祝い箸と割り箸の違いは?好ましくない箸使いと使うときの基本マナー

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祝い箸と割り箸の違いは何なのでしょうか。

祝い箸はお正月などのおめでたい場面での食事に使うものですが、
それって割り箸ではいけないのでしょうか?

祝い箸と割り箸の違いを見ると、
材質や形の違いには訳があり、
使う場面の違いとともにちゃんとした意味があるのですね。

たかがお箸と思っていてはいけません。

食べ物を口へ運ぶ“お箸”は、命を繋ぐ大切なツールなのです。

そして、貴方はそのお箸の使い方で損をしているかもしれません!

大切な役割があるお箸を使うとき、
正しく美しい使い方をマスターできれば、
人生がきっと変わってくると思います。

  

祝い箸と割り箸の違いは?

お箸には「格」があります。

一番格上のお箸が祝い箸で次が割り箸です。

割り箸の中にも「格」があり、
利休箸が一番格上で天削箸、元禄箸と続きます。

一番格下のお箸が普段ご家庭で使われる塗り箸で、
いくら漆塗りの高級なお箸であっても、
お箸の「格」からすれば使い回しをする塗り箸は格下のお箸です。

ご自宅にお客様をお招きした際には割り箸を用意しなければいけませんが、
その時は、お招きした側も同じ様に割り箸を使います。

祝い箸

お正月におせち料理やお雑煮を食べるときなどの慶事に使います。

素材は柳で作らていて、
長さは末広がりで縁起がいいとされる数字「八」から、
八寸(約24センチ)で作られます。

目の前で自ら割って使う割り箸は別れを連想し、
慶事にはふさわしくないため、
祝い箸はあらかじめ2本に分かれています。

また、柳は常緑樹で枯れず、よくしなって折れないため、
今年1年を元気に過ごしたいという願いが込められているとも考えられます。

利休箸(りきゅうばし)


 
両側が細く、箸の中央が膨らんでいる両口箸といいます。

安土桃山時代に千利休が考案したとされ、
懐石の席や家庭でお客様をもてなすときに使われます。

主に杉や檜で作られ、自ら割って使う割り箸と、
あらかじめ2本が分かれているばら利休があり、
懐石ではばら利休が使われることが多いのです。

ちなみに両口箸とは、片方は人が食べるために、
もう片方は神様が食べるために使うとされる、
神人共食の意味合いがあります。

日本では、食事を口に運ぶ箸を「手元箸」と言い、
料理を取り分ける箸を「取り箸」と区別しています。

とくに手元箸は、
お祝いごとなどの用途に合わせてさまざまな種類があるのが特徴です。

最近では箸を使い分ける家庭も少なくなっていますが、
大切な日本文化を伝えていくためにも、
ぜひ日常生活に取り入れてほしい習慣です。

割り箸

 

「まだ誰も使用していない」という意味がある割り箸は、
お客様をもてなすのに適しています。

割り箸にもさまざまな種類がありますが、
その種類は箸の頭部の形で見分けられます。

最も多く使われているのが、
頭部の角がきれいに削られていて、
割れ目に溝が作ってある「元禄(げんろく)箸」です。

頭部が長方形で溝がない「丁六(ちょうろく)箸」は大衆的なため、
おもてなしの際に出すと失礼にあたるので気をつけましょう。

おもてなしに適しているのは、
天に向かって頭部が削げている「天削げ(てんそげ)箸」で、
口当たりが良いように作られています。

竹箸

竹箸は、懐石料理を取り分ける際に使う取り箸です。
すべりにくいので、
家庭でも押し寿司のようなものを取り分けるときに使うと、
使いやすく便利です。

日本人にとって箸とは、食べ物つまり“命”を運ぶものであると同時に、
魂をつなぐものでもあり、人生を説く存在でもあるとされています。

箸は2~3世紀頃中国から伝えられたといわれ、
食事用として使われる前は、神事に用いられていたそうです。

食事用に箸が使われるようになったのは、7世紀頃で、
それ以降も、単なる食事用の道具としてだけではなく、
日々の生活を丁寧に豊かに生きるための道具として、
大切に守られてきました。

食事をする前に『いただきます』と言いますが、
その言葉には感謝して命をいただくという意味が込められています。

箸はその命と私たちをつなぐものでもあるのです。

また日本は、箸だけで食事を完結できる唯一の国でもあり、
中国や韓国など他の国でも箸を使いますが、
スプーン状のものと併用していて、
自分専用の箸で食事をするのも日本ならではの習慣です。

『箸が転んでもおかしい』とか『箸にも棒にもかからぬ』など、
箸にまつわることわざが多くあることからも、
日本人にとって箸が、ただ食べ物を運ぶ道具ではないことがわかります。

祝い箸と割り箸の好ましくない箸使い

近頃は、箸を正しく持てない人がどんどん増え、
成人で正しく箸を使える人は2割程度だといわれています。

箸を持てないという問題だけではなく、
箸を持たなくても食事ができる現代の食卓の状況にも問題があるようです。

箸が使えなくなる背景には、
食事を簡単に済ませられるような、栄養の偏った食生活や、
家族で食卓を囲むといった習慣が減ってきたことなどがあるようです。

すでに身についてしまった誤った箸の持ち方を直すのは、
なかなか難しいことですが、
毎日の食事で箸を正しく使うように根気よく続ければ、
箸の持ち方を正しく改善することはできます。

大人用の矯正箸もありますが、
逆に、矯正箸でしか正しく持てなくなってしまう可能性もあるため、
同時進行で普通の箸を持つ練習をしたほうがいいと思われます。

 
好ましくない箸使いは「嫌い箸」と言われ、
見ていて美しくないからという理由だけでなく、
食べ物を敬う気持ちから生まれた言葉です。

たとえば、料理を箸で突き刺して食べる「刺し箸」には、
食べ物に感謝して丁寧に食べなさいという教えがあり、
どれを食べようか料理の上で箸を泳がす「迷い箸」には、
作り手の心が料理にはあるので迷うのは失礼だ、
という意味が込められています。

祝い箸と割り箸を使うときの基本マナー

「嫌い箸」の意味は、社会人として知っておきたい基本マナーです。

【嫌い箸の例】
✖透かし箸
骨付きの魚料理の上身を食べた後、
箸をくぐらせて骨の隙間の下身を食べること。

✖押し込み箸
口に入れた料理を箸で押し込み、口内に入れ込むこと。

✖重ね箸
1種類の料理だけを食べ続けること。

✖もぎ箸
箸についたご飯などを口で取ること。

✖かきこみ箸
食器の縁に口をつけて箸で料理をかき込んで食べること。

✖持ち箸
箸を持ったまま、同じ右手で食器を持つこと。

✖トントン箸
箸を器の上で突いて箸先をそろえること。

✖指し箸
箸で人や物を指し示すこと。

✖探り箸
汁などの料理の中にまだ何か入っていないか箸で探ること。

✖渡し箸
食器の上をまたいで箸を置くこと。

✖涙箸
汁やしょうゆなどを箸先からポタポタ垂らすこと。

箸を正しく使い、美しくスマートに食べることは、
同じ食卓を囲む人への配慮でもあり、
さらにビジネスの場では、
自分に対する評価がアップするきっかけにもなることです。

そして何より、
自分自身も食事の時間が楽しくなるはずです。

普段あまり気にとめない箸の持ち方を改めて見直し、
日本人に脈々と受け継がれてきた素晴らしい箸文化を再確認してみましょう。

あとがき

普段、あまり深く考えずに使っていたかもしれない『お箸』

人の箸使いは時々気になるのですが、
自分のしていることには何も感じていなかったのです。

祝い箸や割り箸の、違いや意味を知って、
美しい使い方が出来るようになれば、
人としてのレベルも違ってくるような気がします。