「白羽の矢が立つ」は「しらはのやがたつ」とよみます。
おそらく多くの人が知っていることわざなのではないでしょうか。
何かに大抜擢されたとか、
偉大な役割にを担う人物として選ばれたなんていうときに
使われることが多いこの言葉ですが、
現在の意味としては、
正しいものでも由来を考えると、
だいぶ意味が変わってしまうことわざになります。
なぜ意味が変わっていったのか、
その由来が意外に残酷な事柄からきているなど
「白羽の矢が立つ」について紹介したいと思います。
白羽の矢が立つとはどういう意味?
「白羽の矢が立つ」は、
有り難い雰囲気のある言葉ですが、
本来は全然ありがたくないものでした。
この言葉の意味と、
何故、
いいことと悪いことのどちらに使うものなのか、
そして、
「白羽の矢が当たる」という言い方でもよいのかについて、
お話したいと思います。
「白羽の矢が立つ」
この慣用句は、
本来の由来と現在で使われ方が少々ことなるのですが、
大勢の中から選ばれることという意味なのは間違っていません。
「新しい支店長は、伊藤さんに白羽の矢が立つようですね」
という様に使います。
大事な支店長に選ばれるわけですから、
伊藤さんは能力が認められて抜擢され、
出世するということですね。
このように白羽の矢が立つ、という慣用句は、
認められて選ばれるという、
よい意味での使い方が多いです。
「白羽の矢がたつ」は、縁起が良さそうな感じがしますね、
神がかった感じがします。
ですが、
白羽の矢の意味、
その由来は、確かに神様が関係しているものの、
全然ありがたくないものなのです。
・白羽の矢の語源と由来
白羽の矢は、
もともと人身御供に選ばれた人の家に立てられたものです。
人身御供は「ひとみごくう」と読みます。
①人間を神への生け贄 (にえ) とすること。
また、その人間。人身供犠 (じんしんくぎ) 。
②集団または特定の個人の利益のために、
ある個人を犠牲にすること。また、その個人。
という意味です、とても残酷ですよね。
白羽の矢が立つの本来の意味は・・・
人身御供とは昔、
嵐や災害が神の怒りと考えられていたころ、
その怒りを鎮めるために捧げられる人間のことです。
選ばれた人間は、
池や川に投げ込まれたりするのでひどい話ですし、
今では考えられないことですが、
昔はそういった習慣があったのです。
その人が犠牲になることで、
村が助かると信じられていたのです。
それで、
神様が人身御供に選ばれた人の家に白羽の矢を立てた、
と言われています。
これが「白羽の矢が立つ」の由来です。
したがって、
本来の意味としては犠牲者に選ばれる、
ということになります。
しかし、
今では悪いことだけでなく、
良いことにも使われます。
これは、人身御供というのは名誉なこと、
神に仕えることができるありがたいことだと
考えられていたからではないでしょうか。
それに、昔は今とは考え方が違いますから、
神に仕えられて名誉なことだと、
本当に信じていた人もいるかもしれませんね。
なので、
『白羽の矢が立つ』が、
ありがたいことという意味もあったのでしょうが、
こういった由来ですから、
これは難しい仕事で、誰にやってもらうか悩んだが、
君に白羽の矢が立つことになった、頼む」という感じで
名誉でいいことだけど、
大変なことに選ばれたという意味での使い方が多いです。
白羽の矢が立つの類語や使い方は?
ここで「白羽の矢が当たる」についてお話したいと思います。
「白羽の矢が当たる」ではなく、
「白羽の矢が立つ」となります。
矢が飛んできて当たるのは、ダーツの様なイメージで、
意味としてはどっちでも一緒なのですが、
由来を考えると後者が正しくなります。
■白羽の矢が立つの類義語
・決められる
・選択される
・選定される
・選抜される
・抜擢される
・貧乏くじを引かされる
・お鉢が回る
などがあります、
どれも聞いた事がある言葉ですね。
使い方の例を挙げるとすると、
「貧乏くじを引かされる」は「損な役割を与えられた」
そして「お鉢が回る」は「ややこしい役が回ってきた」
という風に使われます。
白羽の矢が立つの例文は?
「白羽の矢が立つ」の例文をみて見ましょう。
②次期部長にと白羽の矢が立ったのがなんと私の夫だった
③実力も知識もある彼に白羽の矢が立つのは当たり前だ
④忙しい時期なのに新年会の幹事として
私に白羽の矢が立ってしまった
⑤入社3年目なのに店長代理として白羽の矢が立つ彼女は、
きっと有能なのだろう
多くの中から選ばれる意味を持っているので、
ネガティブな意味で使われる場合もあります。
・会話例
A君「実は新店舗の店長として僕に白羽の矢が立てられたんだ」
B子「すごいじゃない!あなたの努力が認められたのね」
A君「違うよ、家から遠いし、
同じ業界の激戦区だし、
試験的なものだからきっとすぐに潰れるよ。ああ、気が重いなぁ」
B子「なんか喜びづらいわね…」
大抜擢といえばとても嬉しい事ですが、
立地やプレッシャーを考えると、
本人にとって
あまりいいものではなかったという例になります。
あとがき
白羽の矢が立つは、
良い言葉として使われる事が多いのですが、
本来の由来は、あまり良い意味ではありません。
この様に、
本来の意味と違った使い方をしている事が多くあります。
興味があったら、
一度、言葉の意味を調べてみるのもいいかもしれませんね。