京都のお盆 お精霊迎えは 花園妙心寺・六道珍皇寺六道参り・千本ゑんま堂

夏の行事

お精霊迎えは 
お盆に先祖の霊をお迎えして供養する
大切な行事です

京都のお盆の“お精霊迎え”にもいろいろな形があるようですが

その中でも最も多くの人が訪れる
京都の三大“お精霊迎え”として有名な

●花園・妙心寺 

●六道珍皇寺

●千本ゑんま堂 をご紹介します

また 京都のお精霊送りは
大文字さんで有名な『五山の送り火』です

  

京都のお盆 お精霊迎え花園 妙心寺

全国各地には古くから伝わるお盆の行事があります

一般的に“お盆”と呼ばれているのは 盂蘭盆(うらぼん)の年中行事の一つで
お盆にご先祖の霊があの世から帰ってくるとされるものを
迎えることを“お精霊迎え”と言います

ナスやキュウリの夏野菜に 箸を指して四つ足の動物をかたどり
『精霊馬』と言われる ご先祖様の霊が乗って帰ってくる乗り物を作り
お精霊迎えをするところもあります

京都のお盆の“お精霊迎え”は
お寺さんに出向き ご先祖様をお迎えに上がります

■京都の右京区 花園にある妙心寺は
正法山妙心寺は臨済宗妙心寺派の大本山で 京都市右京区花園にあります

妙心寺は 建武4年 
花園法皇の求めに応じて 弟子の関山慧玄禅師を師とするよう推挙されました
そして
花園法皇は花園の離宮を禅寺にし 宗峰妙超禅師が正法山妙心寺と命名されました

その妙心寺では
8月9日・10日 朝6時から夜10時まで「お精霊迎え」が行われます

お盆になるとご先祖様が私たちのところに帰ってこられるので
そのご先祖様をお迎えするのがこのお精霊迎えです

9日・10日は両日共に朝6時から夜10時まで行なわれますが
日中はとても暑いので 午前中もしくは夕方以降がオススメです

妙心寺では
迎え鐘と言って 年に一度お精霊迎えのときだけ撞いていただける鐘を鳴らして
ご先祖様が間違ったところに帰られないように合図します

狩野探幽筆の立派な龍の天井画がある法堂の前では
和尚さんがご先祖様やなくなられた大切な方のお塔婆を書いてくださいます

お堂の中で 御勤めをしていただき ご先祖様をお迎えになってください

また
この8月9日と10日は 年にたった一度だけ境内に縁日が並びます
たこ焼きやくじ引きなどいろいろなお店が並びます

そして
8月8日~12日までの間は 妙心寺の境内は花灯路によってライトアップされ
仏殿や法堂のまわりにはみなさんが描いてくださった灯篭に灯がともります

これもご先祖様がすぐに帰るべき場所を見つけてくださるようにという
願いをこめて作られたものです

今ある自分を思い ご先祖様に感謝する
年に一度のお盆には みなさまも是非そういった機会を作っていただければと思います

お精霊迎え六道珍皇寺の六道参り

六道珍皇寺は 承和年間(834年〜848年)創建された 臨済宗建仁寺派の寺院で 
山号は大椿山 本尊は薬師如来様です

京都市東山区大和大路通四条下ル 京都の花街 祇園にあります

六道珍皇寺では 精霊迎えの六道まいりを
毎年8月7日〜10日(4日間) 午前6時〜午後10時に行っています

京都では、盂蘭盆の前夜にあたる8月7日〜10日の期間において
精霊(御魂 みたま)を迎えるために六道珍皇寺に参詣する
「六道まいり」という風習があります

別称を「精霊迎え」といいます

六道まいりとは

京都では
8月の13日から始まり16日の五山の送り火に終る盂蘭盆(うらぼん)には
各家に於て先祖の霊を祀る報恩供養が行われますが
その前の8月7日から10日までの4日間に精霊(御魂 みたま)を迎えるために
六道珍皇寺に参詣します

これを「六道まいり」あるいは「お精霊(しょうらい)さん迎え」とも言います

これは
平安時代においてこの辺りが 墓所の鳥辺山の麓で
俗に六道の辻と呼ばれた京の東の葬送の地であったからです

それはまさに生死の界(冥界への入口)であり
お盆には 冥土から帰ってくる精霊たちは
必ずここを通るものと信じられた事に由来しています

「六道」とは仏教の教義でいう
地獄道(じごく)
餓鬼道(がき)
畜生道(ちくしょう)
修羅(阿修羅)道(しゅら)
人道(人間)
天道 の六種の冥界をいい 人は因果応報(いんがおうほう)により
死後はこの六道を輪廻転生(りんねてんせい)する(生死を繰返しながら流転する)という

いわゆるこの世とあの世の境目(接点)の辻がこの六道の分岐点と言われています

古来より六道珍皇寺の境内あたりであるといわれ
冥界への入口とも信じられてきた

このような伝説が生じたのは 
六道珍皇寺が平安京の東の墓所であった鳥辺野に至る道筋にあたり
この地で「野辺の送り(のべのおくり)」をされたことより
ここがいわば「人の世の無常とはかなさを感じる場所」であったことと

小野篁が夜毎(よごと)冥府通いのため
六道珍皇寺の本堂裏庭にある井戸を
その入口に使っていたことによるものであると言われています

この「六道の辻」の名称は、古くは「古事談」にもみえることより
この地が中世以来より「冥土への通路」として世に知られていたことがうかがえます

六道珍皇寺 六道まいり 参詣の順序

参詣にあたっては、ひと通りの順序があります
境内にもご案内がございます 

1. 境内の山門を潜る参道に店を出す花屋にて高野槇(こうやまき)を購います

古来より
精霊は槇の葉に乗って冥土より帰ってくるとされていますが
買い求めた高野槇には「迎え鐘」で迎えた”おしょらいさん”が枝に乗り移り
懐かしき我が家へのしばしの里帰りとなります

2. 本堂前に移動して 水塔婆(みずとうば)に先亡の戒名や俗名を書いてもらいます

3. 迎え鐘を撞きます

4. 水塔婆を線香で浄めます

5. 地蔵尊宝前にて 水塔婆をその場に用意された高野槙で水回向を行ない
その場所に納めます

六道まいりの一連の流れは以上です

古来より
こうした美(うるわ)しい宗派を越えた京のお盆の精霊迎えのしきたりは
都人の厚き信仰のもとに千年の時空を越えて脈々と受け継がれ
今や
京洛の夏の風物詩ともなっています

お精霊迎え ご本尊が閻魔法王の千本ゑんま堂

千本ゑんま堂は『高野山真言宗 光明山歓喜院 引接寺』という名のお寺です 

ご本尊が閻魔法王のお寺で『千本ゑんま堂』と呼ばれ親しまれています

千本通り今出川を北へ進み 
京都市内 西北 北野天満宮の東北側にあります

朱雀大路頭に閻魔大王を安置したことに始まり
開基した小野篁卿(おののたかむらきょう))(802~853)は
この世とあの世を行き来する神通力を持っていたとされ

昼は宮中に 夜は閻魔之廰に仕えたと伝えられています

小野篁卿は閻魔法王より
塔婆供養と迎え鐘を用いて亡き先祖を再びこの世へ迎える法儀
「精霊迎えの法」を授かりました

この地をその根本道場として
小野篁卿自ら閻魔法王の姿を刻み建立した祠(ほこら)が当ゑんま堂の開基です

 その後
寛仁元年(1017)藤原道長の後援を得た定覺上人が
現在の地に「光明山歓喜院引接寺」を開山しました

現在「千本ゑんま堂」としてより親しまれているのは
この地が開山以前から 人々にそう呼ばれ
神仏や宗旨宗派を越えて信仰を集めていたからです

現在の閻魔法王は長享2年(1488)に作られたもので2.4メートルの高さです

ゑんま様は地獄の支配者のように思われますが 意外と身近な仏様です

人間を三悪道には行かせたくない為
怒りの表情で地獄の恐ろしさを語り 嘘つきは舌を抜くと説いておられます

千本ゑんま堂 境内の西北隅に紫式部の供養塔が建立されています
南北朝時代の至徳三年(1386)圓阿上人の勧進により建立されたとの刻銘があります

紫式部のあの世での不遇な姿を見て成佛させんがために建立した供養塔と伝えられています

十重塔としても珍しいとかで 重要文化財にも指定されている塔です

その供養塔の傍らには花の芯から双葉の芽が出て
普賢菩薩が乗っている象の牙の形に似ているところから名が付いたという
『普賢象桜』が4月下旬に花を咲かせます

応永15年(1409)
参詣した将軍・足利義満が 境内のこの桜に感服し
桜と狂言を愛でて毎年五十石の扶持米を下げ渡したと云われ
その狂言は京都の三大狂言の1つ「千本えんま堂大念仏狂言」として今に伝わっています

そんな千本ゑんま堂で 夏に行われる行事が
千本ゑんま堂(引接寺)のお精霊迎え・送りです

京都では ご先祖様の精霊の事を「おしょうらいさん」と呼びます

千本ゑんま堂のお精霊迎えは 盂蘭盆の行事で
千本ゑんま堂のある場所が かつて京の三大墓地と言われた
蓮台野の入口にあることに由来するとも言われています

お精霊迎えは 鐘の音色に引き寄せられ
ご先祖様が現世に戻ってくると言われています

8月7日~15日に 千本えんま堂で「お精霊迎え」が
8月16日に「お精霊送り」が 午前7:00~21:00まで行われます

お精霊迎えでは まず水塔婆に先祖の戒名などを書き 
線香の煙で水塔婆を浄めます

次に 御本尊・閻魔法王にお参りし 
本堂の裏で地蔵尊が祀られている池に水塔婆を流します

最後に 迎え鐘(梵鐘)を撞きます

お精霊(ご先祖様の霊)様は閻魔様のお許しを得てから 
家に戻るとされているそうで
家では仏壇の扉を開いて ご先祖様の霊をお迎えします

お精霊送りは 毎年8月16日に行われます
お精霊送りでは 送り鐘を撞き お精霊様を送り出します

ちなみに 千本ゑんま堂では送り鐘と迎え鐘は同じ鐘で
時期によって呼び名が変わります

京都の東側では 迎え鐘が六道珍皇寺で 送り鐘が矢田寺に分かれています

お精霊迎えが行われる14日には 千本六歳念仏が行われます

千本六歳念仏は 平安時代中期には踊念仏として知られ
市聖(いちひじり)と言われた空也上人(くうやしょうにん)が始めたともいわれています

なお 六歳念仏は鉦や太鼓で囃子 念仏を唱えながら踊る民俗芸能で民間信仰です

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まとめ

『おしょうらいむかえ』

昔 祖母に連れて行ってもらった覚えがあります
意味もわからず 言われるまま手を合わせていました

お精霊迎え 古い風習ですが
ご先祖様に感謝する
いつまでも大切にしたい習わしです

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