興味津々

東京国立博物館 特別展 大報恩寺(千本釈迦堂)開催 慶派仏師の名品が初公開

大報恩寺展(千本釈迦堂)が東京国立博物館で開催されます。

大報恩寺は京都の西陣に古くからあるお寺ですが、
大報恩寺には、国宝に指定された本堂や、
鎌倉時代を代表する有名な仏師たちの仏像が揃っています。

昨年、東京国立博物館で開催され好評を得た『運慶展』に続き、
運慶と並ぶ鎌倉時代の2大仏像彫刻家である快慶作の、
釈迦「十大弟子」像が10体揃って残されていて、
今回初公開となります。

この大報恩寺展に展示される仏像の数々をご紹介します。

  

大報恩寺展(千本釈迦堂)が東京国立博物館で開催

承久三年(1221年)に開創された大報恩寺は、
地元では千本釈迦堂として親しまれ、
まもなく創建800年という節目を迎えます。

その歴史ある大報恩寺に所蔵される慶派仏師の名品が、
東京で初お目見えします。

特別展
京都大報恩寺快慶・定慶のみほとけ

  会 期 2018年(平成30年)10月2日(火)~ 12月9日(日)

  会 場 東京国立博物館 平成館(東京・上野公園)
〒110-8712東京都台東区上野公園13-9
東京国立博物館ウェブサイト http://www.tnm.jp/

  開館時間 午前9時30分~午後5時
金・土曜日、10月31日(水)、11月1日(木)は午後9時まで
入館は閉館の30分前まで

  休館日月曜日
ただし10月8日(月・祝)は開館、10月9日(火)は休館

  交通アクセス

JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分

東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、東京メトロ千代田線根津駅、
  京成電鉄京成上野駅より徒歩15分

大報恩寺展 慶派仏師の名品が初公開

大報恩寺展は大報恩寺(千本釈迦堂)が誇る仏像を一堂に集め、
鎌倉彫刻の魅力が十分に堪能できる特別展です。

大報恩寺には、快慶や定慶ら慶派仏師の作品が多く伝わっていて、
特に快慶による『十大弟子像』が目玉されます。

十大弟子とは、釈迦の弟子たちの中でも、
主要な十人の弟子たちのことです。

智彗第一の舎利弗(しゃりほつ)、

神通第一の目犍連(もっけんれん)、

貪欲を払いのける頭陀(ずだ)第一の迦葉(かしょう)、

空を解く解空(げくう)第一の須菩提(しゅぼだい)、

説法第一の富楼那(ふるな)、

論議第一の迦旋延(かせんねん)、

天眼第一の阿那律(あなりつ)、

持律第一の優婆離(うばり)、

密行第一の羅喉羅(らごら)、

多聞第一の阿難陀(あなんだ)、

十体そろって大報恩寺意外で公開されるのは、
この大報恩寺展が初めてだそうです。

肥後定慶作の『六観音像』

阿修羅道にいる人々を救う・・・十一面観音菩薩立像

人道で苦しむ人々を救う・・・准胝観音菩薩立像

地獄道にいる人々を救う・・・聖観音菩薩立像

餓鬼道にいる人々を救う・・・千手観音菩薩坐像

畜生道にいる人々を救う・・・馬頭観音菩薩坐像

天上界を救い導く・・・如意輪観音菩薩坐像

『六観音像』とは、人間が業によって入り込んでしまう六つの道、
六道のそれぞれから人々を救うためにある六体の観音像なのです。

定慶により作られた鎌倉時代の六観音が揃うのは大報恩寺だけで、
大報恩寺の六観音像は、定慶の刀法が心憎いまでに冴え、
衣のひだにも微妙な変化を見ることができます。

それぞれの観音像には、ある程度の定形があり、
手に持つものや仕草にも意味があるのです。

快慶は奈良仏師の祖ともいわれる康慶の直弟子で、
運慶は康慶の子といわれています。

快慶は運慶とともに、鎌倉時代を代表する仏師として有名で、
彼らの流派には“慶”の字を持つ仏師が多かったため、
慶派と呼ばれています。

快慶は運慶らと一緒に、東大寺の復興造仏事業にも携わりました。

大報恩寺展(千本釈迦堂)

大報恩寺展(千本釈迦堂)は、鎌倉時代の初期 承久三年(1221年)、
求法上人義空によって創建されました。

義空は、藤原秀衡の孫で比叡山で修行した後、
この寺を建立しました。

室町時代の勧進状によれば、
猫間中納言と呼ばれた藤原光隆の従者であった岸高なる人物が、
境内地を寄進したとされています。

創建当初は草堂でしたが、
摂津尼崎の材木商の寄進を受けて安貞元年(1227年)現存する本堂が完成しました。

ここに有名な『おかめ物語』というお話しがあります。

大報恩寺の本堂を造営する時、大工の棟梁だった長井飛騨守高次が、
柱の寸法を間違って切ってしまい困っていました。

その時、
斗組(ますぐみ)を用いたらどうかという、高次の妻おかめの助言で、
難を逃れ、無事竣工させることができたのですが、
おかめは夫の窮地を救いながらも、
「専門家でもない女性の知恵で棟梁が大仕事を成し遂げたと言われては夫の恥」と、
上棟式を迎える前に自害してしまったのです。

内助の功、妻の鏡とされるお話しですが、
家を建てるとき、
今でも上棟式にはお多福の面を着けた御幣が飾られます。

千本釈迦堂には、
妻 おかめの冥福を祈り高次が建てたおかめ塚(宝篋印塔)があり、
度重なる戦乱にも残った本堂とも結びつき、
厄除、招福のおかめ信仰につながる『おかめ伝説』が伝えられています。

おかめ塚があり、千本釈迦堂と人々に親しまれている大報恩寺は、
京都の北野天満宮の東にあります。

京都御所の北側の今出川通りを西へ行き、
千本通りをさらに西へ少し行ったところに千本釈迦堂はあります。

千本釈迦堂 大報恩寺(せんぼんしゃかどう だいほうおんじ)

〒602-8319 京都市上京区七本松通今出川上ル 
TEL:075-461-5973 / FAX:075-461-5974

<拝観時間>
9:00~17:00
※ひと通り拝観される場合、所要時間の目安は約60分です。

<電車・バスの場合>
○ JR京都駅から 市バス「50」(立命館大学前行)上七軒下車
○ 阪急烏丸駅・大宮駅から 市バス「203」(御室仁和寺行)上七軒下車
○ 地下鉄今出川駅から 市バス「203」(銀閣寺行)上七軒下車
○ 京阪出町柳駅から 市バス「203」(銀閣寺行)上七軒下車

<自動車の場合>
京都市街の北西部にあたる今出川通上七軒から北へ約200メートル。
西門より境内に入ります。
※境内の駐車場は無料です。(バス6台、乗用車25台)



あとがき

大報恩寺こと千本釈迦堂から西には、
京都五花街の一つ、上七軒があり、
普段から近くを芸舞妓さんが通ります。

千本釈迦堂は大きい通りから路地をぬけると、
意外に大きな境内が広がります。

12月の7・8日には『大根炊き(だいこだき)』が行われ、
たくさんの人が訪れます。

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