大涅槃図を公開する京都の有名寺院をご紹介します。
涅槃図は入滅されるお釈迦様の姿を描いた素晴らしい絵で、
寺院にとって、普段は公開されていない大切な宝物です。
涅槃図はお釈迦様の御命日に特別に公開されるものですから、
この機会を逃さずに是非ともそのお姿を拝ませていただきたいものです。
涅槃会図公開の日程をご覧になって、
京都の由緒あるお寺をお訪ね下さい。
涅槃図とは
2月15日の涅槃会(ねはんえ)は、
4月8日の降誕会(ごうだんえ)、12月8日の成道会(じょうどうえ)と並び、
お釈迦さまを尊ぶ大切な仏教行事です。
涅槃図とは、
お釈迦さまが入滅(お亡くなりになる事)した時の様子を描いたものです。
お釈迦さまが入滅されたことを「涅槃に入る」ということから、
この絵を涅槃図といいます。
「涅槃図」とは、お釈迦さまの命日にお寺の堂内に掲げられる絵図のことで、
京都では日本最大級や動物の数が最多など、
さまざまな魅力を秘めた涅槃図を見ることができます。
お釈迦様は、三十五歳で悟りを開いてから四十五年間、
インド各地を行脚して仏法を説き広められました。
そして八十歳になって、生れ故郷へ向かう途中で、
純陀という人が布施として差し上げた茸に中毒して体調を崩し、
クシナガラの跋提河のほとり、沙羅双樹のもとで亡くなられました。
その模様は『涅槃経』という経典に記されていますが、
それに基づいて描かれたのが仏涅槃図です。
『涅槃経』は、釈迦が亡くなられる様子を記した経典で、
涅槃経に基づいて描かれた絵画が涅槃図と言われるものです。
横たわる釈迦のまわりには、菩薩や仏弟子、会衆や動物などが取り囲み、
嘆き悲しむ姿が描かれていて、
涅槃図には、理想の志の在り方が示されていると言われます。
『頭北面西右脇』
涅槃図に記されているように、釈迦の頭は北向き、顔は西向きとされ、
右手を枕とされています。
涅槃の境地に入られたことを示すように、全身が金色に輝いています。
涅槃の姿は、すべての教えを説き終えて、入滅せんとする姿を表すとされ、
目を閉じている涅槃会の場合は、既に入滅した姿で、
目が開いている絵の場合は、最後の説法をしている姿を表していると言われます。
大涅槃図を公開する京都の八寺院 春の公開日程
仏教寺院では、
2月から3月にかけては、お釈迦様の御命法要である涅槃会が行われ、
その際にお釈迦様が横たわり、周囲で嘆き悲しむ動物たちを描いた、
大涅槃図を公開する寺院があります。
有名な涅槃図を所蔵する寺院の、
春の『大涅槃図』公開についてお知らせします。
高台寺方丈
高台寺本堂 http://www.kodaiji.com/
京都府京都市東山区下河原通八坂鳥居前下る下河原町526
2月1日~2月28日
南北朝時代に描かれた『八相涅槃図』を公開
誕生から涅槃までのお釈迦様の生涯が描かれています。
涅槃図は約660年前の南北朝時代1350年頃の作(作者は不明)、
縦182cm、横幅238cmの横長で、
釈迦が入滅する場面の周囲に誕生から涅槃までの生涯が描かれている。
2012年に2年の修復期間を経て公開を再開。
拝観時間 9:00〜17:30 (17:00受付終了)
清水寺
清水寺 http://www.kiyomizudera.or.jp/event/nehan_e.php
〒605-0862 京都市東山区清水一丁目294TEL: 075-551-1234
2月15日
重要文化財の経堂に、山口雪渓筆の『大涅槃図』が掲げられます。
2/15の9時より経堂にて「涅槃会」の法要、
法要後「大涅槃絵」を無料で一般公開、その後数日間公開される。
涅槃図は縦391cm、横303cmの大きさで1708年、
江戸時代の狩野派の絵師・山口雪渓の筆による、2003年に全面的に修復。
拝観時間 6:00~18:00
真如堂(真正極楽寺)
真如堂 http://shin-nyo-do.jp/main/gyoji.html
〒606-8414 京都府京都市左京区浄土寺真如町82
3/1~31まで3月の1か月間本堂にて涅槃図を公開、
涅槃会の法要は3/15に行われる。
涅槃図は江戸中期の1709年に三井家の女性たちの寄進により制作され、
2010年に平成の大修復が行われた、縦6.2m、横4.5m、
動物や魚類・昆虫など127種類が描かれその種類の多さは日本最多といわれる。
餅を焼いて黒砂糖を絡めた無病息災の「花供曽」あられが授与されることで有名。
拝観時間 9:00~16:00
泉涌寺(御寺)
泉涌寺 http://www.mitera.org/
〒605-0977 京都府京都市東山区泉涌寺山内町27
電話番号:075-561-1551
3月14日~16日
一般公開される画僧・古磵明誉(こかんめいよ)上人筆の『大涅槃図』は、
日本最大の縦16m、横8m。 天井から床にかけて掲げられる。
紙本極彩色で江戸中期、明誉古かん(石へんに間)上人の筆によるもので、
奈良・東大寺に奉納する予定で描かれたものといわれる。
法要は3日間だが涅槃図は3/11より拝観可能。
期間中のみねはんあられ「花御供」の特別授与、
華道月輪未生流いけばな展「花ふたたび~蔀を上げて」も同時開催、
泉山会による厄除そばの振る舞いも。
拝観時間 3月1日~11月30日 9:00~16:30/12月1日~2月下旬 9:00~16:00
東福寺
東福寺
〒605-0981 京都府京都市東山区本町15-778
電話番号:075-561-0087
3月14日~16日
京都三大涅槃図の一つを開帳。珍しく猫が描かれ、
魔除けの猫の縁起が伝わる。
通常非公開の本堂にて大涅槃図を公開、縦12m、横幅6m、
室町期の画家・吉山明兆の作で「魔除けの猫」が描かれているのが珍しい。
本堂の天井の堂本印象筆の巨大な蒼龍図(雲龍図)も見ることができる。
国宝三門と塔頭・龍吟庵の特別公開、方丈庭園で寺宝展も開催。
期間中は「花供御」を販売するほか、
東福寺未生流による献花展・呈茶、尺八献笛、甘酒の接待も。
拝観時間 通年 9:00~16:00
本法寺
本法寺 http://eishouzan.honpouji.nichiren-shu.jp/
京都市上京区小川通寺之内上る本法寺前町617
電話 075-441-7997
3月26日~4月21日
京都三大涅槃図の一つ『佛涅槃図』(重要文化財)を公開。
本阿弥家の菩提寺で長谷川等伯ゆかりの寺として有名
(塔頭・教行院を宿としゆかりの作品や品々が多数残る)
安土桃山時代を代表する絵師・長谷川等伯筆で重文の「仏涅槃図」の実物を公開。
涅槃図は1599年、等伯61歳の時に描かれ縦10m、横6mの日本最大級を誇る。
また涅槃会館にて「春季特別寺宝展」も開催され、
光悦作品や日蓮宗の歴代上人の書画、
光悦作で国の名勝「巴の庭(三つ巴の庭)」も公開される。
拝観時間 10:00~16:00
西寿院
西寿院 https://fukunekosama.jimdo.com/
京都市右京区鳴滝泉谷町16
電話 075-462-4851 FAX 075-462-4850
3月のお彼岸中の一週間
『丈六の弥陀』で知られる鳴滝の西寿院では、
江戸時代前期に奉納されたという『大涅槃図』が公開されます。【要予約】
一休寺(酬恩庵)
一休寺(酬恩庵)http://www.ikkyuji.org/gyouji/gyouji_3.html
〒610-0341京都府京田辺市薪里ノ内102
電話番号 0774-62-0193
3月15日
南北朝時代、室町時代初期、江戸時代後期の
三幅の『涅槃図』が公開されます。
拝観時間 9:00~17:00 ただし宝物殿は、 9:30~16:30
千本釈迦堂(大報恩寺)
千本釈迦堂(大報恩寺)http://www.daihoonji.com/
〒602-8319 京都市上京区七本松通今出川上ル
TEL:075-461-5973 / FAX:075-461-5974
3/22に行われ国宝・本堂にて重文「釈迦涅槃図」も特別公開。
釈迦の最後の説法を記した「遺教経」を誰にでも分かりやすく訓読みし、
「大原声明千本式」と呼ばれる独特の節をつけて唱和し、
最後に「南無釈迦牟尼仏」と念仏を唱える。
鎌倉時代の文永年間(1264~75)に第2世・如論上人によって始められたと、
吉田兼好の「徒然草」に記述されている歴史ある伝統行事。
拝観時間 9:00~17:00
知恩院
知恩院 http://www.chion-in.or.jp/
〒605-8686 京都市東山区林下町400
Tel.075-531-2111(代)
2/13~2/15
お釈迦様がお亡くなりになられた2月15日に行われる法要です。
法然上人御堂(集会堂)内陣に「涅槃図」が掲げられます。
法要ではお釈迦様が最後にお説きになられたといわれる
『仏遺教経(ぶつゆいきょうぎょう)』を読経します。
【涅槃図】
「涅槃」(ねはん)とは、欲望の炎が吹き消された状態をいいます。
当初は、お釈迦様が35才で到達された境地を単に「涅槃」と呼ぶのに対し、
お釈迦様が亡くなってその肉体も滅した時を
「大般涅槃(だいはつねはん)」と呼んで区別していました。
しかし、やがて
「涅槃」という言葉がお釈迦様の死を意味する言葉として用いられるようになり、
その時の様子を描いたものを「涅槃図」と呼ぶようになりました。
沙羅の木の元に、北に頭を向け右脇を下にしたお釈迦様が身を横たえ、
多くの弟子たち、鳥獣、花や木々など、
生きとしいけるもの全てがその死を悼んでいる様子が描かれています。
拝観時間 午前9時から午後4時30分(午後4時 受付終了)
天龍寺
天龍寺 http://www.tenryuji.com/
〒616-8385 京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町68
電話番号:075-881-1235
3/15、法堂に於いて「涅槃会」の法要
涅槃図「刺繍八相大涅槃図」の特別公開は3/1~3/23
拝観時間 平日:8:30-17:30
清凉寺(嵯峨釈迦堂)
清凉寺(嵯峨釈迦堂)http://seiryoji.or.jp/
〒616-8447京都市右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町46
TEL:075-861-0343 FAX:075-861-0310
涅槃会と嵯峨大念仏狂言とお松明式
3/15、当日は拝観無料
10時より「護摩焚き」、15時より「護摩木厄除祈願」
15時半より狂言堂にて「嵯峨大念仏狂言」、
京の三大念仏狂言の一つで国の重要無形民俗文化財(「花盗人」「釈迦如来」「土蜘蛛」)、自由に鑑賞可
18時半より「涅槃会大法要」
法要ののち20時頃からの「お松明式」は京都でも最も古い行事の一つで、
京都三大火祭の一つ。
釈迦を荼毘に付したときの様子を再現したもので、
高さ約7mの3基の大松明に火が点けられ、
その燃え具合でその年の豊作の吉凶を占う。
参拝時間 9時~16時
4月・5月、10月・11月は9時~17時
光明寺(粟生光明寺)
光明寺 http://www.komyo-ji.or.jp/
〒617-0811 京都府長岡京市粟生西条の内26-1
電話番号:075-955-0002
2/15、14時より釈迦堂にて涅槃会法要
涅槃図は南北朝時代のもので長岡京市指定文化財
参拝時間 通年 9:00~16:00
大徳寺
大徳寺 http://www.rinnou.net/cont_03/07daitoku/
〒603-8231 京都府京都市北区紫野大徳寺町53
電話番号:075-491-0019
2/15直前の日曜日に仏殿にて「涅槃会」の法要。
「仏涅槃図」は永徳の父・狩野松栄の筆で重文、縦591cm、横352mで、
本法寺(長谷川等伯筆)と東福寺(明兆)とともに三大涅槃図とされる。
大原三千院
大原三千院 http://www.sanzenin.or.jp/guide/index.html
〒601-1242 京都府京都市左京区大原来迎院町540
電話番号:075-744-2531
2/15、宸殿にて涅槃図を掲げ法要
参拝者に五色豆の無料授与
参拝時間 3月~11月 8:30~16:30/12月~2月 8:30~16:00
定休日:年中無休
https://kyoumi.click/2509.html
あとがき
京都の古寺には、伝え守られてきた宝物がたくさんあります。
いつもは見ることができない秘宝を、見ることができるチャンスです。
涅槃図を見ていると、心の中に何か語りかけてくれるような気がします。