京野菜の種類と伝統野菜の特徴は何?ブランド野菜や旬野菜の種類と定義とは

グルメ

京の伝統野菜とは何か?その定義について考えてみました。
しかし伝統とは、古より伝え継いできた、
素晴らしい宝物であるということはわかるのですが、
さて定義となると曖昧で、明確には定められていないのです。
伝統野菜だけでなく、
広義には京都で作られる野菜全てを京野菜とみなせる、
という京都市の見解もあるということですが、
。。。。そんな難しいことは置いておいて、
いいものはいい!伝えて行くべきものは大切にしましょう!
ということで、
そんな京の伝統野菜をご紹介します。

  

京野菜の種類と伝統野菜の定義とは何?

京都は平安遷都より千有余年の間、都としえ栄え、
日本の中枢として多くの文化を育んできました。

そこには全国から選りすぐりの品々や人、
たくさんの情報が集まりました。

野菜も宮廷や社寺に全国から優れた献上品として集まり、
京都の肥沃な土壌と豊かな水源、
農家の高い栽培技術により改良されてきました。

そして、食べておいしく、見て美しい京料理も発展してきました。

その京料理に欠かすことが出来ないものが京の伝統野菜なのですが、
社会の移り変わりとともに衰退や絶滅の危機にさらされるものもあります。

京の伝統野菜は,京都の食文化の象徴であり、
貴重な遺伝資源でもあります。

永年にわたり伝統野菜を守り育ててきた農家の努力を感じ、
どういった野菜が京の伝統野菜なのかを知る必要があります。

【京の伝統野菜の定義】

(昭和63年3月京都府農林水産部)

(1)明治以前に導入されたもの
(2)京都府内全域が対象
(3)たけのこを含む
(4)キノコ、シダを除く
(5)栽培または保存されているもの及び絶滅した品種を含む

京のブランド産品とは

【京のブランド産品】
安心・安全と環境に配慮した
「京都こだわり生産認証システム」により生産された
京都産農林水産物の中から品質・規格・生産地を厳選したもので、
京のふるさと産品協会が認証しています

(1)イメージが京都らしい
(2)(1)以外のもので販売拡大を図る必要がある
(3)次の要件を備えている
・出荷単位としての適正な量を確保
・品質・規格を統一
・他産地に対する優位性・独自性の要素がある
・農薬・化学肥料の使用を減らした環境にやさしい農法(京都こだわり栽培指針)
・認証検査員による栽培状況と記帳のチェックを実施
・情報の開示により生産者の顔が見える農産物



京の伝統野菜とブランド京野菜や旬野菜の種類は?

京野菜とは、京都府で生産され、
京都の雰囲気を醸し出す京都特産の野菜のことです。

2009年現在では、
一般的に京の伝統野菜やブランド京野菜を指します。

京都の長い歴史と伝統に育まれ、豊かな食文化を支えてきた京野菜は、
一般の野菜にはない独特の味、香り、彩りを有しています。

近年の研究により、こうした個性的な京野菜には、
健康に役立つ機能性成分が豊富に含まれることが明らかになってきました。

京の伝統野菜は、現存種36品種、絶滅種2品種、
京の伝統野菜に準じるもの3品種に分類されています。

京みず菜(みずな)


京都で栽培されてきた野菜の中で古い文献に記載されたもののひとつで、
和名抄(935年頃)に「みずな」の名が始めて記載されています。
さらに、天和3年(1683)には供物として用いたことが、
また、貞享3年(1686)に東寺九条辺で栽培されていた記載があります。

ブランド認証年度:平成元年度
出回り時期:一年中
葉に深い切れ込みがあるのが特徴です。
シャキシャキとした、クセのない味わいで肉の臭みを取る働きがあります。
油揚げと煮物、サラダ、カラシ和え、
浅漬けなど毎日の食卓に欠かせない存在です。

賀茂なす


貞享元年(1684)の文献に記載があり、
古くは、左京区吉田田中地区で栽培されていました。
今から約100年前に北区上賀茂、
西賀茂及びその附近特産の大型なす品種として栽培されるようになりましたが
起源については明らかではありません。
ブランド認証年度:平成元年度
出回り時期:5月上旬~10月下旬
1個250gから300gほどもある大型の丸なすです。
肉質が緻密で、煮炊きしても型くずれしません。
揚げ物に適し、特に丸形をいかした田楽が親しまれています。
晩生種で幹、枝、葉とも大型で濃紫の葉にとげがあり、
果は正円形で直径12から15cmになります。
皮は軟らかく、肉質はよく締まり光沢があり、
“がく”(へた)は三角形になるとされています。

伏見とうがらし


来歴は明らかではないが、
江戸時代の書物に山城の国伏見のあたりで作られたものが
有名であるという記載があります。
日本のとうがらし類のなかでももっとも細長い品種で、
長さは10から15㎝、先端は尖っており、別名「ひもとう」とも呼ばれています。
ブランド認証年度:平成元年度
出回り時期:5月上旬~10月下旬
古くは伏見を中心に、今では京都府内全域に栽培が広まっています。
細長い品種のとうがらしで、辛くありません。
網でかるく焼いたり、煮物、天ぷらなどに適します

えびいも


安永年間(1772~1781)に当時の青蓮院宮が、
九州の長崎から芋の種を持ち帰られ、
宮家に仕えていた御料菊や野菜を栽培する御用を承っていたものが、
栽培を託されたところ、大きく良質のものができたので、
形状から「えびいも」と名付けられて、上鳥羽、九条で栽培されました。
ブランド認証年度:平成元年度
出回り時期:10月下旬~2月下旬
さといもの一種で、表面に縞模様があり、
肉質が緻密で煮込んでも型くずれせず、中までじっくり味がしみこみます。
棒だらとともにゆっくり煮付けた炊き合わせが有名です。

九条ねぎ


和銅4年(771)、稲荷神社が建立されたときに、現在の伏見区深草の地で、
浪速(現大阪)由来の原種の栽培が始まったとされており、
歴史は非常に古いものです。
平安朝前期承和年代(834~848)に、
すでに九条で栽培されていたという記録があります。
ブランド認証年度:平成2年度
出回り時期:一年中
美しい緑の葉がまっすぐに伸びています。
葉がやわらかく、甘みがあるのが特徴です。
たいへん香りがよく、薬味のほか、煮物、鍋物、
ぬたなどにも適しています。
葉ねぎで、系統は細ねぎ(浅黄種:あさぎだね)と太ねぎ(黒種:くろだね)の
二系統あります。
前者は葉は細長く、葉色は淡緑色で根から葉の分岐点までが短い系統で、
後者は1m前後にまで伸長し、葉色は濃緑で茎が太く、
根から葉の分岐点までが長くて耐寒性が強いことが特徴です。

京たけのこ


嵯峨天皇の時代(810~823)に長岡京市の海印寺寂照院の開祖である道雄が、
中国から孟宗竹を持ち帰り、関西に広まったという説がありますが、
その当時食料として利用したかどうか不明で、
その後江戸時代に、
西山一帯に定着して栽培の対象となったという説が正しいと考えられています。
孟宗竹の筍で、食用としては最も大きいものです。
特に西山地域で生産されるものは間引きから施肥、土入れ、収穫までを通して
篤農家の永年の研究による栽培技術に支えられ、
全国的に最も品質が優れていると言われています。
ブランド認証年度:平成2年度
出回り時期:3月上旬~5月上旬
えぐ味がなく、肉厚でやわらかく、甘みがあります。
お吸い物、木の芽和え、若竹煮、天ぷら、刺身など幅広く楽しめます。
特に象牙色をした最高級の京たけのこは、「シロコ」と呼ばれてます。

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鹿ヶ谷かぼちゃ


文化年間(1804~1817)に、
現在の東山区粟田口の農家が奥州の津軽からかぼちゃの種子を持ちかえり、
現在の左京区鹿ヶ谷の農家に分けて栽培したところ、
偏平な菊座形からひょうたん形が生まれ、
それを栽培するようになったといわれています。
独特の特徴として、形は基本的にひょうたん形ですが、
形状は一様ではなくやや首の長いものや短いものがあります。
果面のこぶは大きく、縦溝は不鮮明です。
ブランド認証年度:平成2年度
出回り時期:7月中旬~8月上旬
肉質が緻密・粘質で、煮炊きしても型くずれしません。
ひょうたん形の外観をいかし、中にひき肉を詰めるなどの料理法もあります。
形のおもしろさから、観賞用としても利用されます。

堀川ごぼう


豊臣秀吉が築いた聚楽第の堀跡へ埋めたゴミの中に、
食べ残しのごぼうが捨てられていたものが、
年越して大きく育ったことから年越ごぼうの栽培が始められたと言われており、
この独特の栽培法は約400年の歴史を有することになります。
特徴として、表皮は暗褐色で首部には亀裂を生じ、
かすり状となっています。
中心は空洞になって「す入り」した状態ですが、
肉質は軟らかく、独自の芳香があります。
ブランド認証年度:平成2年度
出回り時期:11月上旬~12月下旬
越年栽培の大型ごぼうで、中に空洞があります。
香り高く、繊維がやわらかいので味が中までしみこみやすいのが特徴です。
空洞部分に肉やえびを詰めるなどして煮物にします。

聖護院だいこん


文政年間(1816~1830)に現在の左京区聖護院に住む農家が、
尾張の国から黒谷の金戒光明寺に奉納された大根を譲り受け、
栽培し、採種を重ねるうちに短系のものが生れ、
それが土壌の浅い京都の地に合ったので、
聖護院一帯に栽培が広がったといわれています。
来歴については、別の農家が取り寄せたという説もありますが、
いずれにしても尾張の宮重大根という長大根が原種であるといわれています。
特徴として、短系で球形で地表に表れる部分は淡い緑色を呈します。
肉質は軟らかく、煮物に適しています。
ブランド認証年度:平成2年度
出回り時期:11月中旬~2月下旬
約180年前、聖護院の農家が尾張の長大根から作りだしました。
長時間炊いても煮くずれせず、とろっと仕上がります。
苦みがなく、ほんのりとした甘みがあるので、
ふろふきだいこんやおでんで楽しめます。

京壬生菜(壬生菜)


1800年代にみず菜の一変種が自然交雑によって生まれ、
壬生地区に多く栽培されたものとされています。
みず菜との区別がはっきりした頃は不明ですが、
文化元年(1804)の文献に「壬生に産する壬生菜」という明らかな記載があります。
特徴として、みず菜と同様ですが、葉に欠刻が無く、
円くスプーン状になります。
ブランド認証年度:平成3年度
出回り時期:一年中
みずなの自然交雑でできたもので葉がへらの形をしています。
特有のピリッとした辛みと香りが特徴です。
さっぱりとした風味で、和え物、炒め物、
一夜漬けなどにも使われます。

くわい


天正19年(1591)に豊臣秀吉が京の都を外敵と災害から守るため、
周囲に御土居(おどい)を築きましたが、そのためにいたるところに低地を生じ、
肥沃な低湿地で、藍の栽培を行い、
その裏作として栽培されたのが始まりであるとされています。
永年京都において育成淘汰し、固定した優良品種であると言われています。
ブランド認証年度:平成3年度
出回り時期:12月上旬~12月下旬
「良い芽がでますように」と縁起物として、
おせち料理の煮物には欠かせない一品です。
甘みと特有のほろ苦さが特徴です。
煮物のほかスライスして揚げ物にしたり、鍋物にも適しています。

京山科なす


現在の山科一帯で古くから栽培されてきたなすです。
左京区吉田で栽培されていた「もぎなす」を大型に改良したものとされています。
幹は太く枝は直立します。
樹勢はやや弱く、葉は広くてやや長円で浅い欠刻があります。
果形は長円形又は卵型で、濃紫黒色で光沢があります。
果皮薄く、肉質が軟らかいので、日持ちせず、
輸送に適さないために栽培が減少しました。
ブランド認証年度:平成10年度
出回り時期:6月中旬~10月下旬
玉子を大きくしたような丸みのあるふっくらとしたなすです。
肉質が緻密で、煮炊きしても型くずれしません。
煮物、焼きなす、ぬか漬けなどに適しています。

聖護院かぶ


享保年間(1716~1736)に、現在の左京区聖護院に住む農家が、
現在の大津市堅田の近江かぶの種子を持ち帰って栽培し、その後改良しました。
天保年間(1830~1844)にこのかぶを原料として漬物に加工したものが、
京の名産「千枚漬け」です。
葉はやや広く滑らかで下部には欠刻があり、
根部は腰高偏円で葉付部にへこみがあります。
早生種は、根の上部のくぼみが深く、偏円形で品質も優秀です。
晩生種はくぼみも小さく横づち型であるため、
千枚漬け用として歩留まりが良いことから多くの需要があります。
ブランド認証年度:平成19年度
出回り時期:11月中旬~2月下旬
約280年前、聖護院の農家が近江かぶから作り出しました。
球形でどっしりとした大かぶで、
きめ細やかで緻密な肉質、歯切れの良い食感が特徴。
京漬物「千枚漬」に利用されるほか、
かぶら蒸し、サラダでの生食など幅広く使用するとができます。

京夏ずきん


「京 夏ずきん」は、京のブランド産品「紫ずきん」と同様、
一般の枝豆に比べ粒が極めて大きく、
食べたときのモチモチした食感と濃い甘味が最大の特徴の黒大豆枝豆です。
「紫ずきん」よりも早く、夏場に出荷できるよう京都府が育成した品種で、
「紫ずきん」同様、良質のタンパク質をはじめ、
ビタミンCやカルシウムなどを豊富に含んでいます。
平成24年3月に京のブランド産品に認定。
ブランド認証年度:平成23年度
出回り時期:8月上旬~8月下旬
丹波黒大豆から生まれた夏のえだまめです。
粒が大きくコクがあり、甘みがたっぷりで、
もちもちした食感が楽しめます。
ゆでた京夏ずきんは、豆ごはんやサラダ、
かき揚げなどでも楽しめます。

万願寺甘とう(万願寺とうがらし)


大正末期から昭和初期にかけて、
京都府舞鶴市万願寺地区にて伏見系のトウガラシと、
カリフォルニア・ワンダー系のトウガラシを交配して誕生したものと言われている。
果肉は大きくて分厚く、柔らかく甘味があり、種が少なく食べやすいことが特徴。
その大きさから「とうがらしの王様」とも呼ばれている。
「京の伝統野菜」に準ずる野菜として指定されている。
ブランド認証年度:平成元年度
出回り時期:5月下旬~10月下旬
舞鶴市生まれの大型のとうがらしです。
肉厚でボリュームたっぷり、
とうがらしなのに辛みはなく、甘さとやわらかさが特徴です。
種が少ないので、焼く、煮る、揚げるなど様々に楽しめます。

やまのいも


近畿地方、京都府の地域ブランド。主に宮津市で生産されている。
一般につくねいもとも呼ばれる丸いもの一種。
古くから京都府の北部にある宮津市栗田地域で栽培されてきた。
水はけが良く、常時適度の湿りがある土地で育てられる。
締まった肉質で水分も少なく粘りが強い。
滋養強壮に効果があるといわれ、ビタミンCも豊富。
京都では饅頭など菓子の材料としても使われる。
ブランド認証年度:平成5年度
出回り時期:11月上旬~2月下旬
一般に「つくねいも」と呼ばれる丸いもの一種です。
肉質がしまり、水分が少なくて、たいへん粘りが強いのが特徴です。
すりおろしてとろろ汁にするほか、菓子原料としても使われます。

花菜


「花菜(はなな)」は、なばな(菜花)や「菜の花」とも呼ばれる、
アブラナ科の野菜で、
若くてやわらかい花茎や葉、つぼみを食用にします。
特有のほろ苦さがありますが、
ゆでると甘味が出てお浸しや和え物などにするとおいしい食材です。
ブランド認証年度:平成2年度
出回り時期:12月中旬~4月中旬
伏見桃山付近で切り花用として栽培されていた寒咲きなたねの蕾を、
食用にしたもの。
心地よい歯ごたえと独特の風味(ほのかな苦み)があります。
からし和え、お吸い物、おひたし、漬物などに適しています。

金時にんじん


16世紀に中国から日本に伝わり、京にんじんとして栽培されていた。
京都府では1990年にブランド京野菜として認証を受けたが、
2010年代までには生産が少なくなりブランド品としての出荷実績は消滅している。
一方、早取りで周年栽培が可能であり葉も食べられる「京かんざし」という品種を、
京都府農林水産技術センターが金時にんじんをベースに開発し、
2008年から京丹波町や八木町で栽培および出荷を行っている。
ブランド認証年度:平成3年度
出回り時期:11月上旬~1月下旬
表面だけではなく、中まで真っ赤です。
肉質がやわらかで、甘みがあり、煮炊きするとさらに引き立ちます。
粕汁や正月の煮しめなど冬の料理の彩りとして欠かせません。

紫ずきん


「紫ずきん」は黒大豆の枝豆で、京のブランド産品の一つ。
京都府だけで作られている品種で、
京都乙訓管内では京都市右京区京北で栽培されています。
出回るのは9月中旬から10月下旬までの期間限定!
ひと味違う枝豆「紫ずきん」は、甘味たっぷりです。
ブランド認証年度:平成8年度
出回り時期:9月上旬~10月下旬
丹波黒大豆から生まれた秋のえだまめです。
粒が大きくコクがあり、甘みがたっぷりです。
豆の薄皮が薄紫色で、
頭巾のような形をしていることから名付けられました。

京こかぶ


京都府の地域ブランド。
主に京都市右京区京北地区で栽培されている。
白く美しい形状できめ細かで緻密な肉質、繊細な甘みを持つ。
漬物やかぶら蒸しなどに用いられ、生食も可能。
ブランド認証年度:平成19年度
出回り時期:5月上旬~7月中旬、9月中旬~12月中旬
真っ白い肌、美しい形状のこかぶで、
きめ細やかな肉質、精細な甘みがあります。
京漬物やかぶら蒸しをはじめとした、京料理には欠かせない食材です。
サラダでの生食など手軽に利用でき、
葉の部分もおいしく食べることができます。

辛味だいこん


旧名「原谷大根」と呼ばれており、京都市北区大北山(原谷)の原産で、
元禄、宝永の頃(1688年以降)から現在の北区鷹峯で
栽培されるようになったとされています。
形状は、根部、茎葉とも一見小かぶらに似ていて、非常に小さく、
直径は3〜5cm位です。葉柄、中央の葉脈の基部は紫色をしており
根部には強い辛味があります。

青味だいこん


現在の中京区西ノ京(旧葛野郡朱雀野村)が原産とされていますが、
約150年前の文化・文政の頃(1804〜1830)、
現在の右京区西京極で栽培されていて今は絶滅した
「郡だいこん」の変異種として作出されたようです。
尾部が1〜2箇所で屈曲する中生系の大根で、
茎葉は濃緑色、根身は長さ12〜15cm、直径1〜1.5cm、
地表部が濃緑色で青味の多いものが良いものとされます。
根部は断面も青く、冬場にきゅうりの代わりとして利用されたようです。

茎だいこん


別名「中堂寺大根」ともよばれ、
約300年前には京都で広く栽培されていた在来種であると考えられています。
市内の各地で栽培されていたので南禅寺大根や、
吉田大根など各々の地名でも呼ばれていたようです。
左京区松ヶ崎は、この大根の栽培に適した気候・土質であったため、
現在も栽培が続けられています。
茎葉は繊細な感じで淡緑色であり、葉柄は細く柔軟です。
根部は純白色で根の先がやや太く、尻づまりしています。

松ヶ崎浮菜かぶ


古い記録はありませんが、奈良時代に僧がいずれかから伝えたとの説があります。
また、近江かぶが京都に導入されて栽培される間に
松ヶ崎浮菜かぶになったとも言われています。
古くから左京区松ヶ崎に栽培された、地域固有のかぶの品種です。
葉は滑らかで欠刻が深く、みず菜の変り品種のようで、
地下部が肥大する頃からかぶの上部から茎葉が増える、葉数の多い特殊なかぶです。

すぐき菜


古くから北区上賀茂に伝承するもので、
起源は定かではなく約300年前と推察されています。
地域的に限られた状況で栽培されたため栽培についての文献は無く、
地元住民の口伝えによるのみです。  
栽培起源の有力な説は2説ありますが、
ふたつとも栽培創始者が賀茂別雷神社(上賀茂神社)の社家某であることが
共通していることから、神社との密接な関連性があると思われます。
根は円錐状であり、葉は濃緑色で、
葉、根部とも大別して各々三つの系統群があります。
すぐき漬けはその独特の酸味が特徴ですが、
これは乳酸醗酵によるもので天秤を利用した漬け込みと、
むろ室での醗酵を組み合わせた独自の手法によって作り出されます。

畑菜


起源は明らかではありませんが、
菜種油用のものが野菜の少ない早春に若菜として利用され、
それが改良されてできたのではないかと言われています。
草姿は菜種に類似しますが、葉、柄共に欠刻が大きいことが特徴です。
京都では初午の日に食べる伝統があります。

もぎなす


天保年間に油引きの障子を利用した育苗法が開発され、
現在の左京区聖護院では苗の栽培や、なすの促成栽培が盛んに行われていました。
そのような環境の中で慶応、明治初年頃、
在来なすの中に早生で草丈の低い系統が出現。
促成栽培用品種として栽培されるようになりもぎなすが生まれたようです。
極早生系で草丈が低く、横枝が良く張り、結果数も多く、葉は小さくて茎も細く、
果実は紫黒色。
普通の千両なすの幼少果実のへた周辺が着色していないのに対し、
もぎなすは、へたの際まで着色しているのが特徴です。

田中とうがらし


起源は明らかではありませんが、
明治初年に左京区田中地区の農家が滋賀県から種子を持ち帰って
栽培を始めたと伝えられています。
田中地区一帯で栽培されていたので、この名前をつけ販売されていました。
やがて田中地区の都市化に伴い、
左京区一乗寺から山科区へと広まったといわれています。
果は太くて短く、小型で果の先端がつまり、
獅子の頭の形状になっているので「ししとうがらし」とも言われます。
種が少なく、色は濃緑色で辛味はありません。

柊野ささげ


現在の北区上賀茂柊野地域特有の作物で、栽培の起源等は文献がなく不明ですが、
300年くらい前から栽培されていると考えられています。
昔からお盆には必ず仏前に供えたという記録もあり、
明治維新以降も多く栽培されていましたが、
短系のささげが広く栽培されるようになったことから、激減しました。
他のささげより長く、80〜90cmになるので、三尺ささげとも言います。
葉は濃緑色で葉形はやや長く、毛じ(細かい毛)がありません。

京うど


江戸時代に現在の伏見区桃山の城下において、
地元の農民の知恵と工夫によって生まれた栽培で、在来種が栽培されています。
根株をまんじゅう型に土盛りし軟化するため、茎は白く上がりますが、
太短く、室栽培のようにスマートではありません。

京みょうが


江戸時代の終期、現在の伏見区桃山の農民、平兵衛が、
地下水の湧き出ている傍らに軟白している茗荷を見つけ、
これをヒントに地元の豊富な湧水を利用して、
軟化栽培することを考案したのが始まりとされています。
みょうがの芽の長さ30cm、太さ1〜1.5cmくらいのものが出荷されています。
茎の色は黄色地に紅を帯びた色で、香りが良いのが特徴です。

京せり


承和5年(838)の文献にせりの栽培が記載されていることから、
ねぎの栽培とともに古く、湧水の多い低湿地の利用として多く栽培されたようです。
現在のような湧水栽培が行われたのは約300年前と言われています。
葉の形からとがったものを柳葉、丸味を帯びたものを丸葉と呼んでいます。
さらに色や香り、栽培地域によって、
京せり、青ぜり、お多福ぜり、山科ぜりに区別されています。

桂うり


起源について詳しいことは不明ですが、越うりの一種で、
大越うりを栽培している中から、
品質の優れた特に大型のものを選抜して栽培していたと言われています。  
また、元和3年(1617)には、
智仁親王が川遊びやうり見に現在の西京区桂に訪れたと文献にあり、
それ以前から栽培されていたと考えられています。
果皮は緑白色で果肉は厚く、頭部,尻部とも太くて肉質は厚く、
ち密で甘味と芳香に富みます。
漬物にしても形がくずれにくいことから、
未熟果が奈良漬の原料として利用されてきました。
近年、完熟果の機能性が発見され、製菓原料等としての利用も検討されています。

桃山だいこん


起源は明らかではありませんが、
滋賀県にあった伊吹山大根を桃山の一部(大亀谷)に移して
栽培したものと言われています。 
この大根は根の先が細くねずみの尻尾の様であったことから、
鼠大根とも呼ばれていました。
文献から推察すると、300年前後の歴史を持っていると考えられています。
しかし大亀谷大根と桃山大根は別のもので、
桃山大根は従来京都で栽培されていた中堂寺系大根であるという説もあります。
根部は短くて根首と先端がほぼ同じ大きさで、
直径6〜8cm、長さ30cm内外、肉質が非常にしまっています。
たくあんにしたときに品質が長い期間保持されることから、
漬物として多く利用されていました。

鷹峯とうがらし


起源は明らかではありませんが、とうがらし類の栽培の歴史の中で、
交雑種が固定されたものと考えられています。
鷹峯地区近辺で生産されるとうがらしです。
果は大型で、肩の張りは無く、色は濃緑色をしており辛味はありません。
肉厚で皮が薄いことが特長です。

うぐいす菜


江戸時代の中期に、
現在の中京区神泉苑町の農家が天王寺かぶの早生種作出のために、
選抜淘汰してできたとされ、
早春の菜としてうぐいすの鳴く頃に収穫されることから呼ばれたとも言われています。
江戸時代には公卿、大宮人等の専用料理に愛用されて、
高級そ菜として栽培されてきました。
早生小かぶに属し、葉は光沢のある壬生菜のような形で、
根は純白色のやや偏円形で、は種後40〜50日で親指大で収穫します。

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あとがき

京の伝統野菜って意外とたくさんあるのに驚きました。
これらの伝統野菜でどんなお料理が作られていたのでしょう?
しかし、それより近頃、お野菜が高すぎて困ります。
特に、京野菜とかブランド野菜というとさらにお高いです。
でも、食卓がいろんなお野菜でカラフルに飾られているのって、
楽しくなりますよね!