日本茶をいただくと気持ちが落ち着きますね。
特に新茶は香りが良く、
新茶の風味は心にしみわたり、
つくづく日本人に生まれてよかったと感じる瞬間です。
この味わい深い新茶が摘まれる時期はいつからいつまでなのでしょうか。
美味しい新茶が出回る時期がいつまでなのか、
その年の新茶の早摘みの時期などをお知らせします。
また、新茶が摘まれる時期の八十八夜とはどういう日なのか、
八十八夜のいわれについてまとめました。
新茶の時期はいつまでで早摘みはいつ?
♪夏も近づく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みじゃないか、あかね襷に菅の笠…♪
文部省唱歌の『茶摘み』にもあるように、
野山に若葉が茂るころに新茶が摘まれます。
ですから一般的に一番茶は、
4月の終わりころから5月の中旬にかけて摘み取られ、
新茶として夏ごろまで販売されます。
お茶の木は日本全域で栽培されていますが、
寒さに弱いので、産地としては本州、東北以南、
自家消費ではない茶園としては、秋田が最北と言われています。
その土地の気候によって、
お茶の新芽が成長する時期は異なり、
産地それぞれに新茶を摘まれる時期が違います。
全国のデパートなどで新茶として売り出されるお茶は、
生産量の多いところや、
有名ブランドとされているところのお茶が多いので、
流通量の多い静岡茶や宇治茶、福岡の八女茶などの、
お茶の名産地で茶摘みが行われ、
それらが出回るころが新茶のシーズンとされています。
新茶と一番茶とは呼び方が違うだけで、
同じお茶の事を指しています。
お茶の新芽が成長してくると、茶摘みが行われるのですが、
摘み取るのは茶樹の先数センチの葉と新芽だけで、
この茶摘みの時期が遅れると、収穫量は増えますが、
葉が硬くなり、主成分のカフェインやカテキン、
テアニンというアミノ酸なども急激に減少して味や品質が落ちます。
お茶の葉の成長は、一芯二葉、一芯三葉などと言い、
早い時期に新芽の柔らかい部分だけを摘んだものを、
『早摘み茶』と言われ、極上品となりますが、
収穫量はごくわずかです。
新茶の一番茶を摘んだ後、7日~15日で新しい芽が生え、
葉がゆっくり成長するほど風味豊かな茶になります。
2番目に摘むお茶を二番茶、3番目に摘むお茶を三番茶と言います。
基本的にお茶は年四回ほど摘み取られるのですが、
一番最初に摘まれるお茶が『新茶』で『一番茶』といわれ、
その年一番おいしい貴重なお茶なのです。
お茶の葉に日光がしっかり当たると、
テアニンがカテキンに変化し、旨みが減少し、渋みが増します。
そこで茶摘み前の5日~10日ほどの期間、
お茶の木に直接黒い覆いをかぶせて人工的に日光を遮り、
テアニンがカテキンに変化するのを抑制する栽被覆栽培を、
『かぶせ茶』といいます。
玉露はお茶の最高級品と言われ、高価なお茶ですが、
茶畑に茶棚をつくり、
新芽が少し開き始めたら、茶棚の天井を藁などで覆います。
その後、3週間ほどしてから、
手摘みで収穫されたものが『玉露』です。
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新茶の時期 八十八夜に茶摘みをするのは何故?
茶摘み歌にあるように、
茶摘みの時期が八十八夜と言われるのは何故なのでしょうか。
この八十八夜というのは、立春から数えて八十八日目の事です。
春夏秋冬の四季のように季節の移り変わりを表す言葉として、
古代中国から伝わった『二十四節気』は、
太陽の動きに合わせて一年を二十四種類の季節に分けた暦です。
二十四節気をそれぞれ三つに分けた『七十二候』という暦もあります。
しかし、中国と日本では気候風土が異なり、
日本の細やかな季節の変化には、中国の暦では十分に対応しきれません。
そのため日本では独自に重要な季節の変わり目を表す『雑節』を設けて、
二十四節気や七十二候を補助しました。
『八十八夜』は雑節のひとつで、
立春(新暦の二月四日頃)から八十八日目を八十八夜と言います。
二月四日から八十八日目というと、平年は五月二日になり、
閏年には二月が二十九日あるので、五月一日が八十八夜となります。
昔から、この日に摘み取られたお茶を飲むと、
一年間無病息災で過ごせるという言い伝えがあります。
実際に、この日前後に摘み取られたお茶は、
新茶の中でも一番味がのっておいしいお茶に仕上がっています。
また『八十八夜』は、
立夏(新暦の五月六日頃)を目前に控えた時期にあたり、
この頃を『八十八夜の別れ霜』といいます。
八十八夜の日を境にして、不意に訪れる霜が降る心配がなくなり、
気候も安定するため、
八十八夜は農作業の目安となり、
野菜の種まきや籾撒きが本格的に行われるようになる頃なのです。
新茶の時期とお茶の名産地
お茶の新芽は霜に弱いことで知られていますが、
霜に耐えて八十八夜に摘み取られたお茶の新芽(新茶)は、
美味しいだけでなく、強い生命力があり、
長生きのご利益があると考えられて珍重されました。
長寿を祝う目上の方への贈り物としても重宝されます。
★日本全国の有名なお茶の産地と特徴
静岡茶・宇治茶・狭山茶は、日本三大銘茶とされています。
🍵 狭山茶(埼玉県)
茶産地としての歴史は長く、鎌倉時代にまで遡ることが出来ます。
狭山茶摘み歌の一節に、
『色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす』と歌われています。
丹念に選りすぐられた厚みのある茶葉と、
「狭山火入れ」という伝統の火入れ焙煎が、
江戸時代から変わらぬ美味しさの秘訣といわれています。
🍵 静岡茶(静岡県)
静岡茶の生産量は日本国内第一位で、
気象条件に恵まれた高品質のお茶の産地として有名です。
松尾芭蕉が「駿河路や花たちばなも茶のにほい」と詠んだことからも、
古くからのお茶の産地であったことがうかがえます。
牧之原周辺で4月中旬、
そのほかの地域では、5月上旬から中旬が一番茶の茶摘み時期です。
静岡茶は、味の濃いお茶づくりをめざし、
苦渋みの少ない深蒸し煎茶の製法が開発されています。
🍵 伊勢茶(三重県)
1千年の歴史を持つお茶の名産地 伊勢茶は、
南北朝時代に、虎関師錬(こかんしれん)が著したという
『異制庭訓往来(いせいていきんおうらい)』に当時の銘茶産地として、
この地方の伊賀、伊勢が挙げられていました。
お茶の生産量は、静岡県・鹿児島県に次ぐ第3位を誇っています。
四日市・鈴鹿・亀山での一番茶摘採時期は5月中旬で、
かぶせ茶の生産量は日本一で、
かぶせ系の鮮緑色、太撚り、香りうすく味は濃いのが特徴です。
また、飯南・渡会周辺での一番茶摘採時期は4月下旬で、
深蒸し系、浅緑色、太撚り、香り・味ともうすいのが特徴です。
🍵 宇治茶(京都府)
明恵上人が栂尾で茶の振興をはかり、
山城・宇治・仁和寺・醍醐などに植えたのが、
宇治茶の始まりといわれています。
また、足利義満や義政は宇治茶が優れていることを認め、
自ら茶園をつくってお茶の栽培を奨励したことから、
宇治地方はお茶の著名産地となりました。
宇治は高級茶の産地として名声高く、
生産量よりも品質・のれんを誇っています。
宇治・宇治田原・和束・山城周辺の一番茶摘採時期は4月下旬です。
宇治・宇治田原は、主に玉露の産地で、水色淡く、味は濃厚(玉露)、
和束・山城は、主に煎茶の産地で、
紡錘形で重く黒ずみ、香気強く清涼感が特徴です。
🍵 八女茶(福岡県)
八女茶は、福岡県八女市・筑後市および八女郡広川町で生産される、
日本茶のブランドです。
生産量は全国6位で、全国の日本茶生産量の約3%を占めています。
玉露の生産量全国一位の八女は、霧の発生しやすい土地柄でもあり、
茶畑があるなだらかな山の斜面を霧が覆い
太陽光を適度に遮ることで、
茶の旨み成分であるアミノ酸類
(テアニン、グルタミン酸、アルギニンなど)の生成を促進し、
古くから天然の玉露茶として珍重されてきました。
🍵 鹿児島茶(鹿児島県)
島津藩政時代にも茶業は奨励されていましたが、
本格的な栽培は第二次大戦後からで、
現在では全国の2割を生産する第2位の産地となっています。
鹿児島県は、平坦な茶園が多いことから機械化が進み、
茶畑の管理作業の省力化・低コスト化が進められています。
種子島での一番茶摘採時期は3月上旬で、
極早生~早生品種が多く、浅蒸しが特徴です。
大浦での一番茶摘採時期は4月上旬 、
知覧・頴娃(えい)での一番茶摘採時期は4月中旬で、
早出し、みる芽摘採です。
寒冷紗がけのため濃緑色、香味強い品種茶多く、
茶期早く四番茶まで摘採するのが特徴です。
有明での一番茶摘採時期は4月20日頃、
財部(たからべ)での一番茶摘採時期は4月下旬で、
寒冷紗がけのため濃緑色、香味強い品種茶多いのが特徴です。
あとがき
美味しいお茶にはリラックス効果もあり、
至福の一服として、
とてもいい時間を過ごさせてくれます。
美味しいお茶には美味しい和菓子もかかせませんね。