京都にある宝鏡寺という尼門跡寺院は、
人形寺として有名ですが、
その宝鏡寺で行われる人形供養と、
秋の人形展について、
また、宝鏡寺が人形寺と呼ばれる由縁と
宝鏡寺の人形塚へのアクセスについてご案内します。
宝鏡寺 秋の特別公開 人形供養と秋の人形展はいつ?
秋の人形展の日程
秋の人形展の開催期間は、11月1日から11月30日まで、
拝観時間は、
午前10時~午後4時閉門(受付は15:30まで)
拝観料
大人600円 小人300円 (団体割引あり)となっています。
宝鏡寺では皇女方が入寺されていたことから御所より人形が贈られ、
孝明天皇(こうめいてんのう)ご遺愛の人形をはじめ、
由緒ある人形を数多く保存いたしておりました。
昭和32(1957)年の秋より人形展(一般公開)が始まり、
その後関係者によりまして年1回、
秋に人形供養祭(及び関係物故者供養祭)が営まれることとなり人形塚も建立され、
いつの頃からか人形の寺として名高くなりました。
現在はこの塚の前で毎年10月14日に人形供養祭が行われており、
島原太夫による舞や和楽器の演奏などが奉納されます。
また全国各地より人形やぬいぐるみが年中持ち寄られるようになり、
人形供養も毎日受け付けることになりました。
そうしていつの頃からか人形の寺として名高くなりました。
人形供養祭と人形塚
人形塚の歴史は意外と新しく、
境内に建てられたのは昭和34(1959)年のことです。
1950年代半ばに、京人形商工業協同組合が、
京人形を本格的にアピールしていこうと建立を計画したものです。
塚には、
京人形を象徴する愛らしい御所人形が彫り込まれています。
その台座には、武者小路実篤の歌碑が寄せられています。
人形塚は、人形と人形制作に一生を捧げた人たちの供養塔として、
真摯な意味を持っているのです。
人形よ 誰がつくりしか
誰に愛されしか 知らねども
愛された事実こそ
汝が成仏の誠なれ
武者小路実篤
そうしてその頃より、
皆様方から人形が供養に納められるようになり、
今日にいたっております。
納められたお人形は、
ある程度集まりますと可能な処へ運ばれ、
お人形と一緒に納められた紙のひとがたもお火上げとなります。
お火上げの日までは毎日お勤めがされます。
受付で書いて頂いた紙のひとがたを燃やした灰の一部が、
毎年10月14日に行われる“人形供養祭”にて人形塚の中に納められます。
“人形供養祭”には、この日に持ち込まれたお人形を並べ、
年に一度の総供養の日として、お勤めが盛大に執り行われます。
毎朝のお勤めに一般の方の参列はできませんが、
当日は皆様にも参列していただき、お焼香もしていただけます。
“人形供養祭”の日は島原太夫の奉納舞などがあります。
【人形供養祭に持ち寄られたお人形たち】
人形供養祭は、10時30分より1時間程度行われます。
人形供養祭の人形受付は、当日の10時から10時30分までとなっております。
人形供養の申し込み方法
・窓口での受付の場合
毎日10時から15時まで受け付けております(年末年始はのぞく)
お人形をガラスのケースや木・紙箱から出して、
紙袋やポリ袋にまとめていただき、受付まで御持参してください。
お供養料は3000円からです。
かさばったり重量があるものに関しましては、
お火上げの手数料の都合でお供養料が加算されます。
御了承の上、お納めいただきますようお願い申し上げます。
人形の大きさの目安としては、
ポリ袋(45リットルの袋の口が余裕をもってしばれるくらい)にまとめていただき、
お供養料5000円になります。
詳しくは電話にてお問い合わせ下さい。(075-451-1550)
・郵送受付の場合
宅配便・ゆうパックでも受け付けております。
その場合は、必ずミカン箱くらいまでの大きさの箱(約30cm×40cm×30cm程度の箱、
またはゆうパック箱=大サイズ)に人形を納め、
お名前と郵便番号、御住所を記入した用紙を、箱に同封してお送り下さい。
お供養料の納め方について、詳しくは電話にてお問い合わせ下さい。
・その他
お人形がなくてもお供養のみ受け付けております。
お供養料は3000円です。
受付にて紙のひとがたに名前を書いてお申込みいただきます。
わからないことがございましたら、
お電話(075-451-1550)にてお問い合わせ下さい。
宝鏡寺が人形寺となった由縁と尼門跡寺院とは
宝鏡寺の歴史
宝鏡寺は、西山(せいざん)と号し、百々御所(どどのごしょ)という御所号をもっている
臨済宗単立の尼門跡寺院です。
本尊は聖観世音菩薩で、伊勢の二見浦で漁網にかかったものと伝えられ、
膝の上に小さな円鏡を持っている大変珍しいお姿をしております。
開山は、
景愛寺(けいあいじ)第六世であった光厳天皇皇女華林宮惠厳(かりんのみやえごん)禅尼であり、
応安年間(一三六八~七五)に御所に祀られていたこの聖観世音菩薩像を、
景愛寺の支院であった建福尼寺に奉納安置して、
名前を改め開山したのが始まりです。
景愛寺は弘安年間(一二七八~八七)に無外如大禅尼(むがいにょだいぜんに)が開山した寺院で、
足利氏の庇護により、南北朝時代以降は禅宗尼寺五山の第一位におかれ、
寺門は大いに栄えていました。
しかし応仁の乱の兵火や足利氏の衰退により消失してしまいましたが、
華林惠厳禅尼の入寺以後は宝鏡寺の住持が景愛寺を兼摂することとなり、
現在まで景愛寺の法灯は宝鏡寺が受け継いでいます。
また寛永二一(一六四四)年、
後水尾天皇々女久厳理昌禅尼(くごんりしょうぜんに)が入寺されてより、
紫衣を勅許され、皇室とのゆかりが再び強まり、以後歴代皇女が住持を勤める慣わしとなりました。
天明八(一七八八)年の大火では類焼しましたが、
寛政一〇(一七九八)年竣工の書院をはじめ、
本堂・大門・阿弥陀堂・玄関・使者の間の六棟が復興され、
現在は京都市指定有形文化財に指定されています。
文政一〇(一八二七)年上棟の本堂は前後三室からなる六間取の方丈形式で、
書院には円山応挙の杉戸絵、
天保四(一八三三)年に円山応震と吉村孝敬が描いた襖絵がはめられています。
阿弥陀堂は勅作堂ともいい、
光格天皇勅作阿弥陀如来立像が御所より移される折りに移築された建物です。
明治の廃仏毀釈以後は、宝鏡寺住職が代々兼務していた大慈院を合併し、
本尊の阿弥陀如来立像、開基である崇賢門院(すうけんもんいん)御木像、
尼僧姿の日野富子(ひのとみこ)御木像も阿弥陀堂に安置されています。
「人形の寺」と尼門跡寺院
京都や奈良には多くの尼門跡寺院があり、
そこにはたくさんの人形が保存されています。
尼門跡寺院とは、
皇族・公家など、高貴な女性の入寺によって営まれてきた、
独特な品格を持つ寺院のことです。
現在、京都・奈良に13の尼門跡寺院が残っていますが、
歴史的背景、皇室との関係性などから、
一般はもとより研究者にもその大半が非公開となっています。
現在京都、奈良に残る尼門跡寺院は以下の13か所です。
大聖寺(だいしょうじ)京都府京都市上京区烏丸今出川上ル御所八幡町109
宝鏡寺(ほうきょうじ)上京区寺之内通堀川東入百々町547−1
曇華院(どんけいん)右京区嵯峨北堀町25
光照院(こうしょういん)上京区安楽小路町425
円照寺(えんしょうじ)奈良県奈良市山町1312
林丘寺(りんきゅうじ)左京区修学院林ノ脇 修学院離宮内
霊鑑寺(れいかんじ)左京区鹿ケ谷御所ノ段町12
中宮寺(ちゅうぐうじ) 奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺北1-1-2
法華寺(ほっけじ) 奈良県奈良市法華寺町882
三時知恩寺(さんじちおんおんじ)上京区新町通上立売下る上立売町4
慈受院(じじゅいん)上京区寺之内掘川東入百々町540
宝慈院(ほうじいん)上京区衣棚通寺之内上る下木下町171
本光院(ほんこういん)上京区今出川七本松西入真盛742
皇女や貴族の息女が住職となる寺院のことで、
正式には比丘尼御所と称されていました。「
尼門跡というのは明治以降の名称で、
尼門跡は代々内親王が入寺され、
父君である天皇から季節やことあるごとに人形が贈られてきたことに由来します。
景愛寺第六世であった光厳天皇(こうごんてんのう)皇女華林宮惠厳(かりんのみやえごん)禅尼は、
宝鏡寺を開山し後光厳天皇より宝鏡寺の号を賜っており、
中世京洛に栄えていました尼五山第一位の景愛寺の法灯を今に受け継ぐ宝鏡寺です。
宝鏡寺も例外ではなく、
多くの人形が所蔵されています。
中でも特に最近代の皇女である霊厳理欽尼(れいごんりきんに)には、
三組の雛人形、猩々人形などが残っています。
このような人形を内々で公開することはありましたが、
内外からの要望により、昭和32年(1957年)年秋より人形展を始めるようになり、
それ以降は毎年春と秋に一般公開することになりました。
その後関係者により年一回、
秋に人形供養祭(及び関係物故者供養祭)が営まれることとなりました。
昭和34年の秋には壊れたり汚れたりして捨てられてしまう人形を弔い供養し、
その霊を慰めるために、
人形製作に携わる人々及び有志などによって人形塚が境内に建立されました。
人形塚は、吉川観方(よしかわかんぽう)氏による手に宝鏡を持った御所人形の姿をしており、
武者小路実篤(むしゃのこうじさねあつ)氏による詩が刻まれています。
吉川 観方(よしかわ かんぽう)氏は、
1894年(明治27年) – 1979年(昭和54年)4月16日
大正時代から昭和時代にかけての京都の日本画家、版画家。
尼門跡寺院 宝鏡寺へのアクセスは?
宝鏡寺の境内には、
めずらしい椿や伊勢なでしこなどの花が四季折々に咲いています。
宝鏡寺のある場所は、応仁の乱で合戦の場として有名なところです。
堀川通りは京都市内を南北に貫く大きな通りですが、
そこを少し東に入るだけで、あたりはちょっと普通でない空気間を感じます。
尼門跡寺院があるということもそうですが、
その一帯は茶道の御家元 不審庵や今日庵があり、
歴史や文化の香りが漂う場所です。
人形の寺 宝鏡寺
〒602-0072
京都市上京区寺之内通堀川東入ル百々町547
TEL:075-451-1550
受付時間:午前10時から午後3時まで
交通:市バス 京都駅からは9系統 四条通からは12系統で、堀川寺之内下車すぐです。
https://kyoumi.click/691.html
https://kyoumi.click/5858.html
あとがき
人形やぬいぐるみが部屋の隅にあります。
それだけで何となく癒される気がします。
古くなったり壊れてしまっても、
簡単には捨てられません。