興味津々

誤嚥性肺炎の予防で高齢者が嚥下力を鍛える喉のトレーニング法体操とは

誤嚥性肺炎とはどういう症状なのでしょうか?
高齢者に多い誤嚥性肺炎の予防で、
嚥下力を鍛える喉のトレーニング法、
飲み込み筋の鍛え方をご紹介します。
誤嚥性肺炎予防のために、
ぜひトレーニングを始めましょう。
  

誤嚥性肺炎とは

「よくムせる」「声がかすれる」「タンがからむ」など、
のどの衰えや不調を感じてはいませんか?

実は、のどの衰えや不調は飲み込み(嚥下)の力が衰えている可能性が高く、
放っておくと飲食物や唾液を誤嚥して、
肺で炎症を起こす『誤嚥性肺炎』を招き、
寝たきりや死に至るきっかけになることがあるので注意が必要です。

誤嚥性肺炎とは、老化や病気によって飲み込み力(嚥下機能)が衰え、
飲食物や唾液が食道ではなく、
肺につながる気道に誤って入ることで肺炎を起こす病気です。

平成27年の統計によると、
ガンや心疾患に次いで、肺炎が日本人の死因第3位になっています。

さらに、誤嚥性肺炎は、
肺炎で亡くなる65歳以上の高齢者の90%以上を占めると言われ、
高齢者にとって致死率が高い危険な病気と言えます。

近年、
高齢者の急増に伴って『誤嚥性肺炎』が大きな社会問題になっています。

喉を動かす筋肉は、40~50代から徐々に衰えていきます。
そして、
70代・80代になる頃には、のどの筋肉や感覚がすっかり弱くなり、
飲み込むタイミングに微妙なズレが生じ、
飲食物や唾液が誤って気道に入りやすくなります。

具体的には、喉頭(のど仏があるところ)が、
タイミングよく引っ張り上げられないときに誤嚥が生じるのです。

通常、
食道の入口は閉じており、声帯は開いています。

それが、咽頭が引っぱり上げられると、喉頭蓋(喉の蓋)が倒れて声帯が閉じ、
食道の入口が開く仕組みになっています。

つまり、
飲み込むことは咽頭が上に動くことなのです。

この開閉の切り替えは、喉にある顎二腹筋・茎突舌骨筋・顎舌骨筋が、
咽頭を引き上げることで、わずか0.5秒で行われます。

これら3つの筋肉が飲み込み力に関わる“飲み込み筋”といえます。

誤嚥性肺炎を予防するには

加齢とともに飲み込む力が衰えるのは、
“飲み込み筋”の筋力が衰えるからにほかなりません。

特に、高齢になり全身の筋肉が減少すると、
“飲み込み筋”も衰えて、誤嚥の危険が著しく高まります。

日頃から“飲み込み筋”を鍛えて、飲み込む力を衰えさせないことが、
寿命を延ばすカナメになるのです。

老化で飲み込み力が衰えきって、
胃ろう(直接食物を胃へ入れる穴)直前の段階である嚥下障害に陥ると、
もう、もとどおりに直す方法はありません。

しかし、飲み込み力が衰え下降線をたどっている段階でも、
簡単なトレーニングで改善できるのです。

それには、積極的に喉仏を上下させて、
“飲み込み筋”を意識的に動かして鍛える必要があるのです。

私たちは、喉仏を動かして飲み込んでいます。
そのため、
しっかりと飲み込むためには、
喉仏を自分の意志で自由自在に動かせるようになることがポイントです。

首の前のところを触りながら、何かを飲み込んでみるとわかりますが、
喉仏が上下に動く様子がわかります。

男性のように目で見てわかるような喉仏でなくても、
女性にも、首の前面に喉仏の小さなふくらみがあるのがわかります。

“飲み込み筋”に力を入れて収縮させると、
喉仏が上がります。

逆に“飲み込み筋”の力を抜くようにすると、
引っぱり上げられていた喉仏が下がります。

“飲み込み筋”を鍛えるトレーニングでは、
そういった“飲み込み筋”の特性を踏まえて、
喉仏を上げ続ける動作を重視します。

ただ飲み込んで、喉仏を動かすだけでは
“飲み込み筋”を鍛えることはできません。

人はふだん、毎日だいたい700回も飲み込んでいます。
しかし、
それだけ動かしても、軽い動きだと、
年を取るにつれて“飲み込み筋”が衰えてしまうのです。

ただ飲み込むだけではなく、飲み込んだ後に負荷をかけることが、
“飲み込み筋”を鍛える極意です。

誤嚥性肺炎予防のための喉のトレーニング法

喉を意識して動かすことが重要です!

多くの人は、飲み込み力(嚥下機能)のポイントである、
喉の“飲み込み筋”を収縮させて、
喉仏のある喉頭を意識的に動かすことができません。

私たちの体には、口の中にある飲食物や唾液を無意識に飲み込む、
『嚥下反射』という働きが備わっています。

そのおかげで、意識することなく飲み込めるのです。
しかし、
嚥下反射だけに頼っていると、
加齢で“飲み込み筋”が衰えた時、
飲み込みのタイミングが合わなくなって誤嚥が頻発するようになります。

嚥下の専門医は、誤嚥に悩んでいる人のほとんどは、
喉仏を意識的に動かすことが出来ない『喉の認知症』に陥っていると言います。

何かを実際に飲み込まないと、喉仏を上げることが出来ないのです。

喉仏を反射に頼らず、自らの意志で動かすことには、
二つの効果があります。

一つは、
“飲み込み筋”を鍛え直すことが出来ることです。

もう一つは、
100%誤嚥しない飲み込みが出来るということです。

一般的には、誤嚥しないようにするためには、
食べることに集中して食べるようにと言われますが、
食事時間中、ずっと飲み込み方についてばかり集中する必要はないのです。

飲み込む瞬間の0.5秒だけ意識して喉仏を上げさえすれば、
誤嚥することはないのです。

そうでないと食事をすること自体が苦痛になってきます。

喉仏を意識して上げる運動が『喉上げ運動』で、
『喉上げ運動』をすることで“飲み込み筋”が鍛えられるのです。

『喉上げ運動』は、口に含んだ水を飲み込み、
嚥下によって喉仏が上がった状態を、
そのまま10秒キープするトレーニングです。

これをすることで“飲み込み筋”には大きな負荷がかかり、
抜群の筋トレ効果が得られます。

注意点としては、口の中に水をある程度溜めてから、
しっかりと飲み込みことです。

口に水をためずに、ゴクゴクと続けて飲んでしまうと、
喉仏を上げるタイミングをうまくつかめません。

喉仏を上げるときは
“飲み込み筋”の位置を意識して力を入れるようにしましょう。

10秒くらいなら。。。と思うかも知れませんが、
意外と10秒というのは長くて、
喉仏を上げたまま10秒キープするというのは、
かなりきつい運動です。

すでに“飲み込み筋”が衰えかけている人は、
まず、3秒間キープすることから始め、
少しずつ時間を長くしていきましょう。

10秒キープするすることを目標に続けて、
毎日少しずつ延ばしていけば、
徐々に長くキープ出来るようになります。

喉仏を上げ、どれだけキープできるかで、
“飲み込み筋”の強さの程度がわかります。

10秒キープすることが出来るようになれば、
誤嚥を防げるくらいに飲み込み力は改善したと言えます。

①ごく少量の常温の水を口に含み、口の中にためておく。

②“飲み込み筋”を意識して水を飲み込む。

③飲み込んだすぐの状態=喉仏が上がったまま10秒間キープする。

喉がしっかりと上がっているかを確認するポイントは、
・喉を上げている間は、呼吸はできない
・舌の奥から喉の上の間の筋肉に力が入っている
・首の筋がピンと張っている
・喉仏が上に動く
・喉の凹みが触れなくなる
・喉仏の真上と真下に凹みがある

④10秒キープが終わったら、勢いよく息を吐く

この①~④の流れが一回です。

“飲み込み筋”を鍛えるトレーニングを行う回数は、
朝・昼・晩に3回ずつが目安です。

飲み込み力を回復し、誤嚥を予防するなら、
最低でもそれくらいは行うことが必要かと思われますが、
朝・昼・晩に1回ずつでも“飲み込み筋”を維続けて持する効果はあります。

飲み込み力が回復し、飲み込みがしっかりしてきても、
トレーニングは続けて行うようにしましょう。

誤嚥性肺炎の直接的な原因となる飲食物の誤嚥防止効果はもちろん、
多くの人の悩みでもあった「錠剤の呑み込みにくさ」の解消にもなったようで、
“飲み込み筋”を鍛えるトレーニングの効果に驚きです。

また、
何かを飲み込まないと、喉仏を動かせない『喉の認知症』の人は、
若い人にも多いようです。
少なくとも、
常に意識的に喉仏を動かせるようにしておくことが大切です。

あとがき

食事中、時々ムセることがあります。
『あわてて食べるから!』って娘に叱られます。
誤嚥性肺炎。。。ふと、頭によぎります。
嚥下力が落ちているのかも?
“飲み込み筋”を鍛えるトレーニング開始デス!

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