伊勢神宮の神嘗祭の日程は?皇居で行われる宮中祭祀と内宮外宮のスケジュール

秋の行事

神嘗祭は、
その年に収穫された新穀を、
最初に天照大御神(あまてらすおおかみ)に捧げるお祭りで、
宮中と伊勢神宮で行われます。

伊勢神宮や皇居で行われる、
神嘗祭の日程やスケジュールについてまとめてみました。

宮中祭祀についてはその様子を見ることはできません。

伊勢神宮で行われる神嘗祭については、
夜間の参拝停止時間中の祭儀は奉拝できませんが、
参拝時間内の祭典については、
参道などから見させていただくことが出来ます。

  

伊勢神宮の神嘗祭の日程は?

神嘗祭(かんなめさい)とは宮中祭祀のひとつで、
秋の収穫を祝う五穀豊穣の感謝祭にあたります。

神嘗祭は、宮中および伊勢神宮以外でも、
全国の主要な神社、
出雲大社や京都の上賀茂神社・下鴨神社などでも、
神嘗祭はおこなわれています。

つまり、神嘗祭とは宮中や伊勢神宮だけの神事ではなく、
八百万(やおよろず)の神々に感謝をささげるものです。

伊勢神宮の神嘗祭の日程は、
両正宮以下主要な神社は下表の日程で斎行されます。

その他の神宮123社は、10月15日から25日の間の日程で斎行されます。

伊勢神宮の神嘗祭 皇居で行われる宮中祭祀

宮中祭祀(きゅうちゅうさいし)とは、
天皇が国家と国民の安寧と繁栄を祈ることを目的におこなう祭祀のことです。

皇居宮中三殿で行われる祭祀には、
天皇が自ら祭典を斎行し、御告文を奏上する大祭と、
掌典長(掌典職)らが祭典を行い、天皇が拝礼する小祭があります。

神嘗祭は、宮中祭祀の大祭で、
その年の初穂を天照大御神に奉納する儀式が行われます。

神嘗祭の宮中祭祀 儀式は旧暦の9月11日に勅使に御酒と神饌を授け、
旧暦の9月17日に奉納するというものでした。

1873年(明治6年)から、太陽暦が採用されるようになったときも、
新暦の9月17日に儀式を実施しましたが、
まだその時期では、稲穂の生育が不十分だということで、
1879年(明治12年)からは、
月遅れとして、10月17日に実施されています。

古来より神嘗祭には、
皇室から伊勢神宮へ幣帛使が派遣されました。

応仁の乱以降は中断も多かったのですが、
1647年(正保4年)に幣帛使の発遣が復活して以降は、
中断することなく派遣が行われています。

1871年(明治4年)以降は、
皇居の賢所でも神嘗祭の儀式が行われていました。

賢所は、天皇が居住する宮中において、
三種の神器のひとつである八咫鏡を祀る場所です。

神嘗祭は皇居の神嘉殿で行われます。

神嘉殿は、吹上御苑の東南にある宮中三殿の構内にあり、
皇室祭祀を司るところです。

神嘗祭の儀式に先立って、
天皇は宮中三殿の神嘉殿南庇で神宮を遥拝されます。

1908年(明治41年)9月19日制定の「皇室祭祀令」では、
大祭に指定されましたが、
その皇室祭祀令は1947年(昭和22年)5月2日に廃止されました。

しかしそれ以降も、
宮中および伊勢神宮では、従来通りの神嘗祭が行われて、
現在の宮中祭祀も皇室祭祀令に基づいて行われているのです。

日本国憲法やその下の法律に宮中祭祀についての明文の規定はなく、
また、これに係る予算も皇室の内廷費によって処理されています。

このため、多くの憲法学者が、
戦後の宮中祭祀を、
「天皇が私的に執り行う儀式」と解釈するようになったのです。

伊勢神宮 神嘗祭のスケジュール

神宮(伊勢神宮)では内宮の天照大御神(あまてらすおおみかみ)、
外宮の豊受御大神(とようけのおおみかみ)に、
新穀を奉納してその年の五穀豊穣、豊作の感謝をささげます。

神嘗祭の“神嘗”とは『神の饗(あえ)』が変化したもので、
“饗”とは、食べ物でもてなすという意味です。

この饗は、
新穀を意味する“贄え(にえ)”が転じたものとする説もあります。

10月15日の興玉神祭から始まり、
続いて御卜が行われます。

御卜は祭主以下の神職が神嘗祭の奉仕に適うかをお伺いする儀式です。

翌16日、
皇大神宮で午後10時に由貴夕大御饌(ゆきのゆうべのおおみけ)、
17日午前2時に由貴朝大御饌(ゆきのあしたのおおみけ)が行われます。

大御饌(おおみけ)とは立派な食事という意味で、
海川山野のお供え物を取り揃え、
神田で収穫された新米を玄米のまま蒸して土器に盛り、
御餅をつき、白酒黒酒しろきくろきのお酒を醸してお供えします。

17日の正午には、
天皇陛下が遣わされた勅使ちょくしが幣帛へいはくをご奉納になる奉幣が行われ、
同日天皇は皇居神新嘉殿にて皇大神宮を御遙拝になられます。

最後に夕刻、御祭神を和めるために御神楽が行われます。

伊勢神宮では、
神嘗祭のときに御装束や祭器具を一新しますので、
神宮の正月ともいわれています。

神宮の式年遷宮は、
大規模な神嘗祭とも言われています。

神宮では、式年遷宮後、最初の神嘗祭を「大神嘗祭」とも言い、
伊勢の民衆は、この祭りを「おおまつり」と呼んで奉祝の行事を行うのです。

神宮の神職や伊勢の神領民は、
この祭りが終わるまで新穀を口にしないとされています。

あとがき

平成になって30年、
昭和天皇から、宮中祭祀の任を受け継がれて、
30回目の神嘗祭

平成の時代もあとわずかとなり、
今上天皇にとって、最後の神嘗祭になるということで、
感慨深いものがおありなのでしょうね。