松竹梅 お正月のデコレーションの中に見られる
マツ、タケ、ウメ。
おめでたいものの象徴として
この組み合わせが親しまれています。
松竹梅は縁起がいいと言われる理由、
その順番の意味と続きはあるのか?
について調べてみました。
松竹梅は縁起がいいと言われる理由は?
縁起物として代表的な松竹梅は、
慶事や吉祥の象徴としてあしらわれています。
植物の松竹梅は、何故縁起物なのでしょうか?
もともと松竹梅は、
古来中国で
「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」と呼ばれる
画題の一つでした。
寒い季節でも、
松や竹は枯れずに緑を保ち、
梅は美しい花を咲かせることから
「歳寒三友」と呼ばれたようです。
なお「歳寒三友」は、
日本に伝わり、時代が変わるにしたがって
「松竹梅」の縁起物になっていったと言われています。
※「歳寒三友(さいかんのさんゆう)は、
宋代より始まった、
中国の文人画で好まれる画題のひとつであり、
具体的には松・竹・梅の三つをさします。
三つ一緒に描かれることも多いのですが、
単体でも好んで描かれます。
日本では「松竹梅(しょうちくばい)」と呼ばれます。
松と竹は寒中にも色褪せず、
また梅は寒中に花開く。
これらは「清廉潔白・節操」という、
文人の理想を表現したものと認識されます。
日本に伝わったのは平安時代で、
江戸時代以降に民間でも流行しますが、
「松竹梅」といえば
「目出度い」ことの象徴と考えられており、
本来の、中国の認識とは大きく異なっています。
松竹梅その順番の意味は?
まず、松・竹・梅、
それぞれの意味をみていきましょう。
■松
松は、日本では古くから神聖な樹とされています。
常緑樹で一年中緑を保ち、
樹齢も何十年、何百年と長いことから
「長寿」の象徴とされました。
平安時代頃から縁起物の象徴になったと言われています。
平安時代(794~1185)に吉祥の象徴となります。
松は千年もの寿命があり、
一年中葉の色が変わらないことから
「常盤木(ときわぎ)」と呼ばれ、
縁起の良いものとされてきました。
また、中国では長寿延命の木とされています。
松は高潔・節操・清純等の象徴とされていたため、
絵画や器物などにも
これらのモチーフは多様化して生活に根ざしていきます。
■竹
竹は、まっすぐに伸びる様子と、
地面にしっかりと根をはり新芽を出していく様子から、
「子孫繁栄」の象徴とされました。
室町時代頃から縁起物の象徴になったと言われています。
室町時代(1336~1573)に吉祥の象徴となります。
竹は、約3か月ほどで親と同じ大きさまで成長するほど、
生命力を持った植物です。
また、一年中枯れることがなく、
どんどん新芽を出していきます。
そこから子孫繁栄の象徴とされました。
■梅
梅は、寒い冬に、
気高い香りとともに花を咲かせる生命力の強さから
「気高さ」 や「長寿」の象徴とされました。
江戸時代頃から縁起物の象徴になったと言われています。
江戸時代(1603~1868)に吉祥の象徴となります。
菅原道真が愛したことでも有名な梅は、
厳しい寒さの中でも、
一番に春の知らせを伝えてくれる植物なことから、
繁栄や、気高さ、長寿の象徴とされています。
この、松竹梅が使われる場面は、結婚式です。
披露宴の円卓の席の番号代わりに、
松竹梅は勿論使われています。
また結婚式に使われる留め袖や打ち掛けなど、
慶事を表すモチーフとして、
松竹梅は着物のデザインとして用いられます。
一般的な暮らしの中で身近に見られるものとしては、
お寿司屋さんです。
回らないお寿司屋さんの、
握り鮨のランクに必ず松竹梅のコース分けが存在します。
本来の意味合いから見てみると、
松竹梅そのものに優劣関係があるわけではないのですが、
実際のお寿司のコースは、
やっぱり松が一番良いネタが入っています。
お寿司屋さんで
「特上・上・並」というような格付けがされているよりも、
「松竹梅」で分けられていたほうが粋に感じます。
並しか頼めない時に
「並をください」と言うのは
少し気恥ずかしいかもしれませんが、
「梅をお願いします」と言えば
なんだか風流に感じられますね。
松竹梅と初めて聞く方の多くは、
その言葉の意味を理解する事が難しいでしょう。
簡単に「上中下」や
「特上・上・並」と言った言葉を使えばよいのに、
なぜこのように言葉をすり替えて使用しているのだと
疑問に思った方も少なくないでしょう。
このような言葉を使用するのは、
「上中下」や「特上・上・並」と言った言葉が
余りに率直過ぎて、
値段が安く比較的質が高くない下や
並を選びづらいと言うのが背景として存在しています。
直接的で言いにくい言葉を少しでも和らげるため、
「松竹梅」と言う隠喩が広まったとされています。
松竹梅その順番の続きはあるのか?
良いもの3つの等級を表す
『松竹梅』に続く次の単語はありません。
しかしよく結婚式などのお祝いの席で、
松竹梅の次に続く言葉を見かけると言う意見もあります。
確かに松竹梅の次に続くように
それらしい言葉を並べていますが、
最寒三友や等級的意味合いを持つ松竹梅とは異なり、
席の名を決めるために付けられた
単なる名前である事を知っておきましょう。
ちなみに、
お祝いの席などでつけられる席の名前は、
松竹梅福禄寿雪月花金銀宝錦祝美桐桃葵蘭楓桜
柏桂楠藤椿鼓笛扇舞鶴亀翁嫗華賀鈴鳳」と続いていきます。
松竹梅以降のすべては、
等級的意味や最寒三友に関係する言葉ではありません。
あとがき
松竹梅は、
物事のランクをつけるために使われる言葉ですが、
本来は美しいもの・縁起の良いものを
総称して生まれた言葉です。
本来の意味もしっかりと覚えておき、
日常でもたびたび登場する松竹梅と
なじみを深めていきましょう。