秋の七草の意味や由来はなに?名前や種類と覚え方 おすきなふくはとは?

秋の行事

秋の七草の、7種類の名前を言えますか?
秋の七草には、どのような種類があって、
それらにはどのような意味や由来があるのでしょうか。

秋の七草について、
また秋の七草の覚え方について、まとめてみました。

  

秋の七草の意味や由来はなに?

秋の七草は、
女郎花・尾花・桔梗・撫子・藤袴・葛・萩の7種類です。

古来より、秋の野の花が咲き乱れる野原を「花野(はなの)」といい、
花野を散策して短歌や俳句を詠むことが行われていました。

秋の七草については、
歌人・山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだ2首の歌が、
その由来とされています。

〽 秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花
(あきののにさきたるはなをおよびおりかきかぞふればななくさのはな)
(万葉集・巻八 1537)

〽 萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 姫部志また藤袴 朝貌の花
(はぎのはなおばなくずばななでしこのはなおみなえしまたふじばかまあさがおのはな)
(万葉集・巻八 1538)

「朝貌の花」が何を指すかについては、
朝顔、木槿、桔梗、昼顔など諸説あるのですが、
朝貌の花は桔梗とする説が最も有力のようです。

山上 憶良 斉明天皇6年(660年)? – 天平5年(733年)?)は、
奈良時代初期の貴族・歌人。
名は山於 億良とも記される。
姓は臣。官位は従五位下・筑前守。

秋の七草は、それを摘んだり食べたりするものではなく、
観賞するためのものであり、
「秋の七草がゆ」というものも存在しません。

ただ、それぞれの草花には薬効成分のあるものがあります。

人に愛でられ、
薬用にも、生活用品にも利用できる七草は無駄のないものです。

秋の七草の名前の種類や意味はなに?

秋の七草とされている草花は、

女郎花(おみなえし)
尾花(おばな)…ススキ
桔梗(ききょう)
撫子(なでしこ)
藤袴(ふしばかま)
葛(くず)
萩(はぎ)

の7種類です。

🍃 女郎花

女郎花の花言葉は『美人』『はかない恋』『親切』
秋の七草の1つとして、
奈良時代から鑑賞されてきた女郎花は、小さな黄色い花が印象的です。

女郎花は、合弁花類オミナエシ科オミナエシ属 の多年生植物で、
沖縄をのぞく日本全土および中国から東シベリアにかけて分布し、
6~10月が開花期で、8~9月が最も見頃の季節を迎えます。

漢方では、乾燥した根を利尿・解毒薬として用いられます。

🍃 尾花

尾花とは、ススキのことで、イネ科の多年草

川原や山野に自生していて、茎は真っすぐ伸び、葉は線形で尖っています。

秋に茎の先に2~30㎝の長さの黄褐色か紫褐色の花穂をつけます。

この花穂がやがて白色になり花のように見えるところから、
尾花の名前があります。

以前は、屋根葺き、炭俵、すだれなどの材料にしたり、
茎葉を 家畜の飼料にもしていました。

万葉集では尾花の語句を使用した詩も多く。
特に秋の雑歌と秋の相聞歌に多くみられ、
秋の風物詩として親しまれていたことが分かります。

🍃 桔梗

キキョウ科の多年生草本植物

万葉集のなかで秋の七草と歌われている「朝貌の花」が、
桔梗であると言われています。

開花時期は六月中旬の梅雨頃から始まり、
夏を通じて初秋の九月頃までです。

キキョウの根はサポニンを多く含むことから、
桔梗根という生薬として利用されています。

キキョウ科のキキョウの根は、韓国ではトラジといい、
「高麗人参」や「棗」とならんで料理によく使用されます。

鎮咳、去痰、排膿作用があり、咳止め、咽の痛み気管支炎、扁桃腺炎、
化膿性のはれ物などに使用されています。

🍃 撫子

ナデシコ科ナデシコ属の植物

カワラナデシコ (川原撫子) ナデシコ科、の全草。
日当たりの良い草地や川原に生える高さ30~80センチの多年草です。

花は淡紅紫色で直径4~5センチ、雄しべは10個、花柱が2個です。

母種は「エゾカワラナデシコ」で、大和撫子の別名は他の意味ですが、
日本的な美人の総称の元となった植物です。

ナデシコの花言葉は、
純愛・無邪気・純粋な愛・いつも愛して・思慕・貞節・お見舞・女性の美
など女性的なイメージが強いのですが、
才能・大胆・快活などの花言葉もあります。

ヤマトナデシコ(カワラナデシコ)の花言葉は、可憐・貞節です。

🍃 藤袴

藤袴は、キク科の植物で、生薬名:蘭草

漢方では、糖尿病の予防と治療に用いられます。

乾燥した藤袴、連銭草、ビワ葉、タラノキ、イチイ各5gをまぜて、
1日量とし水400㏄~600㏄で半量に煎じて何回かに分けてのむ。

皮膚のかゆみには、
乾燥した藤袴300g~500gをこまかく刻んで布袋に入れ、
始めになべで煮出してから、袋ごと風呂に入れて入浴する。
かゆみの部分を袋でこすると効果的、と言われています。

🍃 葛

マメ科クズ属のつる性の多年草

根から採った澱粉が葛粉になり、
根を乾燥したものを風邪薬の葛根湯に使用していることは有名です。

茎からとった繊維で織った布を葛布と呼びます。

全体に黄褐色の粗い毛があり、
茎の基部は木質。葛湯、葛まんじゅうなど、
日本では葛根を利用した例が多くあります。

乾燥した根を薄く縦切りにしたものを「枝葛根」、
約5㎜角の角切りのしたものを「角葛根」と呼びます。

中国産はシナクズなどの根で、
外皮が削られ長さ15㎝位の円柱形で粉性に富み、
粉性に富むものが良品質とされています。

成分はイソフラボン配糖体、でんぷん粉など、
薬用としては発汗、解熱、鎮痛薬として、
また芍薬などと配合して急激な筋肉の緊張をとる作用があり、
肩こりにも応用されています、寝違いなどにも有効です。

🍃 萩

萩は、マメ科の植物で、花期は7月から10月です。

蝶のような形の花をつけるおなじみの植物で、
夏から秋にかけて赤紫色、まれに白色の花を見せてくれます。

葉の形は楕円形で、小さい葉が3枚つきます。
萩といえばほ、とんどがヤマハギを指します

萩は、痩せた土地でも良く育つ特性があることから、その特徴を買われ、
古くから道路斜面、治山、砂防など現場で緑化資材として活用されている。

現在では、ヤマハギ、メドハギの種子が、
斜面緑化のための吹付資材として用いられています。

秋の七草の覚え方『おすきなふくは』とは?

秋の七草の覚え方は、
《お・す・き・な・ふ・く・は》で覚えます。

「おみなえし」の“お”
「すすき」の“す”
「ききょう」の“き”
「なでしこ」の“な”
「ふじばかま」の“ふ”
「くず」の“く”
「はぎ」の“は”

『お・す・き・な・ふ・く・は』
この文字列自体に意味はありません。

ただ覚えやすいように語呂合わせされただけのようで、
“逆に”覚えにくいかも知れませんね。

春の七草は、芹・薺・御形・繁縷・仏の座・菘・蘿蔔という、
7種類の野草や野菜のことで、1月7日の人日の節句の朝に、
それらの入ったおかゆを食べる風習がありますが、

秋の七草には、春の七草と違い、
直接何かをする行事は特に何もなく、風習もありません。

しかし、秋の七草には、
漢方として用いられているものがたくさんあります。

自然の中にはカラダに良いものや、健康に役立つものがあることを、
昔の人はちゃんと知っていたのですね。

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あとがき

秋の七草も、春の七草のように、
何かイベント的なものがあったらいいですね。

中秋の名月の頃“秋の七草を飾ると幸せになる”とか、
“秋の七草の模様のきものを着る”とか・・・