奈良の鹿の角切 時期はいつ頃で角を切る理由は?どのようにして切られるのか?

秋の行事

毎年秋に、奈良で行われる『鹿の角切り』をご存知ですか?

奈良を訪れたことがある人はご存知かと思いますが、
奈良の街中には、ふつーに鹿が歩き回っています。

時には木陰にのんびりと座っていたりします。

奈良の人たちにとって、鹿が街の中を闊歩したり、
ひなたぼっこしているという光景は珍しいことではなく、
ごく一般的な様子なのです。

そんな風に、奈良の人と鹿との間には、
長い歴史から続く“絆”のようなものを感じます。

その奈良で行われる『鹿の角切り』は、
古くから伝わる伝統行事で、秋の観光イベントにもなっています。

毎年秋に行われる『鹿の角切り』について、
いつ行われるのか、なぜ行われるのか、
また、どのようにして行われるのかをまとめてみました。

ぜひ、奈良の鹿の角切に訪れてみてください。

  

奈良の鹿の角切 時期はいつ頃?

奈良で行われる鹿の角切りは、古くから伝わる伝統行事のひとつで、
毎年秋の風物詩として、たくさんの観光客が訪れます。

今年、2022年の鹿の角切りが行われる日程は、

日時: 「鹿の角きり」は10月10日まで開催されています。

開催時間: 11:45~15:00(開場11:15 最終入場14:30)

場所: 春日大社境内 鹿苑角きり場(奈良公園内)

所在地: 〒630-8212 奈良県奈良市春日野町160

電話: 0742-22-7788
768年に平城京の守り神として創建。朱塗りの社殿には1000基の釣灯籠、境内には2000基の石灯籠がある。宝物殿には貴族や武家から奉納された宝物、刀、鎧など多数の国宝・重要文化財を収蔵。

一般財団法人『奈良の鹿愛護会』

〒630-8212 奈良県奈良市春日野町160-1
Tel 0742-22-2388 / Fax 0742-25-0166

観覧料:(当日券のみ)

大人(中学生以上):1,000円 
こども(小学生):500円

※ 愛護会会員・同伴者1名様まで無料
※ 障がい者手帳をお持ちの方・付添1名様まで半額

奈良の鹿の角切り開催にあたっての注意事項としては、

小雨決行、荒天の場合は中止で、
全て立見席の完全入れ替え制です。

場内バリアフリーではありません。

ペット同伴でのご入場はお断りしております。

三脚の使用は禁止しております。

会場には駐車場はございません。(近隣に有料駐車場有り)

なお、日程等変更される場合がありますので、ご注意下さい。

会場へのアクセス:

電車/JR・近鉄奈良駅からバス「春日大社表参道」下車、徒歩約7分

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奈良の鹿の角切 角を切る理由は何?

奈良の鹿の角切は、江戸時代 寛文年間(1672年)に、
危険防止と樹木の保護のために始まった伝統行事です。

角の生えたオスの鹿は、
秋の発情期をむかえると気性が荒くなります。

その影響で、当時の奈良町の人びとは、
鹿の角に突かれることもありました。

そこで奈良奉行の溝口信勝は、鹿の角による事故を防止するため、
当時の鹿の管理者であった興福寺に鹿の角きりを要請しました。

これがきっかけとなり、
1672(寛文12)年から鹿の角きりは始められるようになりました。

雄鹿の角は毎年生え変わります。

2月から3月の春先になると、雄鹿の角は自然に脱落して、
そのあと4月頃から新しく生えだします。

「鹿の角きり」は、鹿の角による事故を防止するため、
奈良奉行の溝口信勝の命によって始められました。

雄鹿の角は、秋(10月頃)に完成するため、
この頃角きりが実施されます。

鹿の角きり行事は、勢子といわれる人たちが、
角きり場に追い込まれた荒々しいシカをつかまえます。

神官によって角を切るという、古都の秋を彩る勇壮な行事で、
江戸時代から今日まで約340年にわたり、
鹿と奈良の人々との共生の中で受け継がれている伝統行事です。

奈良の鹿の角切 シカはどのようにして角を切られるのか?

奈良の鹿の角切では、11時30分に開場になり、
12時から、奈良の鹿の角切行事の安全を祈って、
『安全祈願祭』が執り行われます。

角切は、12時30分からはじまり、
15時の行事終了までの3時間、ほぼ30分ごとに計5回行われます。

なお、角切行事の進行上、時間が前後することがあります。

【11:30】 開場

【12:00】 安全祈願祭

【12:30】 角きり 1回目

【13:00】 角きり 2回目

【13:30】 角きり 3回目

【14:00】 角きり 4回目

【14:30】 角きり 5回目(最終回)

【15:00】 行事終了

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★鹿の角きりの流れ

☆安全祈願
古式「鹿の角きり」は、安全祈願祭から始まり、
春日大社の神職によって角きり場内を清め、行事の安全を祈願します。

☆入場

鹿の角きりは、
勢子と呼ばれる人たちが赤旗を持ち、
立派な角を持つ雄鹿を角きり場内に追い込みます。

雄鹿の群れが場内に入ると「太鼓」が鳴り響き行事を盛り上げます。

「勢子(せこ)」…
はちまきに法被を着て雄鹿を追い込んだり捕まえたりする人たちのことで、
勢子には、追い立て役、追い込み役、十字をかける役などの役割分担があります。

「赤旗」…
竹竿に赤い旗を付けた道具で、
勢子が鹿を追い込むときなどに使用するものです。

「太鼓」…
角きり場脇で雄鹿の動きや勢子の調子などとあわせ打ち鳴らします。

☆追い込み

勢子たちは、一列に立ち並んで、
凄まじく走り寄る雄鹿にも恐れず堂々として隊形を保ちながら、
雄鹿を追い込んでいきます。

隊形が途切れる場所には、
捕獲具の「十字」を持った勢子が待ち構えます。

勢子たちは、走り抜ける最終の雄鹿に対してタイミングを見計らいながら、
十字を素早く投げ落とします。

「十字(じゅうじ)」…
割竹を十字に組み縄を掛けた捕獲具で、
勢子のベテランのみが使用でき雄鹿の角に投げかける。

☆取りおさえる

十字から外れた縄が鹿の角にかかると、
勢子は決して縄を放さずに雄鹿と台付けまで走り寄り、
雄鹿の体を傷つけないよう慎重に縄をたぐり寄せて捕まえます。

この時、角きり場中央辺りでは他の雄鹿と分けるために、
「紅白幕」を張り場内を仕切ります。

「台付け」…
角きり場内に立つ丸太で、その回りには細い丸太を組み合わせ、
根元に縄を巻いて鹿を引き寄せるために使う。

「紅白幕」…
他の雄鹿への配慮として場内を仕切る幕のこと。

☆鹿の角を切る

捕まえられたオス鹿は、「ゴザ」の上に寝かされ、
神官役は興奮した雄鹿の口に「水差し」の水を含ませて雄鹿の気を静めます。
その後、神官役が「ノコギリ」によって鹿角を切り落とされます。

鹿は神様のお使い「神鹿」とされてきたことから、
切り落とされた角は神前に供えられます。

「ゴザ」…
捕まえた雄鹿の体を保護するために敷く道具。
鹿用の枕もある。

「水差し」…
神官役が持つ道具のひとつ。蓋の無い陶器製の容器。

「ノコギリ」…
神官役が鹿の角を切る専用の道具。

~オス鹿の角について~

この時期の鹿角には、
血管や神経は通っていないので切られても出血や痛みはありません。

人でいうツメなどを切るようなもので、
翌年には新しい角が生えてきます。

当時の角きりは奈良の町々で行われていました。

まず木戸と竹矢来で囲まれた町内に鹿を追い込みました。

そして1頭ずつ傷つけないように鹿を捕まえたうえで、
今と変わらないノコギリを用いて鹿の角をきっていました。

町民たちは、この様子を店や町屋の格子ごしから、
または屋根の上などから見学していたようです。

角きりは明治時代の初期には一時中断しますが、
明治時代の中頃には、
春日大社の参道や境内地で再び行われるようになりました。

そして1929(昭和4)年からは、
現在の角きり場で開催されました。

その後、昭和の戦時期における一時中断をはさみつつも、
現在まで古都奈良を代表する年中行事として続けられています。

「竹矢来(たけやらい)」…
竹をあらく交差させてつくった囲いのこと。

「格子」…
町家の窓に木材を並べて打ちつけた格子で、
「奈良格子」と呼ばれ、別名「鹿格子」ともいいます。

町の所々で角きりが行われていたことから、
鹿と家屋を守る役目を果たしていました。



あとがき

突進してくる雄鹿の勢いは猛烈で、
大きく成長した雄鹿の角は勇ましく、
捕まえようとする勢子と、
逃げようとする鹿の格闘は、迫力満点です!

実は、奈良の鹿には苦い思い出があって、
小学校4年生の秋の遠足で、奈良公園へ行ったとき、
鹿にお弁当を食べられちゃいました。

ほかのお友達のお弁当は盗られなかったのにって、
家に帰って母に話したら、
『まあ~なんてグルメな鹿さんだこと!』ですって。

でも、
中学の時、箕面へ行った遠足では、
お猿さんにお弁当を盗られてしまいました。

よくよく考えると、お弁当が美味しかったとか言うよりも、
ただ単に私が“ドンクサイ”だけだったのですね!

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