二月堂お水取りの日程と時間はいつ?お水取りのやり方とお松明の意味は?

冬の行事


奈良・東大寺二月堂のお水取りをご存知ですか?
関西では「二月堂のお水取りが済むとようやく春がやってくる」と言われるほどで、
寒かった冬が終わりを告げ、待ち遠しい春がやってくる合図のような行事です。
テレビのニュースでも取り上げられ話題になりますが、
その二月堂のお水取りの日程や時間はいつなのか、
お水取りの松明にはどのような由来や意味があるのかをお伝えします。

  

二月堂お水取りの日程と時間はいつ?

『お水取り』の名称で有名な、
奈良の東大寺二月堂で行われる『修二会』の行事は、
毎年3月1日~14日に執り行われると言われていますが、
修二会の行事はそれよりも前に始まっています。

前の年の12月16日(良弁僧正の命日)の朝、
翌年の修二会を勤める練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる11名の僧侶が発表され、
明けて2月20日より別火(べっか)と呼ばれる前行が始まり、
3月1日からの本行に備えるのです。

この法会は、
現在では3月1日より2週間にわたって行われていますが、
もとは旧暦の2月1日から行われていたので、
二月に修する法会という意味をこめて「修二会」と呼ばれるようになりました。

また二月堂の名もこのことに由来しています。

行中の3月12日深夜(13日の午前1時半頃)には、「お水取り」といって、
若狭井(わかさい)という井戸から観音さまにお供えする「お香水(おこうずい)」を、
汲み上げる儀式が行われます。

また、この行を勤める練行衆(れんぎょうしゅう)の道明かりとして、
夜毎、大きな松明(たいまつ)に火がともされます。

このため「修二会」は「お水取り」・「お松明」とも呼ばれるようになりました。

では、二月堂のお水取りの予定はどのようになっているのでしょうか。

『修二会』の日程

12月16日 翌年修二会参籠の練行衆交名発表

2月12日 新入習礼(該当者がいる時のみ)

2月15日 新入・新大導師別火入り(該当者がいる時のみ)

2月18日 二月堂にて修二会で使用する灯明油の「油はかり」

2月20日 戒壇院別火坊にて試別火(ころべっか)はじまる

2月26日 戒壇院別火坊にて惣別火(そうべっか)はじまる(閏年は27日)

修二会中、毎日行われる行法を“六時”といいます。

六時とは一日を日中から夜明けまでを六つの時に分けたもので、
日中、日没(もつ)、初夜、半夜、後夜、晨朝(じんじょう)と呼ばれるものです。

六時それぞれに悔過作法(これらをまとめて単に「時」とも呼ぶ)が勤められ、
さらにその間に様々な法要や行事、作法が組み込まれています。

平日は19時に東大寺の大鐘がならされ、
それを合図に「おたいまつ」が点火されます。

練行衆が上堂すると、初夜の行法としてまず「読経(法華音曲)」、
初夜の「時」、「神名帳」、 「初夜大導師の祈り」、「初夜咒師作法」があり、
引き続いて半夜の「時」、礼堂に出ての「法華懺法」が行われます。

3月1日~11日  19時 10本 約20分間 

3月12日 19時半 11本 約45分間
日中の「時」終わって「数取り懺悔」。
初夜大松明(籠松明:かごたいまつ、 11本/19時半)にて上堂。
初夜終わって「神名帳」、その後に「過去帳」の読み上げ。
後夜の「時」の途中に咒師以下、二月堂下の若狭井に水を汲みに下る。
これを「お水取り」という。
後夜の「時」が終わって咒師作法の後「達陀(だったん)」の行法。

3月13日
お水取りは3月12日となっていますが、正確には3月13日の午前2時のことです。

3月14日 18時半 10本 約10分間(短い時間でお松明が連続して上がっていく)
お松明は3月1日から14日まで灯されます。

3月15日 満行

ニュースなどをごらんになって、
お松明は、「お水取り( 翌朝午前一時半頃)」の行われる、
この日だけしか見られないと思っておられる方が多く、
この日は毎年大混雑が予想されます。

また、土曜・日曜は特に混雑が予想されます。
(奈良公園周辺の交通規制、二月堂付近への入場規制有り)
このため、お松明を見ていただくことが出来ない場合があります。

当日は警察・機動隊の規制・誘導に従ってください。

二月堂お水取りのやり方とお松明の意味は?

東大寺の境内にある二月堂は、八世紀創建の壮大な仏堂です。

現存する二月堂は、江戸期の1669年の再興ですが、国宝に指定されていて、
奈良の早春の風物詩である『お水取り』の行事が行われることで知られています。

『お水取り』は、正式には『修二会』といい、
二月堂の修二会は無病息災のご利益があると言われています。

八世紀の奈良時代から、連綿と継承されている重要な行事なのです。

修二会は人々の罪や過ちを人々に代わって十一人の僧侶が、
二月堂のご本尊である十一面観音に懺悔をし、国の安泰を祈願します。

お水取り(修二会)の由来や歴史!

お水取り(修二会)の正式名称は「十一面悔過」と言い、
元々は旧暦の2月1日~14日に行われており、
2月に修する法会、であることから、「修二会」と言われていました。

お水取り(修二会)は、東大寺二月堂にあるご本尊「十一面観世音菩薩」に対し、
世の罪を懺悔し、国家安泰や五穀豊穣、除災招福を祈願する儀式です。

実忠和尚が天平勝宝4年より始め、
以後1200年以上に渡り続いている「不退の行法」とされています。

また「お水取り」の由来は、
「十一面悔過」を行う際、若狭井の井戸から汲み上げた水を
「十一面観世音菩薩」に供えることから呼ばれるようになったと言われています。

お香水について

お香水とは、
二月堂前にある「閼伽井屋(あかいや)」の井戸から汲み上げる水のことを言います。

この水は「十一面観世音菩薩」にお供えされる他、
行の中でも使われ、さらに参詣者にも分けられます。

閼伽は仏前に供えるお水のことを指し、
その閼伽を汲むための井戸が閼伽井となります。

お香水の由来は、
実忠和尚が「十一面悔過」において全国の神を勧請した際に、
若狭の国の「遠敷明神(おにうみみょうじん)」だけが、
魚釣りをしていて遅刻してしまいました。

その時にお詫びとして遠敷明神が「遠敷川から水を贈る」と言って、
二月堂の近くに清水を湧き出させたのが始まりと言われ、
それが後に「閼伽井屋(若狭井)」となったと言われています。

一度は見てみたいと思える「東大寺のお水取り」ですが、
「お水取り」の井戸は閼伽井屋という建物の中にあり、
当役の者以外は誰も入ることもうかがうことも出来ないものなのです。

一般的に、二月堂のお水取りと言われメディアにも映し出されている行法は、
二月堂の廻廊を、僧侶たちが大きな松明を振りかざす様子です。

夜十九時の行では、二月堂に上がる僧侶の足元を照らすために、
大きな松明が灯されるのですが、
この松明を二月堂の舞台から、観客に向けて火の粉を振りまきます。

この火の粉を浴びると無病息災のご利益があるとされていて、
毎年大勢の参拝者が火の粉を浴びてご利益を頂こうと集まります。

クライマックスは十二日の深夜に行われるお水取りの行法で、
長さ三メートルもある大松明を抱えた僧侶が、
飛び跳ねるようにして火の粉を振りまくのです。

お水取りが行われる奈良東大寺二月堂へのアクセスは?

二月堂の回廊を松明の炎が駆け回る様や、
その際の僧侶の走る音、
闇の中で響き渡る声明(しょうみょう)は、
見るものを大きな感動に導き、
一生に一度は体感しておきたいと言われています。

奈良・東大寺 二月堂

住所:奈良市雑司町406-1 二月堂
TEL:0742-22-3386

東大寺二月堂お水取りhttp://www.todaiji.or.jp/contents/function/02-03syunie2.html

JR大和路線・近鉄奈良線「奈良駅」から市内循環バス(外回り)
「大仏殿春日大社前」下車徒歩5分

または市内循環バス(外回り)
「氷室神社・国立博物館」バス停下車、徒歩約5分

近鉄奈良駅から、登大路町を東へ徒歩約20分
                 

あとがき

勇壮なお松明の火の粉を浴びて、
無病息災のご利益を頂戴する修二会
春の訪れを告げるお水取りですが、
三月半ばの深夜2時は、
まさに凍り付くような寒さの真っただ中ですが、
修行僧たちの想いと、
お松明の炎で寒さなんか感じないのでしょうね。