タラバガニとズワイガニ どちらが美味しい?特徴や食べ方 値段の違いは?

グルメ

タラバガニとズワイガニ どちらが美味しい?と訊かれたら、
『どっちも美味しい!』と答えます。

冬の味覚の王様、タラバガニとズワイガニについて、
それぞれの特徴の違いや、食べ方の違いをまとめてみました。

また、タラバガニとズワイガニの、
産地や漁獲高、
名前の由来や旬な時期についてもお伝えします。

  

タラバガニとズワイガニ どちらが 美味しい?特徴の違いは?

タラバガニとズワイガニ どっちが美味しいかということですが、
身の食感や味については、人それぞれの好みもありますので、
まずは、タラバガニとズワイガニの特徴の違いについてお伝えします。

【タラバガニ】



タラバガニは『鱈場蟹』と書いて、
「鱈が居る場所」「鱈が取れる場所」と言う意味で、
タラの漁場(鱈場)がタラバガニの生息域がと重なることに由来しています。

タラバガニは『カニ』という名前が付いていますが、
生物学上はヤドカリの仲間ですので、脚は8本です。

タラバガニの甲羅は幅が25㎝程もあって、
足を広げると1mを超す大型の甲殻類で、全体が短い棘に覆われています。

タラバガニの生息地域は、日本海、オホーツク海、
ベーリング海を含む北太平洋、
北極海のアラスカ沿岸、ガラパゴス諸島、チリ、
アルゼンチン付近などに、
分布しています。

日本での主な漁場はオホーツク海で、
沖合底引き網や刺し網で漁獲されますが、
アメリカ産(アラスカ産)のタラバガニも非常に人気があり、
日本にも毎年輸入されています。

タラバガニとよく似ている『アブラガニ』や『ハナサキガニ』も、
タラバガニ同様、食用の蟹として人気があります。
『アブラガニ』や『ハナサキガニ』は、タラバガニの近縁種で、
どちらもヤドカリの仲間に属します。

【アブラガニ】

『アブラガニ』の名前の由来は、蟹味噌が脂っこいという説と、
甲羅の表面に油を塗ったような光沢があるという説があります。

アブラガニは、日本海やオホーツク海、ベーリング海沿岸域に分布し、
特にベーリング海北部で多く生息しています。

タラバガニと同様に食用に漁獲されますが、
アブラガニの漁期は1月-6月で、タラバガニの漁期は7月-12月なので、
漁期は重ならず、流通期間も異なります。

味はタラバガニよりやや劣るとされていますが、
味の落ちたタラバガニよりはそこそこ美味しいです。

【ハナサキガニ】

『ハナサキガニ』の名前の「ハナサキ」は、
漁獲地となっている根室の地名「花咲」に由来するという説と、
茹でたときに赤くなって花が咲いたように見えるからという説もあります。

ハナサキガニは、甲羅の幅も長さも15cmほどで、
甲殻類としては大型ですがタラバガニほどではありません。

ハナサキガニの旬は夏から秋で、
殻が硬くて棘も多いので、殻を剥くときはキッチンバサミが必要です。

脚の肉が太く身も多いのですが、
油分が多く味が濃厚であることから大量に食べるには向いていないようです。

【ズワイガニ】


ズワイガニは、水深200~600メートルほどの深海に生息する大型のカニで、
カニの王道と言われています。

ズワイガニは、タラバガニのようにヤドカリの仲間ではなく、
十脚目ケセンガニ科(旧分類ではクモガニ科)に分類されるカニです。

ズワイガニの「ズワイ」とは、
「小枝のある場所」という意味です。

古語で細い木々のことを「すはえ」とか「すわえ」と言っていたのが、
訛って「ズワイ」と言われるようになり、
細い木々のようなカニがズワイカニと呼ばれるようになった、
という説が有力です。

ズワイガニは、漢字で書くと「津和井蟹」と書きますが、
全国各地で地域ブランドガニとして、様々な名前で販売されています。

ズワイガニのオスの甲羅の幅は、最大14~5㎝ですが、
脚を広げると70㎝程になる大きなものもあり、脚は10本あります。

メスのズワイガニは、オスのズワイガニの半分くらいで、
オスとメスの大きさがあまりに違うので、
漁獲される多くの地域でオスとメスに別の名前がつけられています。

ズワイガニは、日本海、オホーツク海、カナダなどで水揚げされ、
一般的に「ズワイガニ」と呼ばれているオスのカニには、
『本ズワイガニ』
『オオズワイガニ』
『ベニズワイガニ』の3種類があります。

なかでも最も区別がつきやすいベニズワイガニは比較的小型です。

また、ベニズワイガニは、
他の生のズワイガニの甲羅や脚が褐色なのに対して、
ベニズワイガニの甲羅や脚は加熱する前から赤い色が濃く、
甲羅はズワイガニよりも強く盛り上がっているのが特徴です。

ベニズワイガニは、漁期が長く漁獲量も多いため、
過去にはブランドズワイガニと偽って販売され、
問題になったこともありました。

オオズワイガニは日本海には生息していないカニで、
主にロシアやカナダから輸入されています。

しかし、
見た目はズワイガニに非常によく似ていて判別することが難しいです。

『本ズワイガニ』と『オオズワイガニ』の見分け方としては、
本ズワイガニの甲羅は、オオズワイガニのものより縦に長く、
逆にオオズワイガニの甲羅は幅の広い三角形で、
背面の盛り上がりが弱いのが特徴になっています。

また、
『本ズワイガニ』と『オオズワイガニ』の見分け方で大きな違いとして、
甲羅に黒いぶつぶつがついているかどうかです。

この黒いぶつぶつはカニビルという生物の卵で、
脱皮から時間が経ち、
身の詰まったズワイガニの甲羅にだけ付着すると言われています。

本ズワイガニの国内漁獲量は、
ズワイガニ2大産地といわれる兵庫と鳥取でおよそ10000tで、
国内全体の漁獲量の半分近くを占めています。

そして、本ズワイガニは、獲れる地域によって、
違う呼び名が付いています。

兵庫県や鳥取県、島根県などの山陰地方では、
『松葉ガニ』と呼ばれます。

これは、
出荷の際に折りたたまれる脚が松の葉に似ていることから付いた名前です。

北陸地方の福井県一帯では、昔の地名から『越前ガニ』と呼ばれます。

丹後半島にある間人漁港(たいざぎょこう)では、
『間人ガニ(たいざがに)』と呼ばれます。

また、メスのズワイガニのことを、
兵庫県北部の山陰、津居山、柴山、香住、浜坂地方では、
セコ(背子)ガニと呼びます。

メスのズワイガニは、京都府に入ると『こっぺガニ』と呼ばれ、
北陸の越前地方では『セイコ(勢子)』や『香箱ガニ』などと
呼び分けることもあります。

本ズワイガニのオスでも、
松葉ガニ・越前ガニ・間人ガニのように、
獲れる地名とともにブランド化され呼ばれています。

タラバガニとズワイガニ どちらが 美味しい?食べ方の違いは?

【タラバガニ】

タラバガニは、塩茹でや蒸し蟹にして、
赤く茹で上がったものが食用として流通することが多く、
そのまま食べる以外にも様々な料理に使われます。

タラバガニの身は、大きければ大きいほど甘みが増します

タラバガニのカニミソは油分や水分が多く、
生臭さがあるので、通常は食用にされません。

タラバガニは、身が大きいので食べ応えがあり、
食べっぷりで言うならタラバガニですね。

タラバガニの魅力はぷりぷりの食感と大きな身の食べ応えで、
ズワイガニと比べると少し淡泊な味わいですが、
焼き物やボイルで、ガブッと豪快に食べるのがおすすめです。

【ズワイガニ】

ズワイガニは繊細な肉質で、甘みや旨味が強いことが特徴です。

味がしっかりとしてやわらかな食感が楽しめるため、
お刺身やカニしゃぶにして食べることがおすすめです。

味はタラバガニよりズワイガニの方が旨味が強く、
刺身、焼き物、鍋物、蒸し物など、色々楽しめます。

カニ刺しの身は半透明で、
氷水にさらすと花が咲いたような身の分かれ方をします。

刺身で食べるのも美味ですが、
カニしゃぶやカニ鍋にすると、良い出汁がでるので、
野菜やキノコも美味しくなり、
鍋の後の雑炊はまた格別です。

食べ方の違い

タラバガニやズワイガニを販売している形態としては、
姿・爪・脚・ポーション・特大・わけありなどに分かれ、
ズワイガニの場合、それにカニ味噌が増えます。

タラバガニやズワイガニを購入する時、
生・冷凍・茹でと言った状態の違いに注意が必要です。

【生食用のカニ】と【生のカニ】とは別物です。

生食用のカニというのは、ボイルして殺菌後冷凍してあり、
「解凍後そのまま食べられます」という意味で、
決して生のカニではありません。

生食用というのは解凍後に過熱しなくても生で食べられるというもので、
再加熱するとうまみが抜けてしまうので、
加熱せずにそのまま食べるのが1番おいしいというものです。

つまり、スーパーで売っている生食用のカニは全てボイルしてあり、
「生冷凍」ではなく「ボイルガニの冷凍」ということです。

すでに加熱されていますから、
解凍後は火を通さずに食べられるという意味す。

ボイルガニの解凍は、自然解凍でもよいのですが、
ビニール袋に入れて流水で解凍した方が、
カニの旨味が残りやすいです。

逆に生のまま冷凍したものは、
解凍後、煮るなり焼くなり加熱が必要という意味で、
加熱用になっているはずです。

生のカニは、産地で水揚げされたものが、
流通に乗るときは、ほとんどが冷凍されています。

通販サイトの中には、
生のままのカニを冷凍して届けてくれるところもありますが、
ただ生冷凍のカニというだけでは、刺身にしてはいけません。

新鮮なカニを取り扱っている店の、刺身用の新鮮なカニで、
「刺身でも食べられます」「生のままでもOK」と書かれてあっても、
「焼き蟹用」とか「届いたらすぐに加熱調理してください」と、
書かれていることが一般的です。

カニ料理専門店などのカニは、
産地からカニ料理専門店へ直送されているものです。

カニのお刺身を食べたいのでしたら、
カニ料理専門店へ行かれる方が安心です。

タラバガニとズワイガニ 値段の違いはどこで決まる?

寒さが増すと、鍋が恋しくなります。

特にカニ鍋やカニしゃぶは、たまらない冬の味覚です。

今やカニは高級食材ですから、
お値段も高く、
簡単に購入できるものではないと思われがちです。

カニの値段は、種類によって、
また産地や時期によってもピンキリです。

【タラバガニ】

タラバガニは、アメリカや中国、韓国での需要が高いことや、
産地がオホーツクやベーリングと限られていることなどの、
希少価値も合わさって高い価格になります。

近頃は、スーパーの店頭でも見かけられるようになりましたが、
タラバガニは、一般的にカニ味噌を食べないので、
脚の部分だけで売られていることが多いのです。

タラバガニは、脚が左右4本づつの8本で、
味噌の入った甲羅の部分を外し、
片側の脚4本を『一肩』として販売されます。

「一肩」は、ハサミの部分も合わせて4本の脚のことで、
1尾のタラバガニからは「二肩」取れることになります。

4本の脚が完全な状態でくっ付いているものを『フルシェイプ』と言い、
一本が大きければ、他の脚も大きいはずです。

『訳あり』として売られているものには、
バラバラのものを寄せ集めて4本を、
『一肩分』として売られている場合もあります。

その場合、身の詰まりが均一でないことがあり、
重さを合わせるために
「足し脚」を入れて5本入っていることもあります。

同じ重さでも、脚の数が多いということは、
殻の量が多いということで、
それだけ食べられる部分が少ないということです。

フルシェイプのタラバガニ1肩の重さは、
だいたい平均で600g~800gです。

カニの大きさによっては、1㎏を超すものもありますが、
逆に600g以下のものもあります。

【ズワイガニ】

オスのズワイガニの重さは、一杯(一匹)600g~1.5㎏くらいで、
メスのズワイガニは、一杯(一匹)100g~200gくらいです。

獲れる産地でブランド化されているオスのズワイガニは、
高級な冬の味覚として、一杯数千円から数万円と非常に高価で、
大きくなるほど高くなります。

ブランドガニは、いずれも観光資源としての知名度が高く、
日本海に面した温泉地では、カニツアーが多く企画されています。

寒い時期の国産ものは高く、
スーパーなどで売られているズワイガニは、
ロシアから格安のものが輸入されています。

輸入のものは値段も安く、
生やゆでた冷凍ものも大量に出回っています。

メスのズワイガニは翌年1月10日前後には産卵が始まるため、
漁期もこの頃までで、
解禁日から、約2カ月間だけ美味しく味わえる限定の味です。

昔は小さいのであまり流通せず、産地だけの消費だったのですが、
オスよりも遥かに安く、子供のおやつなどになっていました。

それが近年では関東などのスーパーでも見かけるようになり、
メスのズワイガニは、どのカニも産卵期直前まで内子を持ち、
他では決して味わえない珍味として非常に人気です。

★タラバガニとズワイガニ どちらの値段が高いかと言っても、
それぞれ味や食感が全く違いますので、
値段で比べることはできません。

ただ、
ほとんどの人はタラバガニは高いというイメージを持っていますが、
これはやはりタラバガニの、ボリュームからきていると思います。

タラバガニとズワイガニの値段は、
その産地やブランド、大きさなどによって、
また、
生冷凍や生食用、ボイルなどによってもずいぶん値段が違ってきます。

一杯姿まるごとの場合や、ポーション、訳ありの場合などで、
値段も違ってきます。

タラバガニやズワイガニだけでなく、鮮魚の値段は、
気候の変動により高騰する傾向にあります。

タラバガニやズワイガニを買う時、
目で見て購入でき、送料もかからないので、
スーパーで購入した方が良いと感じますが、
仕入れの段階で間に中間マージンが入り高くなります。

基本的に通販の場合は、産地直送ですので、
鮮度もよく、コストが少ない分お安く求められます。

あとがき

タラバガニもズワイガニも、
どちらも大好きですが、
殻を剥くのが苦手です。

殻がなければもっといっぱい食べられていいのに…と思いますが、
殻を剥くこともカニを味わうための、
一つのセレモニーなんですね。

カニを食べていると静かになるといわれていますが、
うちは家族全員カニ好きで、
カニを食べだすと、取り合いになって、
いつも以上にうるさくなります。