ゴッホの作品には独特の作風が感じられるのだが、
その作風も日本の浮世絵の影響が大きく関係しているのだろうか、
もしも、ゴッホが日本を訪れていたら、
ゴッホ展 巡りゆく日本の夢の作品も、
作風は変わっていただろうか。
札幌・東京・京都 三会場の日程をご案内します。
ゴッホ作品の特徴
フィンセント・ウィレム・ファン・ゴッホは、
1853年3月30日 オランダ生まれの、ポスト印象派の画家です。
オランダ南部のズンデルトで牧師の家に生まれ、
聖職者を志していましたが、
1878年末以降、ベルギーの炭坑地帯ボリナージュ地方で伝道活動を行ううち、
画家を目指すことを決意します。
作品の多くは1886年以降の、フランス居住時代のものが多く、
特に、南仏アルル時代(1888年~1890年)に、制作されました。
感情の率直な表現、
大胆な色使いで知られ、ポスト印象派を代表する画家です。
日本の浮世絵にも関心を持ち、収集や模写を行いました。
1888年2月、南フランスのアルルに移り、
「ひまわり」や「夜のカフェテラス」などの名作を次々に生み出しました。
発作に苦しみながらアルルの病院への入退院を繰り返し、
発作の合間にも「星月夜」など多くの風景画、人物画を描き続けました。
1890年5月、精神病院を退院して、
パリ近郊のオーヴェル=シュル=オワーズに移り画作を続けましたが、
7月27日に銃で自らを撃ち、2日後の29日に死亡しました。
発作等の原因については、
てんかん、統合失調症など様々な仮説が研究者によって発表されています。
ファン・ゴッホは、画家を志した最初期は、
版画やデッサン教本を模写するなど、専ら素描を練習していたが、
1882年にハーグに移ってからアントン・モーヴの手ほどきで、
本格的に水彩画を描くようになり、さらに油絵も描き始めた。
初期の作品は、暗い色調のもので、
貧農たちの汚れた格好を描くことに関心が寄せられていた。
自分の暗いパレットが時代遅れであると感じるようになり、
明るい色調を取り入れながら独自の画風を作り上げていった。
パリ時代には、新印象派風の点描による作品も描いている。
もっとも、ファン・ゴッホが明るい色調を取り入れて描いた
印象派風作品においても、印象派の作品のような澄んだ色彩はない。
単純で平坦な色面を用いて空間を表現しようとする手法は、
クロー平野を描いた安定感のある「収穫」などの作品に結実した。
しかし、同じアルル時代の1888年夏以降は、
後述の補色の使用とともに荒いタッチの厚塗りの作品が増え、
印象派からの脱却とバロック的・ロマン主義的な感情表出に向かっている。
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ゴッホ作品 浮世絵から受けた影響は?
日本に黒船が来航した1853年、
オランダに生まれたフィンセント・ファン・ゴッホ。
開国後、日本の美術や工芸品がヨーロッパへ大量に渡り、
西洋の芸術家に大きな影響を与えるのですが、
特にゴッホは、
パリの画商ビングが仕入れた膨大な数の浮世絵に心を動かされました。
鮮やかな色彩表現に感激し、
自身の絵に積極的に取り入れていきます。
ゴッホの『花魁』は、
雑誌『パリ・イリュストレ』の日本特集号の表紙に掲載されました。
渓斎英泉の浮世絵『雲龍打掛の花魁』を模写したものでした。
トレーシングペーパーを使って丁寧に写していますが、
人物は左右逆でした。
雑誌の表紙が、そもそも間違っていたのです。
ゴッホは単純に写すだけでなく、
元の作品にはない背景を描き込んだのですが、
蛙や鶴は別の浮世絵から借用したものでした。
景色描写は、
雑誌に描かれた日本の紹介文からイメージを膨らませたものと考えられています。
ゴッホ展では、
ゴッホと英泉の『花魁』を同時に公開しています。
さらに、世界各地から作品を集め、
ゴッホと日本の関わりを探っています。
ゴッホの最期を看取った医師ガシェの家に、
ゴッホの死後、多くの日本人芸術家が訪れ、
『芳名録』に名を記しました。
ガシェ博士は、
ゴッホの死後も自宅でゴッホの作品を大切に保管しました。
『芳名録』には歌人・斎藤茂吉らの署名も残っています。
ゴッホの作品だけでなく、
彼の悲劇的な生涯にも多くの日本人が関心を寄せました。
日本人がどれだけゴッホを愛したかがよくわかります。
その『芳名録』が、今回日本初公開されています。
渓斎英泉は、退廃的な美人画で知られる江戸時代後期の浮世絵師でした。
龍があしらわれた打ち掛け姿の花魁を描いたその作品は、
パリの雑誌の日本特集号の表紙を飾ったのですが、
この特集号の中に日本の紹介文を書いたのは、美術商・林忠正という人ですが、
彼は明治時代、欧米各地に日本の美術品を売り、
印象派の画家達とも交流をしていました。
ゴッホは日本的な美しい景色を求めて、
パリから南フランスのアルルへ移住しました。
そこで描かれた作品で、今回日本初公開される作品、
『タラスコンの乗合馬車』の、
馬車や建物の単純化された形態や平坦な色面構成には、
浮世絵からの影響が強く感じられます。
パリ時代からアルル時代にかけての、浮世絵からの強い影響は、
太い輪郭線と、鮮やかな色面という独自の様式となってい行きました。
花を画面に捉えるなら、切り花を花瓶に差して描く、
それが西洋美術における静物画のルールでした。
「メメント・モリ」(死を思え)の警句を念頭に滅びゆく美を描くことが、
奨励されていたためなのですが、
ゴッホはあえて野に出て、
今まさに生きている『ばら』を描きました。
それまで野生の花を描くのは、植物図鑑を作るような場合だけでした。
ゴッホが、このように西洋美術のルールを無視して描くようになったのは、
葛飾北斎の『牡丹に蝶』の影響だと言われています。
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ゴッホ展「巡りゆく日本の夢」の開催地と日程
ゴッホ展 札幌会場
●会期
2017年8月26日(土) ─ 10月15日(日)
●休館日
月曜日(9/18、 10/9を除く)、9/19(火)、10/10(火)
●開館時間
午前9時30分ー午後5時 会期中の金曜日は午後7時30分まで
(入場は閉館の30分前まで)
●会場
北海道立近代美術
●お問い合わせ
011-644-6882
〒060-0001 札幌市中央区北1条西17丁目
アクセス
●地下鉄
東西線・西18丁目駅下車。4番出口から徒歩5分。
●JRバス、中央バス
道立近代美術館バス停下車。徒歩1分。
●駐車場
お車でお越しの方は、ビッグシャイン88北1条駐車場(北1条西15丁目、
美術館から徒歩5分)を割引料金でご利用いただけます。
●観覧料 (税込)
当日
一般 1,500円
大学生・高校生 800円
中学生 600円
(小学生以下無料・要保護者同伴)
前売・団体・リピーター割引
一般 1,300円
大学生・高校生 600円
中学生 400円
(団体は10名以上)
リピーター割引料金は、
道立美術館で開催された特別展の半券をご提示いただいた場合の料金
(1枚につきお一人様1回限り有効。有効期限は半券に記載)
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方と
その付添いの方は(1名まで)無料
(入館の際に証明できるものをご提示ください)
ゴッホ展 東京会場
●会期
2017年10月24日(火) ─ 2018年1月8日(月・祝)
●休室日
月曜日、12月31日(日)、1月1日(月・祝)
※ただし、1月8日(月・祝)は開室
●開室時間
午前9時30分~午後5時30分
※金曜日、11月1日(水)、2日(木)、4日(土)は午後8時まで
※いずれも入室は閉室の30分前まで
●会場
東京都美術館
●お問い合わせ
03-5777-8600(ハローダイヤル)
〒110-0007 東京都台東区上野公園8−36
●アクセス
JR「上野駅」公園口より徒歩7分
東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」7番出口より徒歩10分
京成電鉄「京成上野駅」より徒歩10分
※駐車場はありませんので、車での来場はご遠慮ください。
●観覧料 (税込)
当日
一般 1,600円
大学生・専門学校生 1,300円
高校生 800円
65歳以上 1,000円
前売・団体
一般 1,300円
大学生・専門学校生 1,100円
高校生 600円
65歳以上 800円
11月15日(水)、12月20日(水)はシルバーデーにより65歳以上の方は無料(要証明)。
混雑が予想されます。
※団体割引の対象は20名以上。
※中学生以下は無料
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳
精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と
その付添いの方(1名まで)は無料
※毎月第3土・翌日曜日は家族ふれあいの日により、
18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住、2名まで)は一般当日料金の半額
※いずれも証明できるものをご持参ください
●前売券発売中
チケット取り扱い
展覧会公式サイト(公式オンラインチケット)、チケットぴあ、ローソンチケット、e+(イープラス)、CNプレイガイド、セブンーイレブン(全国のセブン-イレブン店頭 店内マルチコピー機 セブンチケットボタン)、楽天チケット、Tチケット
ゴッホ展 京都会場
●会期
2018年1月20日(土) ─ 3月4日(日)
●休館日
月曜日および2月13日(火)
ただし2月12日(月・祝)は開館
●開館時間
午前9時30分ー午後5時
ただし金曜、土曜は午後8時まで開館
(入館は閉館の30分前まで)
●会場
京都国立近代美術館
〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町 京都国立近代美術館
●お問い合わせ
075-761-4111
●観覧料 (税込)
当日
一般 1,500円
大学生 1,100円
高校生 600円
前売・団体
一般 1,300円
大学生 900円
高校生 400円
※団体は20名以上。
※中学生以下は無料。
※心身に障がいのある方と付添者1名は無料
(入館の際に証明できるものをご提示下さい)。
※本料金でコレクション展もご覧いただけます。
https://kyoumi.click/1306.html
あとがき
ゴッホの人生は波乱万丈という言葉がピッタリだ。
だけど、人生が波乱万丈だからあのような絵がかけたのかも知れない。
数奇な運命をたどり病んでいく彼だから
迫真に迫る絵がかけたのだろうか。