五山の送り火は 夏の夜空を焦がす
お盆の京都の伝統行事です
8月16日の夜
お盆で家に帰ってきているご先祖様の霊が
迷わずあの世へ帰っていく道しるべとなる灯です
五山の送り火のことを大文字焼きと言って
京都の人々は お盆の終わりとともに
秋の訪れを感じます
五山の送り火 山の名前は?歴史と由来は?
五山…五つの山と思われていますが
大文字焼きには
『大文字』『左大文字』『妙』『法』『舟形』『鳥居』
6つの山で行われます
『大文字』大文字さんと呼ばれるその山は「如意が嶽」という
472mの山で 京都市内より東北 銀閣寺の近くにあります
『左大文字』大北山または左大文字と呼ばれる230mの小さな山で
京都市内の西北にあります
『妙』『法』は松ヶ崎妙法とも言われ
松ヶ崎西山(135m)が『妙』別名 万灯籠山
松ヶ崎東山(186m)が『法』別名 大黒天山
二山合わせて妙法山とも呼ばれています
『舟形』舟形万灯籠は 山名を船山・万灯籠山・西賀茂山とも呼ばれていて
妙法の『妙』と『左大文字』の間に見えます
『鳥居』は鳥居形松明(とりいがたたいまつ)と言い
京都市内の西の方角に見えます 低い位置なので観難い
ほかの山は 木を組んで火床にするが『鳥居』は松明をそのまま突き立てる
松明には 松ヤニが入った松を使うので 火の色が他と違いオレンジ色に近い
山の中腹に描かれた文字に火をつける“大文字”の起源については
江戸時代と言われているが 公式なものには何も残っていないのです
『家紋研究家の高澤等は『兼見卿記』天正8年条に
「今夜四方山々万灯炉見物」とあることを指摘し
その原形は戦国時代には始まっていたとしている』
とあるが
場所と行為を具体的に特定した史料が登場するのは
近世に入ってからのことのようだ
初代京都所司代板倉勝重が三河生まれであり
900年以上の歴史を持つ貝吹のかぎ万燈を持ち出したことが起源であるともされるが
定かではありません
『雍州府志』によると
盂蘭盆会や施餓鬼の行事として行われていたとあり
『花洛細見図』にも「盂蘭盆会の魂祭」として紹介されていることから
江戸時代前期から中期までにはそれのもととなるものがあったようで
大文字、妙法、舟形、加えて所々の山、原野で火を点けていたということです
諸説あるようですが どれもはっきりとした起源は不明です
今では お盆に家へ帰ってきたご先祖様が 無事にあの世へ戻れるように
その道しるべとなるように 五山の送り火を灯して見送ります
京都に住む人にとって 大文字さんの送り火は とても大切な日なのです
五山の送り火 何時 点火されるのか?
『大文字』『妙』『法』『舟形』『左大文字』『鳥居』
五山の送り火は 東から順番に点火されます
『大文字』
東山 如意が嶽に 午後8時点火されます
丸太町通りから 北山通り御園橋あたりの賀茂川沿い
東の方向に見ることが出来ます
『妙』
松ヶ崎にある山で 西山 万灯籠山に 午後8時5分に点火されます
北山通り ノートルダム女学院から宝ヶ池教習所あたり
やや東より北側に見えます
『法』
松ヶ崎にある山 東山 大黒天山に 午後8時5分に点火されます
北大路通り高野橋北辺りの高野川沿いから 北側に見えます
『妙』『法』二つの山の南側向き斜面に点火されます
どちらも小高い丘といったような山ですので
京都市内 南のほうへ行くほど高い建物に遮られて見えにくいです
『舟形』
西賀茂にある 船山の南側斜面に 午後8時10分点火されます
北山通り賀茂川の北山大橋から御園橋周辺で北西の方向に見えます
『左大文字』
大北山に 午後8時15分点火されます
西大路通りわら天神交差点北側や
西院から金閣寺までの西大路通りから北向きに
また 北大路通り船岡山からも西北の方向によく見えます
『鳥居』
曼荼羅山に 午後8時20分点火されます
嵯峨 広沢の池や松尾橋あたりから見ることが出来ます
京都市内中心からは 中立売通りから真西の方向で見えることもあります
曼荼羅山も低い山なので 建物に遮られて見えにくいようです
大文字山の『大』の字は東と西の二つありますが
北に向かって左側にある山を『左大文字』と呼びます
点灯は東の大文字から始まり
反時計回りに5分置きで点灯され それぞれ約30分間点されます
点火から10分くらい経った頃が 勢いよく一番燃え盛る時です
そのあとそれぞれの山の 火の勢いが順番に沈んでいくのを見ながら
ご先祖様を見送ります
五山の送り火 どこから見る よく見える場所は?
五山の送り火 それぞれの山の麓で
よく見えるポイントをご紹介しましたが
五山全部を一度に見られる場所は なかなかありません
京都タワーや京都駅ビル空中経路からは五山すべてを見ることはできますが
ほとんどが観賞用貸切席になっています
主に優待客専用のようでチケットは入手困難です
イオンモール京都五条(旧イオンモールハナ)は
駐車場が解放されているので無料で全部見ることができますが
五山の送り火は京都市内の北の端で行われるので
京都駅近辺では遠すぎてよく見えません
火の勢いも見えるほど近いところですと
一度にいくつもの山を見ることはできません
全部見える場所ってどれも小さくしか見えないので
それなら1つでも2つでも
近くで風情を味わいながらゆっくりと鑑賞したいですね
位置的に考えると
京都ブライトンホテルや全日空ホテル ホテルオークラなどは
良く見えるはずですが きっとプレミア席なのではないでしょうか
ちなみに私が以前住んでいたマンションは
部屋のベランダと廊下 非常階段と移動すれば すべて見えました
京都の不動産屋さんでは
部屋をオススメするときの殺し文句が
「ここは大文字さんが一望でっせ!」なんです
一年にたった一回の五山の送り火なのに・・・
と思いながら聞いた覚えがあります
まとめ
京都の夏の終わりを告げる 五山の送り火
たくさんの観光客の方々が見えますが
『大文字焼き』と呼ばれることに少し抵抗があります
なんだか「たこ焼き」と一緒みたいで・・・
地元の人は『大文字さん』と“さん付け”で呼びますよ