お盆の仏壇にお膳をお供えするのは何故 献立は何を作ればいい 仕来りは?

夏の行事

お盆は ご先祖様や亡くなられた故人の霊を家に迎えて
ご供養する日本独特の習慣です

お墓参りや法事に いろいろと作法があるように
お盆にも 気を付けなければいけないマナーがあります
家でお仏壇にお供え物をする時の お膳の拵えにも
守らなければいけないことや 尊重するべきルールがあります
お年寄りが一緒に暮らしていない家庭では
誰に尋ねれば良いのか困ってしまいます

でも お盆の持つ本質をしっかりと心において
真心を込めてお供えすることで
ご先祖様にもきっとわかっていただけると信じています

お盆の仏壇にお膳をお供えするのは何故

ご先祖様や故人の霊を家に迎えて供養する日本独特の習慣が「お盆」ですが
元々 お盆は
仏教が伝来する以前から日本で行われていた先祖の霊を迎える祖霊祭「御霊祭り」と
仏教で逆さ吊りにされるような苦しみにあっている死者を救うための法要「盂蘭盆会」が融合して誕生したといわれています

お盆は太陰太陽暦を採用していた明治5年(1872)までは
旧暦の7月15日を中心に行われていました
それは新暦でいえば8月中旬ごろに当たり
現在 お盆は8月13日から16日までの4日間に行われるのが一般的です

お盆になると
ご先祖様や故人を供養するために 帰省してお墓参りに行き
仏様にお供え物をしますが

お盆は ご先祖様や亡くなられた方の霊を迎えに行き(これがお墓参り)
家に迎えておもてなしをする時ですから
お盆の間 ご先祖様や亡くなられた方の霊は お墓にはおられないのです

一年に一度 お盆のこの時は
ご先祖様や亡くなられた方の霊と一緒に過ごす時間で
お膳はその時 ご先祖様へのおもてなしをするためのお料理なのです

お盆に野菜で作る精霊馬は
ご先祖様や亡くなられた方の霊が 現世と来世を往来するための乗り物で
キュウリとナスに4本の割り箸や爪楊枝を刺し
四つ足の動物をかたどったものを「精霊馬」と言います

お盆の時期によく見かけますが
実は先祖や故人の霊がお盆にあの世とこの世を行き来するための乗り物なのです

キュウリは足の速い馬を表していて
お盆になったら馬に乗って
早くこの世の家に帰ってこられるようにとの意味が込められています

ナスは足の遅い牛を模しており
お盆が終わったら 牛に乗ってゆっくりあの世に戻れるように
そしてお供え物をたくさん積んで帰れるようにとの意味合いがあるのです

地域によってご先祖様や故人をお迎えする風習は違いがあります
「精霊馬」の風習がないところや「お迎え団子」を作るところもあります
「迎え火」として 玄関や縁側に盆提灯を吊るしたり
盆行燈を置くところもあります
故人が亡くなられて初めてのお盆には 新盆用の白提灯を飾ります

お盆は 子供たちの夏休みの時期でもあり
家族そろって帰省されるおうちも多いかと思います

ご先祖様や故人の霊がこの世の家に帰っておられるときに
遠く離れて暮らしている家族もそろってご供養に集まるときなのです

親族が久しぶりに集まり 元気な顔を見せ
故人の思い出話に花を咲かせながら故人と共に同じ食事をする
それがお盆にお供えするお膳なのです

お盆の仏壇にお膳をお供えする時の献立は何を作ればいいのか

お盆にご先祖様や故人をお迎えた時のお膳には
どのような献立を作ればよいのでしょうか

【お膳は精進料理】

一般的に お盆のお膳に使う食材は
肉や魚などは避け
野菜や豆類などを中心とした『精進料理』にします

親椀…ご飯を丸くなるようによそいます
炊き立てのご飯を 一番によそってそなえます

汁椀…しっかりと出汁をとった味噌汁やお吸い物を
具には 豆腐・油揚げ・ネギ・ワカメなど お精進のものでしたらOKです
だしは昆布だし そうめんなどもいいと思います

腰高…お新香やお漬物類(たくあん・ぬか漬け・梅干等)を
数は2切れが原則です
お漬物がないときは キュウリや大根を小さく切って2切れでもいいと思います

平椀…こちらも魚や肉は入れず 高野豆腐やコンニャクなどを使った煮物を
具は、筍・椎茸・にんじん・レンコンなど 色合いのいい野菜を使いましょう
グツグツ煮るというより サッとだしを含ませる程度でいいでしょう

壷椀…酢の物や和え物 煮豆などを小さい山型に盛り付けます
胡麻和えでも 味噌和えでもかまいません
家族が食べる一品を先によそって飾ります

お盆にお供えするお膳は一汁五菜が一般的とされています

あくまでもご先祖様が召し上がるためにお供えするものなので
お箸は仏壇側(一番奥)に置くのがマナーです

しかし
形式に囚われすぎて故人を供養する気持ちを忘れてしまっては元も子もないので
あまり堅苦しく考えすぎないほうがいいです

「故人が生前好きだったものを食べさせたい!」という気持ちで
お供えすると良いかもしれません(もちろん肉や魚以外で)

食器の並べ方にも決まりがあります
以下の写真を参考にして頂けたらと思います

お膳の並べ方

親椀(ご飯)
汁椀(お吸い物・味噌汁)
腰高(香のもの・漬物)
平椀(煮物)
壷椀(煮物・和え物)
箸(仏壇の方へ置く)
仏膳(これに全てを乗せる)

お膳はいつまでもお供えしておくのではなく
家族と一緒に食事をすることが大切なのですから 家族の食事がすんだら下げます

夏の暑い時ですので 食べ物は腐りやすいので注意してください

お盆の仏壇にお膳を供える供え方の仕来りは

お盆の日にちは地域によって異なりますが
大体の地域が8月13日~16日くらいまでをお盆としています

朝・昼・晩 三食 毎日毎回作るのは大変ですが
せめて1日だけでも お膳でお供えするようにしましょう

お料理だけではなく
お花や 頂いたお供え物なども仏壇にお供えするのがマナーです

頂いたお供え物が食べ物の場合は
すぐに食べられる状態にしてからお供えするようにしましょう

基本的には生前故人が好きだったものを中心に
家族と同じものを少しずつそれぞれの椀に盛り付けてお供えします

昔はお盆の間中 毎日3食お膳をお供えしていたようですが
今はそこまでやっているご家庭も少ないと思います

お盆は親戚が集まる時期でもありますので
お盆の間のどこか1日だけでも お膳をお供えしましょう

ご先祖様が安らかに成仏できるように供養の意味を込めて、
家族もお供えするものと同じものを食べるということが
いいのではないでしょうか

ご先祖様にとって 御馳走のお膳を供えてもらうより
自分の子孫が 仲良く集って一緒に懐かしい話をしている姿は
きっとこの上なく嬉しいことだろうと思います

また お盆の仏壇にお膳を供えることは大切ですが
お盆にご先祖様や亡くなられた故人の霊をお迎えするとき
お仏壇がホコリだらけだったら いくらお膳をお供えしても
帰ってこられたご先祖様は気持ち良くお食事できませんよね

まずは、お盆の前に きちんと仏壇の掃除をしておきましょう
そしてお盆になったら
ご先祖様が道に迷うことなく還って来られるように
ロウソクに火を灯してお迎えしましょう

これまでお盆期間 8月13日~16日の予定は以下のようにしていました

8月13日…お墓参りをし ご先祖様の魂をお迎えに行く

8月14日・15日…お膳を3食用意する。お経を上げる

8月16日…お墓にご先祖様の魂をお送りする

お盆の間は 肉や魚などを食べない(殺生を避ける)ようにしていました

ですが
久しぶりに家族が顔を合わせたのだから
『今日は焼肉ね!』とか『すき焼きにしよう!』という家庭も
多いのではないでしょうか

『亡くなったおじいちゃんはお肉が大好きだったから…』
ということもあるかもしれません

ご家庭の都合に応じて できる範囲のその家のやり方で
心を込めて ご先祖様や亡くなられた方の霊をお迎えするように

お供えも『やらなければいけない!』のではなく
ご先祖様や亡くなられた方に対する感謝の気持ちをもっておこなってください

まとめ

お年寄りが身近におられなくて
お盆のいろんな仕来りや風習について
教わることができない方も多いと思います
また お盆のマナーや仕来りはもちろん大切なことかもしれませんが
いちばん心掛けたいのは『故人を想い 供養する気持ち』です

お盆に帰省する田舎のない人も
お盆のお膳をお供えするお仏壇がないおうちでも
ご先祖様はいらっしゃいます

お盆に帰省なさらない方も
ご先祖様への感謝の気持ちを込めて
花を飾り お供えの一品を供え
掌を合わして見てはいかがでしょうか