食べる事で、
一年を健康に暮らせると言われています。
またお年玉の語源も、
供えたお餅をお下がりとして子供たちに食べさせ、
これを、歳神様の魂を頂くという意味で、
『お年魂』と呼んだことから『お年玉』と変化したと言われています。
歳神様のお祀りの仕方で、歳神様は鏡餅を依代として宿られるのですが、
家の中に神棚がある場合は、神棚に御札やお供え物をお供えします。
神棚のない家では、家の中の本棚やタンスなど、
なるべく高い場所にお供えをして歳神様をお祀りします。
低い位置にお祀りするのは、人が行き交ったりして低いところは埃っぽく、
歳神様に失礼に当たります。
床の間があればそこに、歳神棚や恵方棚を作り、
お供え物を供えます。
神棚や歳神棚、恵方棚にお供えするお供え物は、
お米や野菜、果物などなにを飾ってもよいと言われていますが、
ニオイの強いものなどは、お供えしないようにします。
歳神様をお祀りするのは、
昔は『正月事始め』の12月13日からでしたが、
今では年末の大掃除も済んで家がきれいになってからですね。
歳神様をお迎えする準備がすべて整い、
新年の元旦、初日の出とともに、歳神様は我が家に来られます。
歳神様は、新年を祝う家族と共に過ごされ、
松の内が明けると山へ帰って行かれます。
松の内は昔はもっと遅かったのですが、
今ではほぼ、関東地方は1月7日、関西地方は1月15日と言われています。
地方によっては歳神様を“お正月さま”とか“とんど”と言うところがあります。
この“とんど”という言葉ですが、
松の内が済んで、お正月飾りの門松や注連飾りを片付ける時、
昔は竹を大きくやぐらに組み、
正月に使った門松やしめ縄、そして古い御札や書き初めなどを焚き上げることを、
『とんど焼き』と言いました。
お正月にお迎えした歳神様を、お送りする意味もあり、
家内安全や一年の無事を祈る祭事でもありました。
今は環境問題もあるので焚き上げる場所もありませんが、
神社やお寺で『お焚き上げ』しているところもあります。
あとがき
お正月や歳神様についての、
こうした日本の昔からの伝統行事には、
奥深い意味がたくさん込められています。
お正月や歳神様についての仕来りを、
すべて完璧に行うのは難しいようですが、
少しづつでも正しい歳神様のお迎えができれば、
一年のスタートが気持ちよく過ごせるように思えます。
是非、お正月は新たな気持ちで歳神様をお迎えされてはいかがでしょうか。