ひな祭りと言えば、蛤がつきものですし、
春先が蛤の旬だという事が分かりますが、
はまぐりの旬な時期は、蛤が獲れる産地によって、
多少、時期は変動します。
ハマグリという名の由来は、
形が栗の実に似ているから浜栗という説の他、
小石を意味するクリに由来するという説もあります。
お吸い物や、バター焼き、塩焼きにしても
とても美味しいハマグリについて
詳しくお話したいと思います。
はまぐりの旬な時期はいつ?
ハマグリは、
北海道南部から南の日本沿岸、朝鮮や中国、
台湾などの広いエリアに分布しています。
ハマグリは、
種類によって貝殻の模様が違います。
日本沿岸で生息する昔からの品種については、
全体的に白っぽい殻をしていて、
黒や茶色の色が帯状に入っていることが多いです。
日本古来の品種である本ハマグリ他、
チョウセンハマグリやシナハマグリなどが生息しており、
シナハマグリについては、
貝殻にМ字の模様が入っているものが多いのが特徴です。
■縁起物のハマグリ
ハマグリは二枚の殻がぴたりと重なることから
「夫婦和合」の意味で縁起が良いとされています。
結婚式にハマグリのお吸物が出るのはこの為で、
一生一人の人と添い遂げるようにという
願いが込められています。
また、3月3日のひなまつりに食べると
「良縁」を招くとされ、
吸い物などに欠かせない物とされています。
■はまぐりの旬
はまぐりは、
産卵期が5月から10月とされていて、
そのため、旬は春先の2月から4月頃から、
各産地での産卵期により遅い時期までが旬となります。
はまぐりの旬は、
それぞれの産地で違いがあります。
はまぐりの産地と、旬を見ていきましょう。
はまぐりの産地で有名な所は?
はまぐりの産地と旬を合わせてみていきましょう。
■三重県の桑名市
三重県 桑名市は、
はまぐりの産地でとても有名なところです。
桑名での旬は、
5月の末頃から8月上旬と言われています。
産卵時期が9月頃になるため、
初夏から夏場が美味しさのピークとなっています。
桑名のはまぐりは、
一時は絶滅も危惧されました。
乱獲が影響していたのです。
それからは、1日に採ってもよい量を決めたり、
3㎝以下のものは海に戻さないけない
といったルールを決めたりして資源保護に努めてきました。
また、稚貝を放流することで、
はまぐりの有名産地として持ち直すことができたのです。
■千葉県九十九里町
千葉県 九十九里町は、
はまぐりの水揚げ量がとても多く、
日本有数の産地として有名です。
九十九里町では、
はまぐり漁ができる時期は11月から翌年8月迄となっており、
長い期間はまぐりを楽しむことができるようになっています。
この期間のうち、
はまぐりがとても美味しくなる時期が
1月から3月上旬となっています。
旬の3月頃を過ぎ夏場になると、
産卵シーズンを迎え
産卵を終えてしまうと身が痩せてしまいます。
そうなると、味も随分と落ちてしまうので、
九十九里町では8月まで漁ができたとしても、
美味しく食べることができる3月頃までに
食べるのがお奨めなのです。
九十九里町では資源保護のため、
5㎝未満のはまぐりは捕ってはいけないルールとなっています。
そのため、
夏場にはまぐりを採取した際に5㎝未満のはまぐりは、
採取していはいけないため、
その年ではなく来年の楽しみになります。
■茨城県鹿島灘
茨城県の鹿島灘はまぐりは、
特産品になっています。
鹿島灘は、茨城県の大洗から千葉県の犬吠崎にかけて広がる
太平洋側の灘です。
鹿島灘沿岸部では砂地が続いているため、
はまぐりが大きく育つのにとても良い環境になっています。
大きな物になると、
大人の女の人の
握りこぶしくらいの大きさ位に成長するものもあります。
鹿島灘では、
そのような10㎝程度の大きさになるはまぐりが捕れる
良い漁場になっています。
鹿島灘のはまぐりは大きいのが特徴でしたが、
潮干狩りで捕れるサイズとは比較にならないのが特徴です。
お奨めなのは、
産卵期前の6月~7月頃に捕れる7㎝から8㎝の中玉サイズです。
おおぶりな10㎝サイズのはまぐりよりも、
身が柔らかくて食べやすく、旨味も濃くなっているからです。
■三重県松阪市
三重県は、桑名市も有名ですが、
松坂市もはまぐりの産地として有名です。
松阪市は松阪牛で有名ですが、
はまぐりを潮干狩りで採取することができる海岸もあります。
伊勢方面に向かう場合でも、
はまぐりを楽しめることができるので、
立ち寄ってみてはどうでしょうか。
旬は5月末から8月頃です。
サイズも大きなもので8㎝程度のはまぐりもいますので、
潮干狩りも楽しめて家庭でおいしく食べることもできます。
■茨城県鉾田市
茨城県では、鹿島灘でのはまぐりが有名ですが
鉾田市でもはまぐりも有名です。
大竹海岸では、はまぐりまつりが開催されています。
期間は、毎年5月の3日から6日までの4日間です。
海辺で待機している参加者の目の前ではまぐりを放流し、
合図によって一斉に潮干狩りを楽しむというイベントです。
■熊本県
熊本県では、
有明海や八代海にとても大きな干潟を有しています。
そのため、全国でも有数の貝類の産地となっています。
この広大な干潟と穏やかで温暖な海であるため、
エサであるプランクトンもたくさんおり、
大きく育つ環境です。
熊本の主要産地は、河口の干潟域であり、
・菊池川河口域
・白川河口域
・緑川河口域
・八代海湾奥東部
・球磨川河口域
の5つに大別されます。
このうち漁獲量が多いのは、
有明海の緑川河口域にある川口漁業協同組合の漁場です。
日本で流通しているはまぐりは、
本はまぐり・シナはまぐり・チョウセンはまぐりの
3種類ありますが、
いずれも全国ではまぐりとして売られています。
ですが、
殆どがシナはまぐり・チョウセンはまぐりであり、
川口漁協で捕れるはまぐりは、
全て貴重な本はまぐりです。
旬は6月から8月で、
旬の時期には殻いっぱいに身が詰まっており、
プリプリとした食感が楽しめます。
はまぐりの美味しい食べ方は?
はまぐりを美味しく食べるには、
産地の旬と選び方を知っておきましょう。
はまぐりは、
ひなまつりの縁起物ということから、
3月頃が旬と思われる場合が多いですが、
日本各地の産地によって
大きく旬の時期が違っている事が分かって頂けたと思います。
地域ごとでの旬を知っていると、
スーパーなどで売られているはまぐりの
産地を確認した時に、
旬の地域のものか、
旬から外れた地域のものかがわかるようになります。
地域ごとで旬が違うはまぐりを美味しく食べるために、
旬を知って購入してみましょう。
■はまぐりの美味しい食べ方
ハマグリの美味しい食べ方を紹介します。
はまぐりを買ってきたら下処理をしましょう。
・ハマグリの下処理
はまぐりは調理する前に、
スーパーで買ってきたものでも
念のために砂抜きをするとよいです。
海水程度の塩水を作り、
1〜2時間ほど室温に置いて砂出しをしてから、
調理する前に貝同士をこすり合わせるようにして洗います。
これで下処理は完了です。
★焼きはまぐり
材料(2人分)
はまぐり(大) 2個
酒(清酒) 大さじ2
醤油 適量
作り方
①はまぐりは流水でこすり洗いし、水気をきる。
砂抜きが必要な場合は水1カップに塩小さじ1(分量外)を混ぜ、
はまぐりを入れてホイルをかぶせて冷蔵庫にしばらく入れる。
②鍋に(1)と酒を入れて蓋をして中火にかけ、
2分程蒸し煮にする。
③貝の殻が開いたら殻の片方を取り、
ホイルを敷いたグリルにのせ、しょうゆをふって1分程焼く。
★はまぐりと菜の花の炊き込みごはん
材料 2人分
米(洗米済み) 1合
ハマグリ 6個
菜の花 1/4束(50g)
昆布[乾燥] 3cm
☆調味料
酒 大さじ1/2
みりん 大さじ1
塩 小さじ1/4
しょうゆ 小さじ1/2
作り方
①鍋にハマグリと、
ハマグリがかぶるくらいの水(分量外:適量)、
昆布を入れて中火でアクを取りながら煮る。
ハマグリの口が開いたら取り出し、粗熱をとる。
ゆで汁はこしておく。
ハマグリの殻から身を取り出す。
②炊飯器の内釜に米、☆調味料、
ハマグリのゆで汁を1合の目盛りまで入れて混ぜ、
米を平らにならし、通常炊飯する。
③鍋に湯をわかし、
菜の花を入れて色が変わるまでさっとゆでる。
水気をしぼって1cm幅に切る。
④2が炊き上がったら、
1のハマグリと、3の菜の花を加えて混ぜる。
★はまぐりのお吸い物(潮汁)
※はまぐりのお吸い物は、かつおだしを使わずに、
はまぐりと昆布のだしのみで作るので、
正式には“潮汁(うしおじる)”といいます。
材料 3人分前後
はまぐり 200〜250gほど
水 500ml
昆布 5㎝四方1枚(約5g)
酒 大さじ1
塩 ひとつまみほど
木の芽 少々(用意できれば)
①はまぐりと昆布、分量の水をはじめに鍋に合わせ、
冷たい状態からじっくり火にかける。
沸騰する少し前からアクが出てくるので、
お玉でアクをすくい取ります。
沸騰すれば昆布を取り出し、
アクがまだあれば続けてすくい取りましょう。
②①に酒と塩を加えます。
※火を入れ続けると身が硬くなるので、
決してグラグラと煮立たせない様にしましょう。
如何でしたでしょうか?
焼きはまぐりは、BBQでも楽しんで頂けます。
炊き込みご飯は、菜の花を使っていますが、
たけのこでも美味しく食べて頂けますし、
はまぐりだけで、炊き上げても美味しいですよ。
お吸い物(潮汁)は、
事前に作っておいて
食べるときにさっと仕上げたいといったときは、
火が通ったはまぐりを一度取り出してやると
より丁寧です。
(食べる直前の温めるときに一緒に火を入れます)
そうすれば身が硬くならずに仕上げることができます。
あとがき
スーパーで、はまぐりを見かけても、
朝鮮産や中国産といったものが多く、
国産のはまぐりは、なかなかお目に掛かれなくなりました。
もし、国産のはまぐりを見つけたら、
美味しい食べ方で食べてみては如何でしょうか?
食べれば良縁に恵まれるというはまぐり、
1年に1度は食べたいですね。