土用と言えば、
土用の丑の日は、ウナギを食べる日として知られています。
真夏の暑さに負けないように、
鰻を食べて元気になる日だと思っている人も多いようです。
しかし、土用というのは、
古代中国に端を発する自然哲学の思想に由来する雑節のことで、
立春・立夏・立秋・立冬、それぞれの直前の約18日間をいいます。
そして昔から、その土用の期間には土いじりをしてはいけないという、
言い伝えがあるのです。
ではなぜ、土用の期間に土いじりをしてはいけないのかについて、
まとめてみました。
土用に土いじりをしてはいけないのは何故?
・土用に土いじりをしてはいけない理由とは?
古来より、
土用の期間は土いじりをしてはいけないと言われてきました。
なぜでしょうか。
こちらについても陰陽道が影響をしているようです。
陰陽道の神の中の一人に、
土公神(どくしん・どくじん)という神様がいます。
土公神は土を司る神様で、
土用の期間は土を支配するとされていました。
そのため、
土公神が土を支配している期間は、
土いじりをしてはいけないと言われています。
現在でも、
建築関係では土用の期間は土を掘り起こすことを避ける場合があるようです。
もっとも、
土用の期間に入る前に着工して既に土をいじっている場合は、
土用の期間に入って土いじりを継続しても良いと言われています。
また、土用の期間は、
常に土いじりをしてはいけないということもないようで、
土用の期間でも土いじりが差し支えないとされる日もあります。
・土用の間日(まび)
土用の期間は原則土いじりをしてはいけないとされてきました。
しかし、土用は年に4回、
しかもそれぞれ18日間もあります。
先ほど建築関係のことを書きましたが、
土用の期間中に土いじりができないとなると農作業も停滞してしまいます。
では、
土用の期間中はずっと土いじりをしてはいけないのでしょうか。
実は土用の期間中には、間日(まび)という日が存在をします。
そして、土用の間日は、
土いじりをすることが許されていました。
土用の期間中、
土公神は地上を支配します。
ただし、ずっと土にいるわけではなく、
間日には地上を離れ天上に行くとされてきました。
土を支配する神様がいないので、
土用の期間中であっても、
間日であれば土いじりをすることは差し支えないとされています。
なお、土用は春夏秋冬の年4回ありますが、
それぞれの土用で間日とされる日は決まっています。
年に4回ある土用の期間はいつからいつまで?
ここでは、
2020年の土用の期間などについてご紹介をします。
★2020年の冬の土用
土用入り 1月18日
間日(寅・卯・巳の日) 1月24日・25日・27日
土用明け 2月3日
立春 2月4日
★2020年の春の土用
土用入り 4月16日
間日(巳・午・酉の日) 4月20日・21日・24日、5月2日・3日
土用明け 5月4日
立夏 5月5日
★2020年の夏の土用
土用入り 7月19日
間日(卯・辰・申の日) 7月23日・24日・28日、8月4日・5日
土用明け 8月6日
立秋 8月7日
4
★2020年の秋の土用
土用入り 10月20日
間日(未・酉・亥の日) 10月21日・23日・31日、11月2日・4日
土用明け 11月6日
立冬 11月7日
2020年の土用丑の日、
つまり、夏の土用の期間のうちの丑の日の事です。
2020年の土用は二の丑まであります。
一の丑:2020年7月21日(火)
二の丑:2020年8月2日(月)
夏の土用の丑の日は、
ウナギを食べる日として定着しています。
でも丑の日とは、何のことだろうと疑問に思いませんか?
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じつは、十二支の丑のことです。
十二支は「今年のエトは?」とか、
「何ドシ生まれ?」というように、年を数えるときに使いますが、
それだけではなくて、
昔は、方角を指したり、月や日にちを数えるときにも使われたり、
時を刻むのに使われたりしました。
この考えは古代中国の干支紀日法からきています。
西洋では1ヶ月を4つに分けて、
週(7日)というサイクルを考え出しましたが、
中国では1ヶ月を3つに分けて、
旬(10日)というサイクルを考え出しました。
なぜ丑の日に「牛」ではなくて「ウナギ」を食べるのでしょう。
これには諸説ありますが、
江戸時代の某ウナギ屋のプロモーション説が有力です。
ウナギは旬が冬ですから、
夏のウナギは味が落ちるので夏に売れないのです。
困っていたウナギ屋が、発明家の平賀源内に相談したところ、
「“本日丑の日”という張り紙を店に貼る」
という販売促進のアイデアを教えました。
その通りにしてみると、売れるようになり、
他のウナギ屋も真似をして広まったという説です。
古来から、土用の丑の日には、
うどんや梅干しなど「う」の付くものを食べる習慣があったらしく、
ウナギ屋の張り紙がウナギも「う」が付くことを宣伝して、
夏バテ予防に滋養のあるウナギを食べる習慣になっていったのでしょう。
では、なぜ牛は食べなかったのでしょう。
昔、牛は労働力だったのです。
荷物を運んだり、田畑を耕したり、
当時の人々にとっては働き者の家族だったわけです。
地方によっては、神様の使いとされていたりして、
とても食べることは出来なかったのです。
土用には、ウナギだけでなく、
他の食べ物を食べる習慣もあります。
土用にシジミを食べる習慣は、
じつはウナギよりも歴史が古いのです。
シジミは年中採れるのですが、最盛期は夏。
お腹の薬と言われるほど整腸作用があって、
しかもヤマトシジミは夏が産卵期で栄養豊富なのです。
夏バテの体にもいいので、
土用にシジミを食べるようになったのです。
土用の間日とはどんな日
先ほども少し触れましたが…
土用は各季節ごとに18~19日も続きます。
いくら土公神様を憚(はばか)っていても、
一年のうちの1/5の期間、工事も何も出来ないという事では、
そうした仕事をする人達にはたまったものではありませんね。
そこで、考え出されたのが、
土用の間日(まび)というものです。
何でもこの土用の期間、
そのタブーで難儀している人々を見かねて、
文殊菩薩様が土用の期間のうちの数日、
土公神一族を天上の清涼山に集めて下さるようにされました。
この数日間は地上に土公神様がいらっしゃらなくなるので、
土を動かしても祟りを受けないというのです。
土用には、
土いじりの他にやってはいけない事があります。
それは、土用の禁忌と呼ばれるものです。
土用の禁忌(きんき)
昔から、土用は土を司る土公神が地上に出てこられる期間なので、
動土(土を動かすこと)はいけないとされていました。
また、季節の変わり目で風が一定でなく渦を巻く時期でもあるため、
気の流れも不安定になります。
このため体調も崩しやすく、
気が弱まるので精神的な病やウツ状態にもなりやすいとされています。
ですから土用の禁忌は、
新しいことや、重労働は謹んで、滋養のあるものを食べて、
心身ともにゆっくり休みながら生活しましょうという先人の知恵なのです。
では、具体的にどんな禁忌があるのでしょうか。
・土いじりをしない。
・大根の種まきをしない。
・葬送はしない(延期する)。
・家屋の増改築をしない。
・柱や橋をかけない。
・引っ越し、新居を買わない。
・旅行に行かない。
・穴・井戸を掘らない。
など、
新しいことを始めたり、新しいところに行くことや、
土を触る作業はしてはいけないことになっていました。
ただし、農作業などで、どうしても作業をしなければならないときは、
間日に行えることになっています。
あとがき
土用について、何も知らなかったので、調べてみて驚いています。
土用とは季節の変わり目のことであることが理解できました。
四季がある日本だからこそ、土用が重要なのですね。
土用の期間はできるだけ体を休めるといいかもしれません。